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マドリッド(Madrid)から北東に位置するカルトハル(Caltojar)は、知る人ぞ知るアートの村。村の壁には多くのピカソの模写作品が描かており、美術に関心のある人だったら通り過ぎてしまうことができない魅力あふれる場所です。今回は、そんなスペインの小さな村カルトハルをご紹介します。
カルトハルってどんな村?
カスティージャイレオン(Castilla y Leon)地方のソリア(Soria)県の人口60人ほどの小さな村、カルトハル(Caltojar)はマドリッド(Madrid)から北東180キロメートルの場所にあります。村の名の語源はアラビア語で国境の砦という意味です。かつてはキリスト教国とイスラム教国の境の村だったこともあり、1000年前にイスラム教徒によって作られた見張りの塔が今もなお存在しています。
村への交通手段は、マドリッドからレンタカーで約2時間半、またはマドリッドからシグエンサ(Siguenza)まで列車で行き、そこからタクシーで約50分です。
ピカソ!ピカソ!ピカソ!なぜここに?
まずは歴史の話を少し
ピカソはスペイン共和国政府に依頼を受け、1939年のパリ万博に出展するためにスペイン市民戦争時(1936年から1939年)のナチスによるバスク地方のゲルニカ村爆撃をテーマにしたこの作品を描きました。非常に斬新な手法で描かれたゲルニカは賛否両論を巻き起こし、人々に強いインパクトを与えました。政治的な意味合いも強いこの作品は、万博終了後、ヨーロッパ諸国の展示会に出展されました。その後フランコ独裁政権が始まったスペインに行くことはなくアメリカに送られました。
ゲルニカをスペインへという運動は長く続けられていましたが、ピカソ生誕100年(1881年スペインのマラガで誕生、1973年91歳フランスで死去)を記念する1981年にやっとそれが実現されました。長年の悲願であったゲルニカがスペインに返還される年、スペイン全土でピカソに対する関心が非常に高まっていました。そしてその時、カルトハルの子供達が大人にサポートされながら、村の壁に数々のピカソの作品を模写していくことを思いついたのです。当時の村長のアンヘルモリナのバックアップもあり、村をあげての大事業となりました。村の中心を走る道路に立ち並ぶ建物の壁にプロジェクターで絵を映し、形を縁取っていきました。そして原画に忠実に色をつけていったのです。それは大変労力のいる仕事でした。そのような緻密な作業を繰り返しながら550点以上のピカソの作品がこの小さな村に再現されたのでした。
2014年に大掛かりな修復が行われました。辺鄙な場所ではありますが、ピカソ複製コレクションを見るためにカルトハルまで足を伸ばす人は少なくありません。
カルトハルの人々がピカソの壁画を描いたのには理由があった!
カルトハルから約1キロメートルほどの場所に11世紀後半に作られたサンバウデリオ礼拝堂(Ermita de San Bauderio)はあります。外観は質素なカスティージャ地方にはよくある建物です。もし予備知識無しで中に入ったら、鮮やかな壁画の存在に驚かされることは間違いありません。小さな教会の中に壁から天井まで美しい色彩でいきいきと動物や人物、植物が描かれているのです。非常に美術的価値の高いもので、現在その一部はプラド美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などでも展示されています。
現在プラド美術館にある壁画は1926年に同礼拝堂から剥がし取られ、アメリカ人に売られ、その後メトロポリタン美術館からスペインの別の美術品(サン・マルティン教会の後陣)の委託と引き換えに無期限で貸し出されたものなのです。
当時の教会の所有者が12世紀の壁画を22枚剥がし取り、外国に売ってしまうという事件がありましたが、現存する壁画は1000年近い時を経た今も訪れる私達を迎えてくれます。アルタミラ洞窟の動物たちを思わせる描写があり、またイスラム教美術の緻密さも感じられますが、キリストを崇拝し、その姿や生涯を描くことが主旨であったことがうかがえます。このような壁画を幼い頃から間近に見て親しんできた村人たちにとって壁に絵を描くということはとても自然なことであったのだろうと言われています。
カルトハルでピカソの壁画やサンバウデリオ教会を見た後の楽しみは?
カルトハルの近くをドライブしたら、9月第1週であったにも関わらず、ひまわりが満開だったので車を止めて記念撮影しました!季節が合えば、ドライブしながらひまわり畑で記念撮影はいかがでしょうか。
その他にも、カルトハルから約10キロメートル離れたところに、15世紀に建築された城があるベルランガデルデュエロ(Berlanga de Duero )村があります。村の広場近くにあるレストランではテラス席でゆっくりと食事を堪能することができます。アートを楽しみながらのんびり田舎を楽しむのはいかがでしょうか?
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