食への感謝を神に捧げる伝統行事
 伊勢神宮の神嘗祭とは

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飽食の時代とも呼ばれ、日々の食事が当たり前になっている中、古くから神に食への感謝を捧げる祭事があることをご存知でしょうか。伊勢神宮で毎年秋に行われている神嘗祭(かんなめさい)は、食べ物を大切にしてきた日本人の、古き良き伝統文化の1つとして、現代まで大切に継承されてきました。本記事では、そんな日本の伝統文化である神嘗祭に焦点を当て、神嘗祭の持つ大切な意味合いや特徴、神嘗祭と新嘗祭(にいなめさい)の違いなどについて詳しくご紹介します。

神嘗祭とはどんな祭?

写真提供:神宮司庁(神嘗祭)

神嘗祭は伊勢神宮では神嘗正月とも呼ばれ、その年に初めて収穫された作物を天照大御神に最初に捧げるための祭事です。日本の神の中心である天照大御神は皇室の祖先とされている他、太陽神として作物が育つために必要な光を司るため、私たちの食卓とも深い関わりがあります。
神嘗祭は食を重んじる日本文化の中で、豊穣の感謝を捧げるための場として古くから受け継がれてきました。伊勢神宮の年中行事には、神嘗祭に付随した祭事が多く執り行われており、神嘗祭は神宮における年中行事の中でも、最も重要な祭事として位置付けられているのです。
伊勢神宮ならではの粛々とした雰囲気の中で行われる神嘗祭は、日本人の原点を思い起こさせてくれるでしょう。

新嘗祭との違いは?

写真提供:神宮司庁(神宮神田で収穫された新穀)

新嘗祭(にいなめさい)は八百万の神に新穀収穫の感謝を捧げるための祭事であることに対し、神嘗祭は天照大御神に新穀収穫の感謝を捧げる祭事であることが大きな違いです。新嘗祭は神嘗祭のおよそ1か月後に行われ、天皇陛下も神々とともに新穀を召し上がる習わしがあります。
神嘗祭と新嘗祭は、ともに宮中祭祀として重要な位置付けとなっていますが、新嘗祭は天皇陛下にならい、全国の神社でも同日に行われていることが多いです。神嘗祭が行われるのは伊勢神宮だけであり、昼夜を問わず外宮内宮あわせて3日間にわたり祭事が行われるなど、規模の大きい見ごたえのある祭事としても知られています。

神嘗祭の歴史

写真提供:神宮司庁(神嘗祭)

神嘗祭は『古事記』、『日本書紀』の神話が起源になっていると伝えられています。 その内容に、天照大御神が神々の国である高天原(たかまのはら)で、新穀を召し上がったと記されていることから、毎年神嘗祭では天照大御神に新穀を捧げるようになりました。
旧暦では9月17日に行われていた神嘗祭ですが、明治時代に新暦に変わると、同日で祭事を行うには作物の収穫時期が早すぎるため、1か月遅れの10月17日に祭事の日付が改められています。

2022年の神嘗祭のスケジュール

伊勢神宮の重要な神事である神嘗祭は、外宮・内宮ともにあわせて3日間かけて、多くの儀式が行われています。年に1度の規模の大きな祭事であり、普段とまた違った雰囲気を味わえるのも見どころです。 ここからは2022年の外宮と内宮にて行われる、神嘗祭の詳しいスケジュールについてご紹介します。

外宮(豊受大神宮)

写真提供:神宮司庁(外宮正宮)

豊受大御神を祀る外宮の神嘗祭のスケジュールは、10月15日(土)と10月16日(日)の2日間行われます。伊勢神宮では「外宮先祭(げくうせんさい)」といって、外宮の祭事を優先して行う作法が重んじられているため、外宮の神嘗祭が先に執り行われるのです。
10月15日の午後10時より、由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)が始まり、日付をまたいだ午前2時から由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)が行われます。由貴は「清らかさ」を表し、大御饌は「ご馳走」を意味する言葉です。
10月16日の正午からは奉幣(ほうへい)の儀として、色とりどりの反物を神様に捧げる神事が行われ、午後6時に御神楽の奉納があります。
参照:伊勢神宮公式サイト

内宮(皇大神宮)

写真提供:神宮司庁(内宮正宮)

天照大御神を祀る内宮の神嘗祭は、10月16日(日)と10月17日(月)の2日間行われます。祭事の流れは外宮と同じですが、外宮の祭事が終わった日の夜から始まるのが習わしです。
10月16日の午後10時より由貴夕大御饌、10月17日の午前2時より由貴朝大御饌が行われます。10月17日の正午からは奉幣の儀、午後6時に御神楽が奉納され、長時間にわたって執り行われた神嘗祭は、ようやく幕を下ろすのです。
参照:伊勢神宮公式サイト

神嘗祭は見ることができる?

神嘗祭は伊勢神宮の参拝時間内であれば、一般の方でも参道から祭事の様子を見ることが可能です。参拝者が見られる主な祭事は、正午から行われる奉幣の儀です。ただし、由貴夕大御饌、由貴朝大御饌、御神楽などは閉門した後に行われるため、その祭事を見ることはできません。

神嘗祭では毎年多くの参拝者が、伊勢神宮の年中最大の祭事をひと目見ようと全国から集まります。当日は大勢の参拝者で参道も混雑するため、奉幣の儀が始まる正午より少し早めに出向くようにするなど、時間に余裕を持って参拝することをおすすめします。

伊勢神宮について

伊勢神宮は内宮と外宮の両正宮、14所の別宮、43所の摂社、24所の末社、42所の所管社が鎮座しており、これら125の宮社全てをふくめて神宮といいます。「お伊勢さん」や「伊勢神宮」の名称で多くの方に親しまれていますが、正式な名称は「神宮」です。
外宮とは豊受大神宮を指し、衣食住を司り、産業の守り神である豊受大御神が主祭神として祀られています。内宮は皇大神宮であり、皇室の御祖先であるとともに、日本の大御祖神である天照大御神が祀られています。
天皇が国家と国民の繁栄と安寧を祈願するための宮中祭祀が行われる際にも、伊勢神宮での祭事が行われるなど、皇室とも深い関わりがあります。伊勢神宮は日本の神社の中で、最も格式の高い場所といえるでしょう。

神嘗祭の意味を知り、食を楽しもう

神嘗祭は豊かな実りを神や自然の恵みに感謝するための、大切な行事です。日本では古くからお陰様の精神の元、全てのものに対する感謝の気持ちを大切にしてきました。私たちの毎日の食卓においても、様々な人や自然などの恩恵と、感謝の祈りが込められているのです。 神の恵みという側面を感じることで、食材の味わい深さにも気づきやすくなり、普段の食事をより一層楽しめるようになるでしょう。 神嘗祭が行われるこの秋は、五穀豊穣に感謝し、実りを迎えた作物をじっくり味わいながらいただいてみてはいかがでしょうか。

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