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忍者の里で受け継がれる
職人の技「伊賀くみひも」の魅力とは

映画「君の名は。」で注目を浴びた、日本の伝統的工芸品の組紐(くみひも)。映画では、主人公たちをつなぐ重要なアイテムとして登場しました。本記事では、三重県で作られている「伊賀のくみひも」の特徴や歴史、作り方についてご紹介していきます。

伊賀くみひもとは

伊賀くみひもは、主に絹糸と金銀糸を組み糸に使用しています。色とりどりに染められた絹糸が、1本1本交わりあうことで創り出す、繊細で美しい組紐です。さらに「帯締め(おびじめ)」や「鼻緒(はなお)」など、和装に欠かせないアイテム。また手で組みあげる「手組紐」は、生産高の9割を伊賀くみひもが占めています。和装小物として活躍する伊賀くみひもですが、近年では生活スタイルに合わせ、ストラップやアクセサリーなどの商品開発もされています。

伊賀くみひもの歴史

奈良時代に、仏教と共に伝えられたとされている組紐の技術。経典の装飾や袈裟(けさ)などに用いられていました。また都が平安京に移った後、組紐は王朝貴族の装束に欠かせない装飾品となりました。

鎌倉時代には武士の道具に組紐が利用され、室町時代ではお茶の道具の飾り紐などに使用。戦国時代には鎧(よろい)や刀剣などの飾り紐となり需要が急増されることに。そのため、装身具の職人たちは江戸幕府に保護を受け、江戸に移住をして、お互いの技を競い合いました。

組み方もさまざまな種類が増え、印籠(いんろう)や羽織(はおり)の紐などにも使われるようになったのです。しかし明治時代に入る頃、廃刀令が発令。伊賀くみひもは衰退されつつありましたが、時代と共に順応することで技術が守られてきました。 また、1976年(昭和51年)12月15日に、伊賀くみひもは経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。

伊賀くみひもの制作工程

伊賀くみひもは、主に生糸や絹糸を伝統的な角台・丸台・高台・綾竹台などの組台を用いて組みあげます。一つひとつ丁寧に組みあげるため、とても根気がいる作業です。また組みあげるまでの下準備も、いくつかの工程が必要です。

1.糸割り(いとわり)
糸割りは、組紐の最初の工程です。完成品に必要な絹糸を量りにかけ、紐の本数分の絹糸の重さを量るなどして準備をします

2.染色(せんしょく)
染色は作りたい組紐の完成デザインを考えながら、ムラなく染めていきます。染色に使用されている染料は全部で7色。染料の調合の割合など判断は、熟練した職人にゆだねられています。染料を調合し、糸を染色液へ浸す。そして「ぼかし」のような濃淡が求められる場合、その深みを忠実に表現しなければいけません。そのため、染色は長年の経験や勘、技術を伴う作業となります。

3.糸繰り(いとくり)
糸割りと染色が終わった糸を、座繰り(ざくり)と呼ばれる道具を使用して、糸を小枠に巻き取ります。

4.経尺(へいじゃく)
糸繰りで巻き取った糸はさらに経尺枠に巻き取り、糸の本数や組みあげに必要な長さを整えます。

5.撚かけ(よりかけ)
経尺で本数や長さを整えた糸を、「八丁(はっちょう)」という撚りかけ車を使用して、糸を撚りかけます。糸を撚りかけると、組みあげ作業で糸が扱いやすくなります。

6.組みあげ
組紐は主に、丸組紐・角組紐・平組紐の3種類に分けられます。組紐の種類によって、丸台・角台・綾竹台・高台などの組台を使い分けをします。

明治時代、伊賀くみひもの生産が盛んだった頃は80軒以上の組紐店がありました。しかし現在では組紐を組む「組子」の減少に伴い、手編みの組紐は希少なものとなりました。

7.仕上げ
数日かけて組み上げた紐の仕上げは「房付け」です。手作業で丁寧に一本ずつ糸をほぐし、房目を糸でしっかりと結びます。そして、房を蒸気で「湯のし」をして形を整えます。最後に、「転がし台」という道具を使い、組目を整えて完成です。

一つひとつ丁寧に作られている、伊賀くみひもで作られた帯留め。見た目の美しさはもちろんですが、上質な絹糸を高密度で編みこむためしっかりとした作りです。また伊賀くみひもは、しなやかで締めやすく付け心地の良いことも特徴のひとつです。

伊賀くみひもを体験

伊賀伝統伝承館「伊賀くみひも組匠の里」では、伊賀くみひもでキーホルダーやブレスレットなどの体験が可能。組台は丸台を使用して、絹糸と金糸を組みあげます。制作時間は個人差がありますが、約30分インストラクターによる指導を受けられます。また伊賀くみひも組匠の里では、最大50名様まで受付が可能です。ただし、事前予約が必要なので下記の連絡先へお問い合わせください。

【くみひも道場】
料金:1,100円
所用時間:40分~60分(個人差があります)
制作内容:キーホルダー・ブレスレット・ストラップから選択
場所:伊賀くみひも組匠の里 1階 体験コーナー

伊賀くみひもセンター「組匠の里」
0595-23-8038
9:00〜17:00
月(祝日は除く)
※お買い求め・お出掛けの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

絹糸を組みあわせた「伊賀くみひも」を日常に

今回は古来より伝承されてきた、日本の伝統的工芸品「伊賀くみひも」について詳しくご紹介いたしました。絹糸を丁寧に手作業で組みあげた伊賀のくみひもは、和装だけでなく日常の小物やアクセサリーなどでも楽しめます。ぜひ、色とりどりで優美な「伊賀のくみひも」を体感してみてはいかがでしょうか。

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どいまちこ
EXSENSES公式ライター

高知県の古民家で保護猫2匹と暮らしているフリーライター