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フランス南西部の「バラ色の街」
トゥールーズの魅力

フランスの観光地と言えば、パリやニースなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、こうした観光地はホテルやレストランなどの滞在費がかさむ上、ハイシーズンは観光客があふれ、ゆっくり過ごすのは難しいもの。

そんな中フランス滞在地としておすすめしたいのが、南西部の都市トゥールーズです。街を埋め尽くす赤レンガ建築から「バラ色の街」とも呼ばれるトゥールーズは、大きな都市でありながら、歴史あふれる街並みに風情が感じられ、人々もどこかのんびりとしています。スペインに程近く、フランスとスペイン両国の文化が融合したような趣も魅力的です。今回は、そんなトゥールーズの街をご紹介します。

「バラ色の街」と呼ばれるトゥールーズ

フランス南西部のオクシタニ―地方に広がる都市トゥールーズは、フランス国内人口第4位の街です。空港があり空からのアクセスも可能ですが、フランス国内から目指すのであれば、国鉄運営の高速鉄道TGVを利用してみるのもいいかもしれません。美しいフランスの景色を眺めながら、パリからおよそ4〜5時間で到着します。

トゥールーズにやってきてまず気が付くのは、街中を埋め尽くす赤レンガ建築。フランスの多くの都市で石造りの建物が見られる一方、トゥールーズではテラコッタレンガを使用した建物が目立ちます。これは、この周辺地域では採石が難しかったためと言われています。レンガにより街全体が赤く見えることから、いつしかトゥールーズは「バラ色の街」と呼ばれるようになり、現在もその美しい異名で知られているのです。

歴史とテクノロジーが共存する街

トゥールーズには、大手航空機メーカーのエアバス本社や国立宇宙センターがあることから、フランスだけでなくヨーロッパの航空宇宙産業の中心地となっています。特に、エアバスを中心とした産業は街の経済を支える柱。歴史的建造物の観光に疲れたら、エアバスの工場見学に参加したり、航空博物館を訪れてみるのも楽しいかもしれません。

そんな近代的な顔を持つ一方で、旧市街には中世の歴史的建造物が連なり、街を歩くだけでヨーロッパならではの重厚な風情を味わうことができるトゥールーズ。さらに、かつてオクシタニ―地方周辺で使われていた言語「オック語」が、今もなお看板や地下鉄のアナウンスなどで使われており、至るところから街の文化や歴史を発見することができるでしょう。

キャピトル広場とトゥールーズ市庁舎

ホテルやレストラン、さまざまなショップが集まる街の中心地に大きく開かれたキャピトル広場は、ショッピングで歩き疲れた市民や観光客がひと息つく憩いの場として愛されています。そのキャピトル広場に堂々とそびえ建つのは、18世紀に建てられたトゥールーズ市庁舎。バロック様式の建築そのものもさることながら、一般公開されている館内の壁画や天井画も素晴らしく、一見の価値があります。館内では市民の結婚式が執り行われることもあり、タイミングがよければ式を目にすることもできます。

かつて修道院だったオーギュスタン美術館

14世紀前半に修道院として建てられ、1975年に美術館として改築・開館したオーギュスタン美術館は、レンガ造りの建物がトゥールーズらしさを感じさせてくれる場所です。パリのルーブル美術館に次ぐとも言われる歴史を誇るゴシック様式の建築で、フランスの歴史的記念物として登録されています。4000点にも及ぶ中世絵画や彫刻のコレクションは、フランス全土から集められたもの。建物とともに見ごたえ抜群です。

街の象徴、ガロンヌ川とポンヌフ

スペインとフランスをつなぐガロンヌ川は、かつて物資を運搬する要路だったこともあり、トゥールーズの繁栄を支えた街の象徴です。このガロンヌ川にかかる最も古い橋が「ポンヌフ」。日中の景色も美しいですが、日が沈んでからライトアップされたポンヌフ周辺の様子は幻想的で、写真スポットとしても人気です。散歩にぴったりの川沿いは、夏はカフェやバーのテラス席でにぎわうほか、河川敷には毎年人工ビーチが特設され、ビーチバレーや日光浴、音楽フェスティバルなどさまざまなアクティビティを楽しむことができます。

全長240kmの世界遺産、ミディ運河

ユネスコ世界遺産に登録されているミディ運河は、全長240kmにも及び、17世紀からガロンヌ川と地中海を結んできました。19世紀ごろまでフランスの貿易を支えていたミディ運河ですが、現在は市民たちの散歩やジョギング、サイクリングコースなどとして親しまれています。初めてトゥールーズを訪れる際には、運河をゆくクルーズツアーに参加してみるのもおすすめです。運河沿いに並ぶ背の高い木々が、夏には緑のトンネルを作り、秋は美しい紅葉を見せてくれます。

トゥールーズで楽しむ食

トゥールーズはフォアグラの名産地として知られています。また郷土料理「カスレ」も、この地域を訪れたらぜひ味わいたい一品。カスレとは、カモなどのコンフィ、白いんげん豆、そしてソーセージなどをあわせて煮込んだ料理で、トゥールーズだけでなくフランス南西部を代表する味です。

フランスの新鮮な食材を探すなら、市内にあるトゥールーズ最大のマルシェ「ヴィクトルユゴー」に足を運びましょう。新鮮な野菜、フルーツ、肉や魚、チーズにパンなど豊かな食材が一同に集い、見ているだけでもわくわくします。

トゥールーズを拠点に、アルビやカルカッソンヌ、ピレネー山脈観光も

さて、今回はフランス南西部の都市トゥールーズの魅力をご紹介しました。トゥールーズ周辺には、画家ロートレックの出身地アルビや、中世の城塞都市カルカッソンヌ、スペインとの国境際に連なるピレネー山脈など多くの観光名所が点在します。大学都市として知られる海の街モンペリエや、スペインのバルセロナにもアクセスしやすく、旅の拠点にぴったりの立地です。

パンデミックが明け、海外と自由に行き来できるようになった暁には、トゥールーズを拠点にフランス南西部の魅力を開拓してみるのはいかがでしょうか。

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Mariko Dedap
EXSENSES公式ライター

フランス在住ライター。文化、語学、教育、食、旅、アートなどについて執筆の他、英語執筆や日英翻訳も行う。