ヨーロッパ鉄道旅行講座【第4回】
鉄道パスを使って旅をしてみよう!(ドイツ編②)

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ヨーロッパの鉄道周遊券「鉄道パス」を使って各地を巡る旅は楽しいですよね。しかし、ヨーロッパの鉄道旅行でしばしばネックとなるのは、スーツケースなどの手荷物を自分で運ぶこと。日本と比べれば列車内に荷物置き場が多く設置されているヨーロッパの列車ですが、重いスーツケースを持ち運びながらの鉄道移動は、旅行者にとっては負担となります。そこで、このネックを解消する方法のひとつとして、鉄道のターミナル駅がある大都市に宿泊をしながら、近郊の都市を日帰り旅行することを提案します。これなら、スーツケースなど大きな荷物はホテルの部屋に置いたまま、身軽な状態で観光することができます。今回は、ドイツのフランクフルトを拠点に日帰り旅行ができる都市を紹介します。

【フランクフルト発着日帰り旅①】リューデスハイム

つぐみ横丁

フランクフルトから約70kmの位置にあるリューデスハイムは、ライン川下りの発着地で、ドイツ有数のワインの産地です。町の中心地にある「つぐみ横丁」には、ワイン酒場、レストラン、お土産物店が多く並びます。

フランクフルト中央駅からは、VIA社の普通列車(RB)が1時間に1便の割合で運行しています。フランクフルト中央駅からリューデスハイム駅までの所要時間は、1時間12分。普通列車なので、座席指定は不要。ユーレイルジャーマンレイルパスなど鉄道パスのみで利用できます。しかも毎時来る列車なら、好きなタイミングで出かけられて嬉しいですよね。

リューデスハイムの駅から町の中心地までは、徒歩10分程度です。4月中旬から10月中旬の時期は、つぐみ横丁の奥にある乗り場からゴンドラリフトで展望台「ニーダヴァルト」へ行くのがおすすめ。展望台からはライン川の絶景を一望できます。またゴンドラリフトは、ブドウ畑の上を通過しながら展望台へと進みます。眼下に広がるブドウ畑とライン川の美しい風景を楽しむ空中散歩は格別。ライン川下りをする時間が無い場合でも、ライン川の絶景を気軽に堪能することができます。

リューデスハイム観光案内所
www.ruedesheim.de

ゴンドラリフト(4月中旬~10月中旬の運行)
片道:€6.50 / 往復:€10.00
www.seilbahn-ruedesheim.de

【フランクフルト発着日帰り旅②】アシャッフェンブルク

フランクフルトから46kmの位置にあるアシャッフェンブルクは、ミュンヘンやノイシュバンシュタイン城と同じバイエルン州に属していますが、マインツ司教の影響下の時代が長かった都市です。ナポレオン戦争中に結ばれた1814年のパリ条約でバイエルン王国領となり、それ以降はバイエルンの影響下に入りました。
フランクフルト中央駅からアシャッフェンブルクは、ドイツ鉄道の快速列車(RE)が1時間に1便、高速列車ICEも1時間に1便程度運行しています。所要時間は、REで41分、ICEで29分です。RE、ICEは、共に鉄道パスのみで利用できます。
町のシンボルとなっているのはヨハネスブルク城。1619年に完成したルネッサンス様式の建築物です。ヨハネスブルク城は、第2次世界大戦で破壊されたのですが、1954年~1964年にかけて再建されました。現在は、マインツ司教影響下時代の状態に復元した城博物館と州立絵画館となっています。

城の敷地内には、マイン川沿いに広がる庭園「城庭園」やバイエルン王ルートヴィヒ1世が1848年に建設した「ポンペイアヌム」があります。「ポンペイアヌム」は、ノイシュバンシュタイン城を建設したルートヴィヒ2世の祖父にあたるルートヴィヒ1世が、建築家フリードリッヒ・フォン・ゲルトナーに命じて建設させた別荘で、イタリアのポンペイの邸宅を再現したものです。別荘となっていますが、ルートヴィヒ1世は、芸術愛好家がローマなどの古代文化を研究できる場所として建てたそうです。ヨハネスブルク城と同じく第2次世界大戦で破壊されましたが、1984年~1994年にかけて再建。モザイク床や壁の装飾など古代ローマ邸宅が再現された建物には、バイエルン州立古美術コレクションとミュンヘンのグリプトテークが所蔵するオリジナルの古代ローマ美術品が展示されています。

アシャッフェンブルク観光案内所
www.info-aschaffenburg.de

ヨハネスブルク城博物館
営業時間
4月~9月:9:00 – 18:00
10月~3月:10:00 – 16:00
休館日:月曜日、カーニバルの火曜日、12月24日、12月25日、12月31日、1月1日
料金:€3.50
https://www.museen-aschaffenburg.de/Schlossmuseum/DE_index_1083.html

ポンペイアヌム
営業時間:4月~10月 9:00 – 18:00
休館日:月曜日、11月~3月
料金:€6.00
https://www.schloesser.bayern.de/englisch/palace/objects/as_pom.htm

【フランクフルト発着日帰り旅③】ライン川クルーズ

4月~10月の時期であれば、世界遺産に登録されている「ライン渓谷中流上部」を巡るKD社のライン川クルーズを楽しむことができます。乗船するポイントはいろいろありますが、本数が多く、駅からクルーズ船の乗り場が近いのがザンクト・ゴアールです。
フランクフルト中央駅からザンクト・ゴアールまでは、普通列車(RB)や快速列車(RE)を使い、マインツやボッパルトで乗り換えて行きます。便数は1時間に1便程度。ライン川左岸線のルートを走りますので、まずは列車の車窓から「ライン渓谷中流上部」を眺めることになります。所要時間は、約1時間45分。この区間の列車も鉄道パスのみで利用できます。
ボッパルトでは、ライン川の大きな蛇行を見ることができるゲテオンスエック展望台へもアクセスできます。ザンクト・ゴアール駅からKD社の乗船口までは、約200mの距離です。KD社のクルーズ船は、鉄道パスを利用して乗船することはできないのですが、鉄道パス所持者は20%割引でチケットの購入ができる特典があります。

乗船する区間はザンクト・ゴアールからリューデスハイム間で、所要時間は約2時間。ねこ城などの古城やローレライの岩山など、船上から「ライン渓谷中流上部」の眺めをゆったりと楽しむことができます。リューデスハイムのKD社の桟橋からリューデスハイム駅までは約550mです。リューデスハイムからフランクフルト中央駅の所要時間は、前述のとおり約1時間12分です。鉄道と船を使って「世界遺産」を間近に感じてみるのはいかがでしょうか。

KDLine社(4月~10月下旬の運行)
https://www.k-d.com/en/

おすすめのホテル「シュタインベルガー・フランクフルター・ホーフ」
1876年創業のフランクフルトの代表的な高級ホテル。イタリア・ルネッサンス様式の外観の建物には303室の客室がある。客室は全室バスタブ付。18の会議室・宴会場があり、ビジネス利用客に多く使われている。スパ施設も充実しており、トルコ風ハマムを含むサウナやマッサージルームなども完備。
URL: https://hrewards.com/en/steigenberger-icon-frankfurter-hof

次回は、モバイルパスとなった「ユーレイルグローバルパス」の操作方法を紹介します。

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鹿野博規(しかのひろのり)
EXSENSES公式ライター

1999年から23年間、ヨーロッパ鉄道手配に携わる。前職では「地球の歩き方」の編集部にも所属し、鉄道手配のほか、時刻表やヨーロッパ鉄道関連の書籍制作も担当。ヨーロッパ鉄道手配のエキスパート。現在は、株式会社ワールドコンパスでEURO RAIL by World Compassを担当。

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