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修道院生まれのお菓子と可愛い缶詰、
ポルトガルの”おいしい”を楽しもう

ジェロニモス修道院とともに世界遺産に登録されているベレンの塔 ©SHINICHI KOSAKA

新型コロナウイルスが猛威をふるい始めて2年が過ぎ、久しぶりにベルギーから国外へ出ました。行き先は私にとっては第二の故郷であるポルトガルです。
ポルトガル到着後、CST(コロナセイフティーチケット)を提示して、リスボン市内へ。屋外でもマスク着用している人が多く、安心感がありました。ポルトガル人のラテン気質、本来、人と人との距離が近く、ハグやキスが当たり前の国にあって、みなさんの努力を感じましたね。人々は「観光客がやっと戻ってきた」と目を輝かせていて、この先への期待に満ちていました。今回はそんなポルトガルへ”おいしい”を求めて旅をしてきましたので、本記事ではお土産にもおすすめの人気の缶詰とスイーツをご紹介します。

ポルトガルのお菓子の代表パステル・デ・ナタ

ポルトガルを代表するお菓子のパステル・デ・ナタ

ポルトガルと聞いて、お菓子をイメージする人は多いのではないでしょうか。それもそのはず、日本の洋菓子は16世紀にポルトガルから伝わってきたことが始まりとされ、私たち日本人にとって、どこか懐かしく、なじみのある味なのです。例えば、カステラ、金平糖、ボーロもルーツはポルトガルです。香港マカオのエッグタルトは日本でも人気がありますが、ルーツはポルトガルのパステル・デ・ナタというお菓子です。
パステル・デ・ナタはポルトガルを代表するお菓子で日本でも人気がありますね。私は東京にいた頃、ポルトガル料理の教室を開いていましたが、パステル・デ・ナタの回は絶大の人気でした。今回のポルトガル訪問でも折に触れ食べてきたパステル・デ・ナタ。地方色の強いポルトガルのお菓子の中で、北から南まで、あるいは、有名なカフェから、名もなきひなびたカフェまで、どこでも食べられるのも特徴です。

パステル・デ・ナタの有名店、リスボンのPastéis de Belém。
ジェロニモス修道院から伝えられたレシピを忠実に再現している名店です。

Pastéis de Belémのパステル・デ・ナタ
Pastéis de Belém
+351-213637423
08:00〜20:00(※12/24-12/26,1/1の閉店時間は19:00になります)
なし
※お買い求め・お出掛けの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

それから、久しぶりに行ったポルトガルの印象ですが、観光ブームが定着したせいか、商売っ気が出てきましたね。お店の作り、見せ方など、営業指導が入ったような印象です。どの分野も一律にスキルアップしたように感じました。
同時にフランチャイズのお店も増えました。パステル・デ・ナタを主力とするお店も例外でなく、いやむしろ、シンボリックなパステル・デ・ナタをあえて前面に出す作戦かな? と思わせるお店もチラホラ。便利な立地で度々利用したFabrica da Nataもその1つです。

Padaria Centralのパステル・デ・ナタ

そして、南部アルガルヴェ地方でも食べました。ラーゴスLagosの大好きなベーカリーPadaria Centralのパステル・デ・ナタです。

ポルトガルのお菓子が黄色い理由

パステル・デ・ナタ以外のお菓子も素朴な懐かしい味わいのものがたくさん。例えば、カステラの原型と言われるパォン・デ・ロー、ドーナツにカスタードクリームを挟んだボーラ・デ・ベルリン、ケイジャーダ(チーズタルト)など。ポルトガルのお菓子屋さんに行くと、売り場がほとんど黄色。ポルトガルのお菓子って、黄色いものが多いと思いませんか? ポルトガル人が卵好きだから? それもありますが、実は興味深いお話があります。
ポルトガルはキリスト教カソリックが主な宗教です。ポルトガル菓子のほとんどは、修道院発祥だと言われています。その昔、修道院ではシーツの糊付けに卵の白身を使っていて、黄身が常に余っていたのだそう。それを利用する意図もあって発展したので、おのずと黄身をたっぷり使う黄色いお菓子が主になったのだそうです。

シーフード王国の缶詰

スイーツ以外にも、ポルトガルの食文化は実に豊かです。その一つとして挙げられるのが、魚介類の豊富さ。国の西側全てが大西洋に面している海洋王国です。新鮮な魚介類をよく食べるのはもちろんのこと、缶詰などの加工品も豊富。お菓子に負けず劣らずの歴史と知恵が生かされています。
近年は、パッケージデザインも可愛いものが増え、お土産としても人気があります。購入先は、缶詰専門店から、お土産屋さん、もちろんスーパーマケットでも。ワインやグルメ食材を扱うお店では、こだわりの一品に出会うこともありますよ。

元祖缶詰バー Sol e Pesca

さて、缶詰ブームに追随するちょっとしたブームをご紹介。缶詰にフォーカスを合わせた飲食店があるのです。
元祖缶詰バーと呼ばれる『Sol e Pesca』は象徴的な存在です。店名は日本語で『太陽と釣り』という意味ですが、元々は釣具店で、漁を終えた漁師たちの憩いの場だったそう。内装は釣具店当時のものを生かし、壁一面に缶詰の棚があります。缶詰は購入することもオーナーオススメの調理法で料理としていただくことも可能。ドリンクと共に楽しめるというコンセプトです。
Sol e Pescaはレシピ本を出版するぐらいの先駈けですが、近年はそのアイデアを真似た、モダンなアレンジを加えたお店も増えています。

釣具店の雰囲気を残した店内
Sol e Pesca
+351-213467203
12:00〜25:00
なし
※お買い求め・お出掛けの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

グルメショップおすすめの缶詰と旬野菜で料理

今回少し珍しい缶詰を買ってきました。グルメショップの店員さんにおすすめを尋ねたところ、差し出されたのが『Barrigas de Atum』。直訳するとマグロの腹。普通のツナではなく、とてもおいしい部位(腹身)だと。私が日本人だと知ると「トロ!」という説明も加わりました。お値段も少し高めでしたが、店員さんを信じて買ってきたのがこちらです。

確かに、よく買うマグロの缶詰とは形状も違います。一口食べてみると、柔らかく繊細で、それでいて旨味は強い。これは複雑な味付けにするより、シンプルに素材を生かした方がおいしそうです。ベルギーに戻って、今が旬のホワイトアスパラとハーブのチャービルを組み合わせ、それぞれの形状を生かしたいとも思い、結果、押し寿司になりました。トッピングは相性もよく彩りも添えてくれるザクロです。

ポルトガルの”おいしい”を楽しもう!

久しぶりのポルトガルは、以前と変わらぬ温かさで迎えてくれました。そんな旅の思い出と一緒に、旅先で買ってきた食材を帰国して料理したり、味わったりするのも楽しいものです。ありがたいことに、日本でもポルトガル製品やポルトガルのスイーツを扱うお店が増えました。今回の記事が、お家でポルトガルの”おいしい”を楽むヒントに、そして自由に旅ができるようになった際、ポルトガル旅行の参考になればうれしいです。

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栗山真由美
EXSENSES公式ライター

ベルギー・アントワープ在住。
日本では料理家として活動し、著書はポルトガル料理関連の3冊、家庭料理の書籍多数。
仕事と並行して旅も続け、ライフワークは料理と旅となりました。ヨーロッパのヘソと言われるベルギーより、新鮮な現地ならではの情報をお届けします。
✐ Blog : https://ameblo.jp/castanha/
✐ Instagram : https://www.instagram.com/mamicastanha/