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世界遺産の港町、ポルト
歴史あふれる旧市街を歩く

ポルトガル北部の港町ポルトは、リスボンに次ぐポルトガル第2の都市です。石畳の道と歴史が詰まった建築物が並ぶ旧市街は、1996年にユネスコ世界遺産にも登録されており、ため息が出てしまうほど美しく風情ある景観が広がります。ローマ時代には「カレの港」の名で栄え、現在もポートワインの輸出が盛んなポルト。今回は、ポルトガルという国名の由来にもなったポルトの街をご紹介します。

ポルト旅行、ベストシーズンは春

ポルトの空港から歴史地区を中心とする市内までは地下鉄で約40分、タクシーを使えば約30分で到着します。リスボンから向かう場合は鉄道で3時間ほど。市内のサン・ベント駅に発着します。

ポルトは比較的こじんまりとした街で、2〜3日もあれば観光スポットをひと通り見て回ることができるでしょう。治安はよく人は陽気で、街の至るところで誰かが奏でる音楽を耳にします。昔ながらのでこぼことした石畳に加え、街全体の勾配はきつく坂道が多いため、スニーカーやフラットシューズが必須です。

ポルトを訪れるのであれば、温暖で雨天の少ない4〜6月ごろがおすすめです。7〜9月も天気はいいですが、日差しが強い上、ヨーロッパのバカンス客であふれるため、「ゆったりとした雰囲気を楽しみたい」という人にはあまり向きません。

ポルトおすすめの観光スポット

ポルトの象徴、ドウロ川の沿岸から旧市街へ向かっていくと、まず目に入るのはボルサ宮前に建つエンリケ航海王子の像です。ポルトの繁栄は、15世紀のエンリケ航海王子の功績によるところが大きく、今でもこのように街の真ん中にその姿を残しています。

さてここからは、ポルトへ行ったら訪れたい街の見どころをご紹介します。

アズレージョが美しいサン・ベント駅

筆者撮影:サン・ベント駅構内のアズレージョ

1900年ごろに修道院の跡地に建てられたサン・ベント駅は、旧市街中心地に位置するポルトの陸の玄関口です。

アメリカのある旅行誌で「世界で最も美しい駅」に選ばれたこともあるサン・ベント駅は、鉄道利用者以外の観光客も数多く訪れるポルト屈指の観光スポット。これほどまで多くの人々を魅了するのは、駅構内の壁面を埋め尽くす2万枚もの青い装飾タイルです。ポルトを歩くとよく見かけるこの青い装飾タイルは「アズレージョ」と呼ばれ、ポルトガル建築の象徴とも言えます。サン・ベント駅のアズレージョは、エンリケ航海王子の遠征シーンを含むポルトガルの歴史が描かれた大作で、駅構内はまるで美術館のようです。

ポルト市民の台所、ボリャオン市場

筆者撮影:ボリャオン市場の様子

ポルト散策中におなかが空いたら、「ポルト市民の台所」の名で呼ばれるボリャオン市場へ向かいましょう。180年もの長い歴史を持つボリャオン市場は、老朽化が進んでいたこともあり、2022年9月に改修工事を終え再オープン。モダンで整然とした市場へ生まれ変わりました。

新鮮な海の幸をはじめ、肉や野菜、果物、生花、オリーブ、パン、缶詰やキッチン用品などさまざまなものが一堂に集い、お土産選びにもぴったりです。市場の一角には飲食エリアも設けられているため、サンドイッチやコロッケ、ワインやビールなどをテイクアウトし、その場でポルトの味を楽しむのもおすすめです。

ドウロ川とドン・ルイス一世橋

スペインとポルトガルを流れるドウロ川沿岸には、カラフルな建築物を背景に、レストランやカフェのテラス席が連なります。ここからボートに乗り川を下るのも気持ちが良いでしょう。

ボートクルーズでくぐり抜ける数々の橋のうち、ドン・ルイス一世橋はぜひ訪れたい場所でもあります。この橋は、パリのエッフェル塔を建設したギュスターブ・エッフェルの弟子が建てたことで知られており、上層階はメトロと歩行者が、下層階は自動車と歩行者が通過できるようになっています。上層階からはポルトの街が一望でき、息をのむほどの絶景が広がります。

サン・フランシスコ教会とポルト大聖堂

ポルト市内には数々の教会が点在していますが、中でも訪れたいのは、1380年代に建てられたサン・フランシスコ教会です。建設当初はゴシック様式だったこの教会は、17世紀ごろバロック様式へ増改築されたという経緯を辿りました。教会内部は細部に至るまで贅沢に金が施されており、改築された17〜18世紀当時のポルトの繁栄が伺えます。

ポルト市内最古の建造物として知られるポルト大聖堂も観光客の人気を集める教会のひとつです。こちらも増改築が繰り返されたため、ロマネスク様式やゴシック様式、バロック様式などさまざまな要素が入り混じっているのが特徴です。

港町ポルトで魚介類に舌鼓

レストランやバーでいただくタパスをはじめ、新鮮な魚介類は港町ならではの楽しみです。中でもポルトの名物として知られるのは、イワシの炭火焼きと塩漬け干しダラの「バカリャウ」です。長期保存が効くことから昔からポルトガルで重宝されてきたバカリャウは、市場やスーパーなどで独特の強い匂いを放って売られています。

レストランではバカリャウを使った数々の料理が、ボリャオン市場では食べ歩きにぴったりのバカリャウコロッケがいただけます。

歩くだけで感性を刺激される街

筆者撮影:ポルトの街並み

カラフルなタイルが彩る建築物や、自動車が石畳の上を走る音、ストリートアーティストたちが奏でる音楽に、歴史が色濃く残る旧市街。ポルトの街は、歩くだけで私たちのインスピレーションを大いに刺激してくれます。
そんな魅力的なポルトですが、日本人旅行客はまだまだ少ないヨーロッパの穴場的観光地。来年の春夏ごろにヨーロッパ旅行を検討されている方は、ぜひポルトへ足を運んでみてください。

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Mariko Dedap
EXSENSES公式ライター

フランス在住ライター。文化、語学、教育、食、旅、アートなどについて執筆の他、英語執筆や日英翻訳も行う。