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アジア最大級の映画の祭典「第34回東京国際映画祭(TIFF)」が、10月30日、東京国際フォーラムで開幕し、オープニングセレモニーのレッドカーペットが行われました。フランスを代表する世界的な大女優であり今年の審査委員長を務めるイザベル・ユペールほか海外からのゲストの招聘も行われました。新型コロナウェルスの影響もあり、昨年同様に沿道でファンが声援を送る姿はないものの、内外の豪華ゲストが華やかな姿で映画祭を彩りました。
レッドカーペットで美を競う女優陣
◉フェスティバル・アンバサダーに橋本愛さん
第34回東京国際映画祭のフェスティバル・アンバサダーを務める女優の橋本愛さんは、大きな花の刺繍をあしらった優美なドレスでレッドカーペットに登場し、会場を魅了しました。そして、「まずはこの映画祭が皆さんにとって楽しいものになるように、自分にできることをやりたい。そして今年は面白そうな作品がたくさんあるので、少しでもそうした映画の存在や今回上映されることを知ってもらえるよう頑張りたいと思います」と、意気込みを語りました。
◉日比谷・有楽町・銀座地域で開催
今回の東京国際映画祭は10月30日から11月8日までの10日間、会場を今までの六本木から、日比谷、有楽町、銀座エリアに移して開催されています。メインビジュアルの監修をコシノジュンコさんが担当しています。「格好いい女性がコロナも吹っ切れて前に向かう、風を切って歩いていく」そんなエレガントでかつ強い意識を持って前進する女性をイメージしたものです。オープニング作品として監督50周年のクリント・イーストウッド監督の『クライ・マッチョ』が上映され、11月8日、クロージング作品に選ばれた、スティーブン・チョボスキー監督の『ディア・エヴァン・ハンセン』で幕を閉じます。
コンペティション部門
世界113の国と地域から寄せられた1533本の応募作品から厳選された15作品が上映されます。この中から最優秀作品賞「東京グランプリ」ほか、審査委員特別賞、最優秀監督賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞、最優秀芸術貢献賞が選出されます。日本作品は松井大悟監督の『ちょっと、思い出しただけ』野原位監督の『三度目の、正直』が選考されています。なお、15作品中10作品が世界初(ワールド・プレミア)、そして残りの5作品はアジア初の上映です。
◎ちょっと、思い出しただけ
『ちょっと、思い出しただけ』は、松井大悟監督初の完全オリジナル作品。本作の製作意図について監督は「僕と君という二人称の世界を肯定したいと思って、コロナ禍の東京で作った、柔らかくて小さなラブストーリー」と語っています。松井監督と共に、主人公を演じた池松壮亮さんと伊藤紗莉さんが登壇しました。大きな花が描かれた黒いドレスにゴールドのネックレスの装いの伊藤さんは終始笑顔だったのが印象的でした。
◎三度目の、正直
本作の脚本も担当した女優の川村りらさんは、「作品を撮りながら脚本を書いている時間がとても長かった。演じながら空き時間に書く、ということを繰り返していたので大変だった」と撮影を振り返りました。また、小林勝行さんは、神戸市出身のラッパーであり、本作が俳優デビュー作です。
アジアの未来部門
長編3作品目までのアジアの新鋭監督の作品を世界に先駆けて上映するコンペティション部門で日本映画2本を含む10作品が上映されます。
◎よだかの片思い
島本理生さんの同名の恋愛小説を松井玲奈さんと中島歩さんによる共演で安川有果監督が映画化。中島さんは、監督の演出について質問されると、「自分や松井さんの意見を引き出してくれる環境で、お互い率直に意見が言える良好な関係で撮影が進みました」と穏やかに感想を述べました。
◎誰かの花
カトウシンスケさんは監督の脚本が本人の見かけ同様に「誠実で丁寧に練り込まれていたのを覚えています」と語り、太田琉星さんは「難しい演技はなかったけれど、団地の高いベランダから覗くシーンが怖かった」と告白。実は高所恐怖症だったことが後でわかったとカトウさんが補足して、太田さんの勇気ある演技をたたえました。
Nippon Cinema Now部門
今回新設された部門。今年公開されたの邦画の中から「海外に紹介されるべき日本映画」観点を重視してセレクトされた7作品が上映されます。
◎親密な他人
『親密な他人』からは、中村真夕監督、主演女優の黒沢あすかさんが登壇。ドキュメンタリー作品が続き、久しぶりの劇映画を撮った中村監督は「コロナ禍の設定を生かした大人の女性の映画を目指しました」と語り、その難しい役どころを演じた黒澤さんは「私も演じためぐみという女性も年齢を重ねており、めぐみに背中を押してもらいながら演じました。監督の思い描く世界を共に歩むという気持ちで取り組ませていただいた」と役作りに対する思いを語られました。
◎なぎさ
『なぎさ』が長編デビュー作となる古川原壮士監督となぎさを演じた女優の山﨑七海さん。監督は「自分の普段暮らしている東京でデビュー作を上映できることが嬉しい」と今の心境を語り、山﨑さんは「なぎさという役柄は、いままで自分が演じたことのない役柄で、なぎさになりきることが一番難しかった」と撮影を振り返りました。
◎スパゲティーコード・ラブ
丸山健志監督は本作について、「単純に群像劇というスタイルが好きなのですが、この映画にはいろんな悩みを持ってる人たちが登場します。その人々を通して自分を肯定するといったメッセージが伝わればいいと思っています」と語り、三浦透子さんは、「私が演じた心は歌手を目指す女の子なので、表現することを仕事にしている人間として、彼女の悩みを共感できることも多かったので、自然に演じることができた」と撮影を振り返りました。
ジャパニーズ・アニメーション部門
今回の開催で3回目となるジャパニーズ・アニメーション部門では、<2021年、主人公の背負うもの>、<アニメーター・大塚康生の足跡>、<「仮面ライダー」の未来へ>の3つの特集が組まれています。<2021年、主人公の背負うもの>では、『グッバイ、ドン・グリーズ』『フラ・フラダンス』など、注目の監督たちによる4作品が上映されます。
◎グッバイ、ドン・グリーズ
世界中で絶賛された『宇宙よりも遠い場所』のいしづかあつこ監督のオリジナル作品です。「主題歌を担当してくださったAlexandrosの川上洋平さんが“未来を大切にしたくなる映画”と言ってくださいましたが、まさにそんな映画を作れたらと考えて企画したので、とても嬉しかった」と語るいしづか監督。今までさまざまなキャラクターに命を吹き込んでこられた声優の梶裕貴さんは、自身が演じたトト(御手洗北斗)との共通点を聞かれ「なかなか正直になれないとこ、彼の中でいろいろな思いや葛藤、優しさがあるわけですが、それを素直に表に出せない、繊細なところのある青年であるところ」と答えています。
◎フラ・フラダンス
『フラ・フラダンス』は、東日本大震災の10年後の福島が舞台、フラガールを仕事に選んだ新入社員たちをめぐる物語です。フラ経験者の美山さんはフラの魅力を「どの国の方にも、言葉がなくても伝わるものがたくさん詰まっているダンスがフラです。同様にこの映画もどの国の人が見ても楽しめる作品になっていると思います」と本作の魅力と合わせ語りました。福島出身の富田さんは「主人公たちフラガールは、自分が初めて憧れを持った女性たちだったので、声を担当できるのは、憧れを持った女の子としても、地元のひとりとしてもありがたいお話で嬉しかったです」と出演の感想を語りました。
大女優イザベル・ユペールからのメッセージ
私たちには、映画が必要です。
そして、映画も私たちを必要としています。
コンペティション部門の審査委員長を務めるイザベル・ユペールが、レッドカーペットの後のオープニングセレモニーの挨拶で発したメッセージが観客の胸を打ちました。ユペールは「コロナ禍での映画作りは、大きなチャレンジです。そして、そのような状況下で映画祭が開催されたということは勝利だと思います。私は他の審査員の方々とともに、この場に立てていることは非常に光栄なことです」そして「私たちには、映画が必要です。そして、映画も私たちを必要としています」と結びました。
©2021 TIFF
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