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「漫画アクション」連載の漫画『駅弁ひとり旅』の監修を務め、全国の駅弁6000食を完食した鉄道写真家の櫻井寛氏。北海道から九州まで全国各地の駅弁のなかから櫻井氏おすすめの駅弁を紹介していきます。第8回目は、中国編です。庶民の智恵から生まれた岡山名物「祭ずし」を味わえる駅弁がある岡山駅、米子の伝統的な「吾佐衛門鮓」の駅弁がある米子駅、そして宮島の名物「あなごめし」が味わえる駅弁がある宮島口駅の3か所を紹介いたします。
庶民の智恵から生まれた岡山名物「祭ずし」を味わう
中国地方には陰陽連絡線、つまり山陰地方と山陽地方を結ぶ鉄道路線が、東の播但線から西の美祢線まで、7ルートほど数えられる。今回はその中の伯備線、木次線、芸備線などを利用し、岡山県から鳥取県、島根県を経由して広島県に至る駅弁旅に出かけることにした。
トップバッターは、岡山駅「桃太郎の祭ずし」。
「祭ずし」の由来は江戸時代、備前岡山藩初代藩主の池田光政公が、一汁一菜の倹約令を発布したことがきっかけになったという。殿様の倹約令に対して、御馳走をご飯の中に混ぜてしまえばよいのでは?という庶民の智恵から生まれた岡山ならでは御馳走寿司が「祭ずし」の由来だとか。いかにも岡山らしい桃型容器の中には、海老煮、焼きあなご、鰆の酢漬け、ままかりの酢漬け、たこの酢漬け、あさり煮など瀬戸内海の幸が盛りだくさん。
江戸時代からの続く伝統的な「吾佐衛門鮓」を味わう
岡山駅から伯備線の特急「やくも」の車内で「祭ずし」を食べながら、次なる目的地の米子駅を目指す。陰陽連絡線の中で最も重要な幹線が伯備線だ。特急だけで、1日16往復も走っている。ちなみに、伯備線の伯は、旧国名の伯耆(現在の鳥取県西部)、備は備中(岡山県西部)。つまり鳥取県と岡山県を結ぶことを意味している。特急「やくも」の車両は、旧国鉄時代に開発された世界初の振り子式電車381系だ。中央本線や紀勢本線などで活躍し、最後の舞台が伯備線となった。引退の日は遠くないだけに、最後の力走に声援を送りたい。
山陰地方の鉄道発祥の地、米子駅で求めた駅弁は、「吾左衛門鮓鯖(5貫入り)」。米子名物「吾佐衛門鮓」は、300年になんなんとする伝統の駅弁。江戸時代、回船問屋、米屋吾佐衛門が船子たちの弁当として考案したのが始まりである。日本海の荒波で育まれ脂ののった寒鯖を酢でしめ、北海道産真昆布で包んだ棒鮓。酢飯には棒鮓に最適な鳥取産ヤマヒカリを使用。これらが一体となった深い味わいがたまらない。調味料は醤油のほかに笹塩が選択できるのも嬉しい。
百年以上続く宮島名物「あなごめし」を味わう
米子駅からは山陰本線を宍道駅まで乗って、木次線、芸備線を乗り継いで広島へと向かう。木次線は全線、芸備線は備中神代―下深川間が輸送密度1000人未満の赤字ローカル線である。それだけに大いに応援したい陰陽連絡線なのだ。
広島からは山陽本線に乗り換えて、およそ30分で宮島口駅に到着する。言うまでもなく、世界遺産「宮島」の玄関駅である。
ここの名物駅弁が「あなごめし弁当」だ。魚市場ではなく、漁師から直接届けられる100匹のうち数匹しかいない極上の金穴子を、明治34年の創業当時から受け継がれてきた秘伝のタレにつけてじっくり焼き上げる。味も形も大きさも創業当時のまま。蒲焼きの旨味がご飯に馴染んで美味しくなる「なれる」のを待てばさらに旨味が増す。「出来たてから2時間後がお薦めです」とは、上野社長からのアドバイスだが、その2時間が待てません!
名物駅弁を片手に初夏の中国地方の旅に行こう!
岡山、鳥取、広島など中国地方も、その土地の食材を使った美味しい駅弁が多くあります。
少し時間はかかりますが、山陽から山陰へ、山陰から山陽へと特急列車とローカル列車を組み合わせながら、のんびりと途中下車をしながら鉄道旅のお供に名物駅弁を楽しむのはいかがでしょうか。
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