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食事時間の長さは世界一!
美食の国・フランスの食事情

美食の国、フランス。豊かな食材に、チーズやワイン。とにかく食べることが大好きなフランス人ですが、その「食事時間の長さ」もまたよく語られるところです。OECD(経済協力開発機構)によると、フランス人が食事に費やす時間は世界一という調査結果も出ているほど。今回は、そんなフランスの食事スタイルについて詳しくご紹介します。

フランスの世界一「長い」食事はどんな感じ?

食事時間はいったいどのくらい?

「長い」と言われるフランスの食事時間ですが、具体的にいったいどのくらいの時間をかけているのでしょう。

2015年にOECDが行った調査(※)によると、フランス人が費やす食事時間は、なんと1日平均131分。これは、2位のイタリアや3位のギリシャを抑え、堂々の世界1位という結果です。

ただ、ひと口に「長い」と言っても、朝・昼・夕のそれぞれの食事時間、また平日や休日などの違いによって食事時間は大きく異なります。一般的に、「朝食はパンとコーヒーだけ」、昼食も「平日は仕事の合間にさっと済ませる」という場合が多く、食事時間が長くなるのは平日の夕食や休日の食事などです。

中でも週末、家族や友人と集まる食事の場は長時間に及ぶことが多く、平均で3~4時間、長い場合は5~6時間もの間、テーブルで食事を楽しむなんていうことも珍しくありません。

※参考 OECD「Balancing paid work, unpaid work and leisure」

どうしてこんなに長い?

フランスの食事は、通常「アペリティフ(前菜)、メイン、チーズ、デザート」という流れに沿って進められ、一品一品別々に運ばれてくる料理を順に楽しみます。フランス料理のレストランでも必ずこの順番で料理がサーブされますが、家庭における食事の流れも、基本的にはこれと変わらないのです。

一品ごとにゆっくり料理を楽しむため、当然、全体の食事時間は長くなります。加えて、おしゃべりが大好きなフランス人。お酒を飲みながら、最近の出来事やニュースなど尽きない話題に花を咲かせていると、あっという間に数時間もの時間を食卓で過ごしているなんていうことに。

大切な人たちとともに、リラックスして食べたり飲んだりする時間は、フランス人にとって特別な意味を持つ贅沢な時間として考えられているのです。

フランスの食事の流れ

アペリティフと呼ばれる前菜の時間は通称「アペロ」と呼ばれ、家での食事もレストランでの食事もこのアペロから始まるのが一般的。オリーブやハム、ナッツといった簡単なつまみを片手に、談笑しながら軽く一杯ビールなどを飲む時間です。一概には言えませんが、約30分ほどこのアペロタイムを過ごし、場が温まったところでメインに移ります。
メインは魚料理や肉料理など。付け合わせに野菜やじゃがいもを使った料理が出されることが多く、料理と相性のいいワインとともに楽しむのがお決まりです。テーブルには必ずバゲットが用意され、食事と一緒に食べたり、食後、プレートに残ったソースを拭き取るようにして食べます。

メインのあとはチーズの時間。「フランスと言えばチーズ」というほど、チーズの豊富な種類とその消費量で知られるフランスでは、通常、メインを楽しんだあとに「チーズタイム」が特別に設けられています。数種類のチーズが用意され、各自パンに載せるなどして味わいます。

そして最後はデザートタイム。近所のパティスリーのケーキや、ホームメイドのタルト、チョコレートムース、夏であればアイスクリームなど、最後は甘いもので締めくくります。

長い食事のきっかけは?

長い食事の大きな理由ともなっている、この「一品一品順を追って食べる」というフランスの食事スタイル。一説によると、その起源は18世紀にさかのぼると言われています。
1789年のフランス革命を前に、王権統治下にあった18世紀フランス。若干200~300年ほど前のこの頃、王家の食事は「複数の料理を一気にテーブルに並べて食べる」という、今とは真逆のスタイルだったと言われています。

しかしこれでは、王家に仕えるシェフはすべてのメニューを一気に調理しなければならず、キッチンがあまりに忙しい。また、一度に多くの料理がテーブルに並ぶため、食事をしている間に料理がどんどん冷めてしまう。「一度にすべての料理を並べる」という当時のスタイルは、シェフ・王家の両者にとってあまり好ましいものではありませんでした。

そこでこの問題を解決しようと取り入れられたのが、ロシアに起源を持つとされる「一品一品料理を提供する」という現在のスタイルです。寒いロシアの地では、「料理が冷めないように」と、温かい料理を一品ずつテーブルに運ぶスタイルが一般的でした。

こうして18世紀、まず王家で取り入れられたこの食事スタイルは、王権崩壊後の19世紀、市民社会の幕開けを迎えたフランスで、大衆食堂を中心に国全体へ広がっていきました。今ではあまりに一般的な「順を追って食べる」というフランスの食事スタイルは、意外にも歴史が浅いものだったのです。

長い食事時間は、大切な人と過ごす贅沢な時間

今回は、長時間に及ぶフランスの食事について詳しくご紹介しました。「料理が冷めないように」という合理的な理由から始まったこの文化も、現在ではフランスの食文化や人間関係を語る上では欠かせないものとなりました。

おいしいお酒や食事とともに深める友人や家族との関係。こうした時間の贅沢さを知り大切に思うからこそ、フランス人は惜しみなく食事に時間を費やすのかもしれません。

気持ちに余裕のある週末や金曜の夜、いつもよりゆっくりとテーブルに着き、時間を気にせず大切な人と語らってみる。たまにそんな時間をとってみると、いつもより少しだけ豊かな気持ちになるかもしれません。

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Mariko Dedap
EXSENSES公式ライター

フランス在住ライター。文化、語学、教育、食、旅、アートなどについて執筆の他、英語執筆や日英翻訳も行う。