【蔦屋書店】旅行コンシェルジュお薦め
この秋読みたい旅に誘う10冊(ヨーロッパ編)

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読書の秋、行楽の秋。そこで今回、代官山 蔦屋書店にお邪魔して、旅行コンシェルジュの太田千亜美さんに「旅に誘う本(ヨーロッパ編)」を選んでいただきました。太田さん自身フランスへの旅行歴をお持ちで、ホテルには宿泊せず、親の知人であるギャラリスト(美術商)宅に泊めてもらったり、アパルトマンを利用されたりと、暮らすように旅を楽しんだそうです。そんな太田さんに提案いただいた本10冊をご紹介いたします。

旅行コンシェルジュの太田さん

左)旅行コンシェルジュ太田さん 右)太田さんが担当する旅行書コーナー

太田さんが経済・経営書の担当を経て、旅行コンシェルジュとなったのは2020年のこと。ちょうどコロナ禍により、特に海外旅行のガイドブックが動かなくなってしまった時期です。そこで始めたのが、「旅に誘う本棚」づくり。人、グルメ、人工物(建築物など人が創造したもの)をテーマに、興味を抱いてもらえそうな書籍を並べ、海外旅行に行けない環境であっても、少しでも旅気分を上げてもらえるような工夫をされたそう。その時の経験が、今回のおすすめのラインナップにも生かされています。

あなたをヨーロッパの旅へ誘う本10選

01. パリのすてきなおじさん

「パリのカフェテラスで道ゆく人を観察する」という疑似体験ができる本です。『いる、いる、こんな人がいる』と共感しながら楽しめます。さまざまな人種や職業の”ムッシュ”が登場しますが、その多様性に合わせてこの本では帯も4種類のデザインが用意されています。」

太田さん、以下同
著者の金井真紀さんのイラストが実にいい

カフェテラスでの人間観察以上の愉しみ
パリ在住40年というジャーナリストの広岡裕児さんを案内役に、25歳から92歳まで、67人のおじさんをハンティング。おじさんに密着したインタビューによって、目の前の人物が形成された歴史を知れるので、その人の人生を勝手に想像するしかない人間観察以上の愉しみがあるのです。酸いも甘いも噛み分けたおじさんたちの含蓄のある言葉に、今までの価値観や固定観念は打ち壊されること間違いなし。

パリのすてきなおじさん
発行元 :柏書房
ISBN:978-4-7601-4911-7
文・絵:金井真紀
案内:広岡裕児
定価:1,760円(本体1,600円+税)

02. MAKERS PARIS(洋書)

「レストランのオーナー、ファッションデザイナー、花屋、文具店など、現地で活躍する人たちの日常を垣間見ることができる本です。さまざまなクリエイターの日常を伝えるリアルで美しい写真の数々は、見ているだけで旅気分を高めてくれます」

©Prestel Publishing

パリで活躍する人々の「仕事の流儀」
パリのユニークでクリエイティブな起業家たちの仕事の流儀や道具、情熱、歴史、インスピレーション、仕事環境などの情報にあふれた一冊です。今のパリが求めているもの、人々の欲求に対してどう対応しているのか、そしてそれをどのように自分たちの成長&繁栄に結びつけているのかを教えてくれます。今のパリを伝えるガイドブックであり、パリの日常を活写した写真が旅に誘ってくれます。

MAKERS PARIS
発行所 :Prestel Publishing
ISBN:978-3-7913-8622-5
著者:Carrie Solomon, Kate van den Boogert
現地価格:$ 40.00/£ 29.99
参考価格:5,984円(本体5,440円+税)
※蔦屋書店 2022年9月25日時点での価格。為替レート等による変動あり。

03. 巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

「文中のレシピを読むだけで(料理の)香りがするんです」

60年前のパリを描いた元祖料理エッセイ
シャンソン歌手そしてエッセイストの石井好子さん(1922-2010)が、『暮しの手帖』の初代編集長である花森安治さんに依頼され書き綴った連載を1963年に単行本として出版、半世紀以上たった今も読み継がれる元祖料理エッセイです。旅の思い出は食べた料理の記憶に紐づいていると語る著者の飽くなき食へのこだわりと愛着が行間から滲み出ています。戦後間もない1950年代、パリのアパルトマンの下宿先のマダムが作ってくれた「バタ」たっぷりのオムレツを筆頭に87の料理が登場します。

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる
発行元 :河出書房新社[河出文庫]
ISBN:978-4-309-41093-7
監修:石井好子
定価:693円(本体630円+税)

関連書籍:巴里の空の下オムレツのにおいは流れる レシピ版

エッセイに登場する87の料理の中から30に絞り込まれた、石井好子さん本人監修のレシピ本。2004年に扶桑社より刊行され、2021年に河出書房新社より復刊されました。「作りやすい、材料が手に入りやすい、新しい世界を見せてくれる」という基準のもと、初心者でも作れるものにするという目標を立てたそう。エッセイには書かれていないエピソードや後日談も掲載されています。

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる レシピ版
発行元 :河出書房新社(https://www.kawade.co.jp
ISBN:978-4-309-28863-5
監修:石井好子
定価:1,870円(本体1,700円+税)

04. ヨーロッパの図像 神話・伝説とおとぎ話

「海外に行く際、宗教・政治・人種の話はしてはいけない、と両親からも注意されていました。コミュニケーションを取る上で、人の気分を害する危険性のないおとぎ話ならよいのではと、話題のテーマのひとつとして取り上げてみました」

共有の話題づくりに役立つ一冊
本書はパイ インターナショナルで発行している「おとぎ話シリーズ」の一冊で、聖書の物語やギリシア・ローマ神話などを中心にまとめられているビジュアル本。解説用の図版は全て、いずれかの美術館に所蔵されている名画が使用されており、格調高い図録になっています。美術館巡りが好きな方や至るところ神話に結びついているギリシャが好きな方なら旅先の宗教画鑑賞がもっと楽しくなること間違いなし。

ヨーロッパの図像 神話・伝説とおとぎ話
発行元 :PIE International(https://pie.co.jp/
ISBN:978-4-7562-4401-7 C0071
解説・監修:海野弘
定価:3,080円(本体2,800円+税)

05. 僕はガウディ

「絵本のように見えて、実は対象年齢は高い。それでいて美術の専門書と違って、解説文が読みやすく、わかりやすい。写真だと流して見てしまい記憶に残りにくいけれど、デフォルメされてカラフルなイラストが素敵でパワーを感じます」

良質のバルセロナ建築散歩のガイドブック
バルセロナが誇る建築界の巨匠アントニ・ガウディの生涯と作品が写真やイラストを交えて紹介されています。ガウディ作の建築物は、バルセロナの街にアクセントを添えならがら街の一部として今も存在し、多くの旅人を誘い、魅了し続けています。2017年に一般公開解禁となったばかりの初期の作品「カサ・ビセンス」や町全体がガウディ派のデザインの「コロニア・グエル」も掲載されているので、バルセロナで建築巡りをするなら必ず持っていきたい一冊です。

芸術家たちの素顔10 僕はガウディ
発行元 :PIE International(https://pie.co.jp/
ISBN:978-4-7562-4910-4 C0071
文:モリー・クレイプール
絵:クリスティナ・クリストフォロウ
翻訳:井上 舞
監訳:岩崎 亜矢
定価:1,760円(本体1,600円+税)

06. 発酵はおいしい! イラストで読む世界の発酵食品

「世界はおいしい発酵食品に満ちているということを再確認できる本です。世界共通のものと思って発酵食品を食べると感慨深いものがありますし、次の旅行先、例えばスペインのバスク地方でシードル(リンゴ酒)を飲む自分を想像して見てください。少し楽しくなりませんか」

旅の楽しみのひとつ「食」を発酵で考える
世界の食文化を支えている発酵の仕組みや発酵食品約250点をイラスト付きで解説。日頃から馴染みのある食材から、現地でしか味わうことができないものもあり、発酵食品を通じて次なる旅へ想いを馳せてみて。家庭で簡単に「醸せる」約60種類のレシピも掲載されています。

発酵はおいしい! イラストで読む世界の発酵食品
発行元 :PIE International(https://pie.co.jp/
ISBN:978-4-7562-5112-1 C0077
著者:ferment books/おのみさ
定価:2,640円(本体2,400円+税)

07. ゴーストを訪ねるロンドンの旅

「こんなにもゴーストがいるの! という素直な驚きとそれを怖がらずに楽しんでしまっているイギリス人の国民性にも興味が引かれます」

ゴーストが教えてくれる英国の魅力
イギリスでは、ゴーストが現れるホテルは由緒あるホテルの証しとされています。ゴーストが現れるスポットはイギリス人に大人気です。本誌に登場するゴーストたちの多くは歴史上の人物なので、その出現場所も歴史的建造物が多く、観光できる場所がほとんど。ゴーストに関する歴史的背景も丁寧に解説されるので、知らないうちにイギリスの歴史にも詳しくなれるというおまけつき。著者の平井杏子さんは『アガサ・クリスティを訪ねる旅』も著しているので、ミステリー&ゴーストをテーマにイギリスを旅してみてはいかがでしょう。

ゴーストを訪ねるロンドンの旅
発行所:大修館書店(https://www.taishukan.co.jp/
ISBN:978-4-469-24590-5
著者:平井杏子
定価:2,530円(本体2,300円+税)

関連書籍:MURDER MAPS:Crime Scenes Revisited: Phrenology to Fingerprint, 1811-1911(洋書)

「そもそも着眼点が日本人と全く違う点に惹かれました。19世紀に世界中で起きた殺人事件の数々が当時の地図にプロットされ、事件の詳細が描き出されます」

©Prestel Publishing

想像力を掻き立て、惹きつけて止まない事件
タイトルの直訳は「殺人地図 犯罪現場の再訪。骨相学から指紋まで、1811-1911年」。著者は18世紀と19世紀の犯罪と刑罰の歴史が専門の社会史家であり、イギリスのノーサンプトン大学で歴史と犯罪学について教えているドリュー・グレイ博士です。事件当時の地図、写真、新聞の抜粋、警察の報告書、裁判資料などを通して、100件以上の殺人事件が誌上で再現されています。
こちらは少し違う切り口の「旅に誘う本」関連書籍です。ロンドンが舞台の「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」も登場します。この本によってミステリアスな旅に誘われる人は少数派ではないかもしれません。

MURDER MAPS:
Crime Scenes Revisited: Phrenology to Fingerprint, 1811-1911
発行所: Thames & Hudson(https://thamesandhudson.com/
ISBN:978-0-500-25245-1
著者:Dr. Drew Gray
現地価格:£25.00
参考価格:5,071円(本体4,610円+税)
※蔦屋書店 2022年9月25日時点での価格。為替レート等による変動あり。

08. ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson 世界で見つけたノスタルジックでかわいい場所

「ウェス・アンダーソン監督の映画に登場するようなノスタルジックな風景が、世界中から集められてぎっしり詰まっています。一度は訪れたくなる風景ばかりで、次の旅の目的地を提案してくれる写真集です」

世界中の冒険者たちが集めたウェス・アンダーソン的空間
映画『ダージリン急行』『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブダペスト・ホテル』の監督ウェス・アンダーソン。彼が演出する空間は、パステル調の色彩、シンメトリーな構図が特徴的です。
本書は、著者ワリー・コーヴァル氏夫妻が「ウェス・アンダーソンぽい風景」を発信するために2017年に立ち上げたコミュニティ@AccidentallyWesAnderson(https://accidentallywesanderson.com)を書籍化したもの。コミュニティには160万人以上の「冒険者(Adventurer)」が集います。あなたも冒険をシェアしてみませんか。

ウェス・アンダーソンの風景
発行所:DU BOOKS(https://diskunion.net/dubooks/
ISBN:978-4-86647-131-0
編集:ワリー・コーヴァル
翻訳:樋口武志
定価:3,850円(本体3,500円+税)

09. LAGOM “私にとって、ちょうどいい”スウェーデンの幸せ哲学

「コロナ禍になって家に籠ることが多くなったとき、旅行に行きたくても行けないという人によく売れた本です。イギリスで生まれ育った著者がスウェーデン人の男性と結婚し、日々の暮らしの中で出会った、生活を豊かにするキーワードが「ラーゴム」です。日常生活の中で穏やかな充実感を味わうために、できることから1日ひとつずつ実践してみてはどうでしょうか」

ちょうど良い快適さを求めて
この本のキーワードである「ラーゴム(Lagom)」は、スウェーデン語で「すべてにおいて中庸(ちゅうよう)」「多すぎず、少なすぎず」という意味を持ち、“自分にとって、ちょうどいい”という概念。スウェーデン人にとっては生活スタイルの基盤になっているとのこと。 著者がスウェーデンに引っ越してから学んだことのなかで、もっとも心を自由にしてくれたのは「これで十分」と満足することだったそうです。本当の豊かさとは満足することを知ることであり、日常生活や身近な人たちとの関係、社会との関わりにおいて、自分にとってちょうどいいバランスを見つけていくヒントの詰まった一冊です。

LAGOM “私にとって、ちょうどいい”スウェーデンの幸せ哲学
発行所:東洋館出版社(https://www.toyokan.co.jp/
ISBN:978-4-491-03567-3
著者:ニキ・ブラントマーク
翻訳:稲垣みどり
定価:1,760円(本体1,600円+税)

10. デカメロン2020

「世界中にコロナが蔓延し、イタリアでは2020年3月にロックダウンが発令されました。移動・行動制限があるなかで、若者たちが何を思い、どう行動したかを赤裸々に記録しています。以前のような世界には戻れないという思いを抱きながら、この時代を生きていることに連帯感を強く感じます。当たり前に海外旅行ができる環境になったとき、その喜びをこの人たちと共有したい、そう思える一冊です」

コロナ禍の閉塞感を共有した同志たちのかけがえのない記録
本書のタイトル『デカメロン2020』には、ジョヴァンニ・ボッカッチョの古典『デカメロン』の”現代版”という意味が込められています。『デカメロン』は、1348年のイタリアで大流行したペストから逃れて、フィレンツェ郊外に籠った10人それぞれの物語集です(フィクション)。『デカメロン2020』は、コロナ禍の2020年の3月10日から5月27日まで、イタリアの各地で自宅待機を余儀なくされた24人の若者たちの生の声を集めたノンフィクション。彼らの記録を未来へ伝えたいという思いで、クラウドファウンディングによって制作されました。

デカメロン2020
発行所:方丈社(https://hojosha.co.jp/
ISBN:978-4-908925-69-6
著者:イタリアの若者たち
企画・取材・翻訳:内田洋子
定価:2,750円(本体2,500円+税)

テーマを持つと旅はさらに楽しくなる

さて、代官山 蔦屋書店、旅行コンシェルジュの太田千亜美さんにセレクトしていただいた「旅に誘う10冊・ヨーロッパ編」はいかがだったでしょうか。実際に取り上げたのは、関連書籍を含めて12冊ですが、旅先選びだけでなく、それぞれの旅先での記憶に残るテーマを提案してくれることでしょう。どうぞ良い旅を!

代官山 蔦屋書店(ダイカンヤマ ツタヤショテン)
03-3770-2525
7:00~23:00 
年中無休
※最新情報は、必ず施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

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