車窓の絶景を楽しみながら楽々移動
スイスで満喫!鉄道とハイキングの旅

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スイスのゴルナーグラート鉄道を下車してハイキングをする様子
ゴルナーグラート鉄道は途中下車ハイキングも楽しめる絶景登山電車だ

九州と同じくらいの面積のスイスは交通網がよく整い、3000mを越える展望台にも簡単にアクセスできます。鉄道やロープウェイを使って一気に展望台に上り、そこから下るハイキングもスイス各地で体験できます。山岳交通を使って気軽に楽しめるスイスのハイキング旅をご紹介します。

魅力いっぱいのスイス交通ネットワーク

国中を公共交通機関で移動できる

スイスのクライネ・シャイデックに向かう登山電車内
クライネ・シャイデックに向かう登山電車。窓が広くどの席に座っても眺めを楽しめる

スイスは鉄道やバス、湖船などの公共交通機関網が整っており、運行時間も非常に正確です。日本のように時刻表を元に旅程を組むことができ、国の隅々までアクセスすることができます。鉄道だけでなくロープウェイやケーブルカー、湖船、山間を走るポストバスなど、さまざまな交通手段が使えるのも魅力です。

パノラマ列車があり、車窓から絶景を見ることができる

スイスの「ランドヴァッサー橋」を渡るグレッシャー・エクスプレス
路線の見どころのひとつ「ランドヴァッサー橋」を渡るグレッシャー・エクスプレス

スイスはアニメ『アルプスの少女ハイジ』そのままの景色と出合える国で、車窓からもその絶景を楽しむことができます。窓が大きいパノラマ列車も数多く走っており、乗車そのものを旅の目的にできる路線もあります。人気の「グレッシャー・エクスプレス」は、山岳リゾートのツェルマットとサン・モリッツを約8時間で結んでいます。自分の座席でできたての食事を楽しむこともできる観光列車で、日本語解説のオーディオガイドもありますので、充実した車窓観光も可能です。

スイスのベルニナ・エクスプレス
沿線の絶景度ではスイスでも指折り。この路線の最高地点(標高2253m)を走るベルニナ・エクスプレス

短時間でも濃密な乗車体験ができるのは、世界遺産に登録された路線を走る「ベルニナ・エクスプレス」です。チューリヒから特急電車で約1時間20分の、スイスの古都クールとイタリアのティラーノを結ぶ便(所要約4時間)のほか、サン・モリッツからの乗車も可能で、2時間20分の乗車で肌寒い氷河の景色から、汗ばむほどの陽気のティラーノまで、景色の変化を楽しみながら乗車することができます。

特典いっぱいの鉄道パスが使える

スイスの駅
パスがあれば好きな電車に乗って自由自在に旅ができる

スイスには多くのエリアで乗り放題パスとして使える鉄道パス「スイス・トラベル・パス」があります。連続タイプと使用日を決めて使用するふたつのタイプがあり、山岳交通は割引運賃で利用できます。博物館や美術館に無料で入場できるミュージアムパス機能もあるので、都市滞在でも利用価値が高い鉄道パスです。

おすすめのハイキングエリア

マッターホルンの里、ツェルマット

スイスのマッターホルンの里ツェルマット
登山鉄道の車窓から見るツェルマット村とマッターホルン

ツェルマットは独立峰マッターホルンを望む標高1620mの山岳リゾートです。世界的な観光地ですがこぢんまりとした村で、ガソリン車の通行が禁止されています。村の中心部の教会付近は、古くからの穀物小屋も並ぶ風情ある景色ですので、村の散策も楽しみましょう。周辺のハイキングコース総延長は400kmにもおよび、真冬でも整地されたコースを歩くハイキングを楽しめます。

マッターホルンを見ながら歩くハイキングコース

氷河とマッターホルンの景色が見られるスイスのゴルナーグラート鉄道の車窓
氷河とマッターホルンの景色が見られるゴルナーグラート鉄道の車窓

人気のハイキングコースは、登山鉄道のゴルナーグラート鉄道で途中下車してマッターホルンを見ながらひと駅下るルートです。終点のゴルナーグラート駅のひとつ手前のローテンボーデン駅から、山岳ホテルのあるリッフェルベルクまで下るこのルートでは、逆さマッターホルンの景色を見ることができます。一部急な下りルートがありますが、慎重に歩けば初心者でも問題なく歩き通すことができます。ゆっくり歩いて1時間半ほどです。

スイスのシュテリゼー湖畔
シュテリゼーで逆さマッターホルンを見るなら風の穏やかな朝の早めの時間がおすすめ

ローテンボーデンの駅を出て右に下ると逆さマッターホルンが見られるシュテリゼー湖畔に下りることができます。時間に余裕があれば左に下って、ゴルナー氷河の景色も味わいましょう。プラス30分ほどの所要時間を見ておけば十分です。

スイスのゴルナー氷河
ちょっと寄り道するだけで、この氷河の風景に出合える

『アルプスの少女ハイジ』の世界が広がるユングフラウ地方

スイスのクライネ・シャイデックからヴェンゲンに下るハイキングコース
クライネ・シャイデックからヴェンゲンに下るハイキングコースもおすすめだ

スイスの中央部に位置するユングフラウ地方は、スイス各地からのアクセスがよく、周遊ルートで展望台を巡ることもできる人気観光エリアです。ベースとなる人気山岳リゾートは、日本とも関係が深いグリンデルワルトで、2020年に運行を開始したアイガー・エクスプレスのおかげで、ユングフラウヨッホ観光の所要時間が大きく短縮されました。

スイスのユングフラウヨッホに向かう登山電車
クライネ・シャイデック駅を出てユングフラウヨッホに向かう登山電車

初心者にも優しい絶景ハイキングコース

ここでおすすめのハイキングルートは、ロープウェイで上るメンリッヒェン展望台からクライネ・シャイデックまでの、ゆっくり歩いて2時間弱のコースです。全体に緩やかな下り坂で、子供からお年寄りまでハイキングを楽しんでいます。

スイスのメンリッヒェン展望台からクライネ・シャイデックまでのハイキングコース
コース上にはベンチも設けられ、絶景を見ながらピクニックすることもできる

ユングフラウヨッホ展望台に上るのも忘れずに!

このハイキングコース終点のクライネ・シャイデックは、ユングフラウヨッホ展望台に上る登山鉄道の始発駅です。ユングフラウヨッホまでは、アイガー山をくり抜いて作ったトンネルを上る登山鉄道に乗車します。

スイスのスフィンクス展望台
左の山の上にある建物がスフィンクス展望台。雪原ではスノーアクティビティも体験できる

頂上駅のユングフラウヨッホ駅はヨーロッパで最も高い場所(標高3454m)にある鉄道駅。エレベーターで上ることができるスフィンクス展望台の標高は3571mで、360度のパノラマを見ることができます。ユングフラウ地方では真っ先に訪れたい展望台です。真夏でも真冬並の寒さですので、しっかりした防寒着を準備して訪れましょう。

ハイキングを安全に楽しむには

標識を確認しながら歩きましょう

スイスのハイキングコースにある標識
標識記載の所要時間は山歩きに慣れている人向け。実際の所要時間は3~4割増と考え行動を

スイスのハイキングコースはよく整えられており、標識も立てられています。そこには目的地と難易度が示されており、所要時間が書かれていることもあります。赤線を上下の白い線で囲んでいるサインは難易度の高い登山道が含まれるコースです。

下り坂では十分注意して

スイスのハイキングコース
見た目はたいしたことがないように見えるがけっこうな傾斜がある。足元に注意しながら歩きたい

上りは体力を消耗しますので、下りのハイキングを選ぶ方も多いと思います。しかし下りは楽なように思えますが、足に想像以上の負担がかかります。足に疲れがきていると、踏ん張りがきかなくてちょっとしたきっかけで転んでしまうことがあります。足元を確かめながらゆっくりと慎重に歩きましょう。

最終便の運行時刻の確認を

スイスのヴェンゲンからメンリッヒェンに上るロープウェイ
ヴェンゲンからメンリッヒェンに上るロープウェイには屋上席が設けられている(追加料金が必要)

まだサマータイムが導入されていることもあり、夏のスイスは20時を過ぎても十分行動できるほどの明るさがあります。しかし山岳交通の中には17時台には最終便の運行を終了してしまう路線もあります。帰りもロープウェイやケーブルカーなどの利用を考えている場合は、必ず最終便の時刻を確認しておき、時間に余裕をもって利用しましょう。

便利な鉄道パスも活用して楽しみましょう

スイスのハイキングコースでみられる花畑
初夏は花畑のハイキングも体験できる。6月から7月上旬がおすすめ

スイスの鉄道旅は景色も乗車体験もすばらしいものです。さらに鉄道パスがあれば天気が悪ければ町へ、天気がよくなったら山へと、フレキシブルに行動できます。展望台まで一気に上り、好きな区間で途中下車ハイキングを行うことができるのは、スイスならではの楽しみ方です。滞在場所だけ決めて、天候を見ながら自由に動けるスイス旅を体験してみませんか。

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小山田浩明(おやまだ ひろあき)
EXSENSES公式ライター

フリーランスのフォトグラファー。会社員時代は、海外旅行ガイドブック編集部で52カ国を担当。特に北欧、スイス、オーストラリアの取材経験が豊富。

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