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夏の風物詩・かき氷。中でも「天然氷」でつくるかき氷は、ふわふわとした食感が人気です。
その天然氷の名産地が日光であることをご存じでしょうか?
今回は、日光が名産地となるまでの歴史を辿り、天然氷のつくり方や特徴、日光でおすすめの天然かき氷店をご紹介します。
天然氷とは
「天然氷」とは、湧水などの自然の水を採氷池に入れ、真冬の寒さを利用して自然の中でつくられる氷をさします。天然水でつくっただけでは天然氷とは名乗れないのですね。
氷は天然氷のほかに「純氷」と「製氷」に種類が分かれています。かき氷店で使われる氷は、主に天然氷か純氷。純氷はコンビニなどで買えるロックアイスです。人工的につくられているため天然氷より安く購入できます。製氷は自宅の製氷機でつくる氷をさします。
天然氷の歴史|日光が名産地になるまで
夏の氷=贅沢品
冷蔵庫もない時代、手間のかかる夏の氷は特権階級の人たちだけの贅沢品でした。
氷の歴史は長く、奈良時代には氷室が存在し、平安時代に清少納言が書いた「枕草子」の「削り氷(けずりひ)」が最初のかき氷と言われています。
船で北国の氷を大量に運べるようになった江戸時代末期にやっと氷が身近になりましたが、庶
民が氷を口にできるようになったのは明治時代になってから。日本で初めて氷屋が開業したのは、外人居留地のあった横浜・馬車道通りでした。
輸入氷から国産氷へ
開港以来横浜にはアメリカ・ボストンの天然氷が輸入され、主に外国人の医療目的で使われていました。出発から半年以上もかけて到着した氷は、ビール箱ほどの大きさで約30万円もしたと言われています。
高価な輸入氷に代わる国産天然氷の事業に貢献したのは「中川嘉兵衛」。失敗を繰り返しながら、安くて良質な函館産天然氷の製造・販売に成功します。
その後、日本全国に天然氷事業が普及していきました。
製氷・冷凍機械の普及
天然氷のピークは明治20年代(1887〜1896年)で、製氷機の普及により明治30年代以降は衰退に向かったと言われています。
販売競争が激化しても支持された天然氷ですが、宮内省の指定を受けた人工氷にシェアを追い抜かれてしまいます。
全国で5軒のみとなった天然氷の蔵元
昭和初期には100軒近くの氷室がありましたが、現在全国で残るのは5軒のみ。今も伝統を守り、私たちに国産天然氷のおいしさを届けています。
蔵元5軒のうち3軒が日光にあり、日光が天然氷の名産地とされる所以です。
100年以上の歴史を持つ日光の天然氷
日光で生産が本格化したのは明治時代後半で、100年以上の歴史があります。「気温は低いが雪が少ない」という天然氷づくりに最適な気候の日光には、最盛期には10数件の氷室が存在し、東京にも運ばれていました。
しかし、温暖化などの問題で年々生産が難しくなっており、現在日光では「松月氷室」「三ツ星氷室」「四代目徳次郎」の3軒の蔵元が天然氷を生産しています。
天然氷ができるまで
準備
天然氷づくりは、採氷池の底の土を畑のように耕すことから始まります。水が氷になるときの膨張を受け止められるよう、適度な柔らかさを確保するためです。木の葉やごみを取り、何度も掃除を繰り返します。
池に水を入れる
12月には池に湧水を入れますが、氷づくりはすぐ始まりません。夜間の気温が高くても低くても理想の氷がつくれないためです。
池が凍らないよう常に水を引き入れて表層を泡立たせ、よい氷がつくれると判断したら水を止めます。思うような氷ができなければ、氷を割ってまたやり直すのです。
氷を育てる
納得のいく氷が張り始めたら氷上掃除の始まりです。氷の上に雪を撒き、箒で掃きながら雪にちりやほこりを吸わせます。ちりなどがあると雪は汚れてしまうので、毎朝白くなるまで何回も繰り返すのです。
風が出れば木の葉をすくい、氷の成長を妨害する雪が降ればやむまで雪かきします。品質を落とす雨が降ればそれまでできていた氷を割ってまた1からスタート。いくら天候に恵まれた日光でも、天然氷つくりに適した天候がずっとは続きません。長年の経験で切り抜け、大事に氷を育てていきます。
天然氷の成長は1日わずか1cmほど。2週間〜20日の長い時間をかけてゆっくり凍らせることで、天然氷の特徴である硬く純度の高い氷になります。
切り出し
厚さ14〜15㎝になると切り出し作業に入ります。切り出し作業は米づくりでいうところの「稲刈り」。これまでの苦労が報われ、一番喜びを感じる瞬間です。池の氷を切り、ほとんど手作業で一枚一枚運んでいきます。
貯蔵
運ばれた氷は氷室に並べられます。
冷蔵装置のない氷室で氷を覆うのはヒノキやスギなどのおがくず。氷の貯蔵中に冷気を閉じ込め、氷の表面が溶けて出る水分を吸い取るという重要な役割を果たします。氷は表面に水分があるとどんどん溶け出してしまうので、おがくずが吸い取ることで溶けるのを防いでくれるのです。
氷室で貯蔵された半分ほどの氷が夏まで残り、おがくずをきれいに流して出荷されます。
日光天然かき氷3つの特徴
ふわふわ
天然氷でつくったかき氷の代表的な特徴といえば、そのふわふわとした食感です。
時間をかけてゆっくりと冷やす天然氷は、急速に冷やす人工氷に比べて氷に含まれる不純物が少なく、硬くて溶けにくくなります。硬い天然氷は薄くスライスできるため、空気を含んだふわっとした食感が生まれるのです。
頭が痛くならない
溶けにくい天然氷は、マイナス10℃からマイナス4℃ほどまで温めてから削ることが可能です。対する人工氷はマイナス10℃でも溶け出してしまいます。
冷たいものを食べて頭がきーんとなるのは、喉を急激に冷やして起きる脳の働きが原因とされています。少し温めてから削る天然氷はその刺激が少なくなるため、かき氷を最後までおいしく食べられるのです。
ほんのり甘く感じる
甘さを感じる理由は水にあります。
採氷池に引き入れる水は、山からの湧き水などの天然水です。天然水には普段使用する水道水に含まれている塩素(カルキ)が存在しません。
また日光は、お隣の塩谷町に名水100選に選ばれた尚仁沢湧水があるなど、もともと日光連山が育んでくれたおいしい湧き水に恵まれた場所。ミネラルという自然の恵みがプラスされ、ほんのり甘く感じられるのです。
日光のこだわり天然かき氷店4選
松月氷室 本店
日光天然かき氷の店として、夏の繁忙期には事前に整理券が配布されるほどの人気かき氷店です。昔ながらの定番シロップ系や、期間限定の「モンブラン」、生ソースにこだわった「生いちごプレミアム」などのオリジナルまで、かき氷のメニューは常時20種類以上。松月氷室直営店とあって、種類豊富なかき氷を年中楽しめます。
鉢石カフェ
創業200年以上の歴史ある和菓子店のイートインスペース「湯沢屋 茶寮」が、リノベーションした石蔵で2022年2月に名前を変えオープンしました。魅力は、松月氷室の天然氷を使用したかき氷に「抹茶ソース」など6種類からシロップを選べること。こだわりのシロップで楽しむ上品な和風かき氷は老舗和菓子店ならではです。
いっぷく味処・おみやげ処 つるや
鬼怒川温泉駅から徒歩1分で行けるおみやげ処「つるや」の2階にあるお食事処です。使用している氷は三ツ星氷室の天然氷。栃木原産とちおとめのシロップを使った「日光天然氷 とちおとめ」など、計4種類のかき氷を毎年5月上旬から9月下旬までの期間限定でいただけます。
日光珈琲 御用邸通
太い梁が印象的な商家造りの古民家カフェです。四代目徳次郎の天然氷を使っています。アイスクリームの隠れたかき氷にコーヒーシロップがかけられた「カフェ・オーレ」や、クリームあんみつの上に乗ったかき氷に黒蜜がかけられた「氷あんみつ」など、趣向をこらしたかき氷が魅力です。
日光の天然かき氷で「涼」を
伝統を守り続けてきたから味わえる、天然氷のかき氷。ふわっとした、口当たりの良いかき氷は天然氷だからこその特徴です。これからの暑い夏、名産地・日光の天然かき氷を味わい、日本の風情と「涼」を感じてみませんか?
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