テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ
英国国立美術館テート所蔵の名品が集結!

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英国の国立美術館「テート」のコレクションから「光」をテーマに厳選された作品を紹介する展覧会「テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ」が、東京・六本木の国立新美術館において、2023年7月12日(水)〜10月2日(月)の会期で開催中。18世紀末から現代までの約200年の間に、さまざまなアーティストたちがどのように光の特性に向き合い、その輝きを作品としていかに昇華させてきたか、その軌跡をたどる企画展です。

黒川紀章デザインの国立新美術館

「カーテンウォール」が美しい黒川紀章設計の美術館

テート美術館展の会場となるのは、日本を代表する建築家、黒川紀章(1934-2007)の設計により、2007年1月に開館した国立美術館です。日本で5館目の国立美術館で、美術品コレクションを持たず、公募展や大規模な企画展の会場となっています。30近い美術館の設計に携わってきた黒川氏設計の最後の美術館で地上4階、地下1階の建造物。たくさんのガラスで構成される高さ22メートル、幅約160メートルに及ぶ巨大なカーテン状の壁面「カーテンウォール」が印象的です。「森の中の美術館」をコンセプトにしていて、隣接する青山霊園と青山公園の緑地との連続性も考慮され、緑の木々に囲まれた美しい美術館です。

TATE(テート美術館)とは

ロンドンのミルバンク地区テムズ河畔にあるテート・ブリテン

テートは英国政府が所有する美術コレクションを収蔵・管理する組織で、ロンドンのテート・ブリテンとテート・モダン、テート・リヴァプール、テート・セント・アイヴスの4つのアートギャラリーのネットワークで構成されています。同ギャラリーは、1897年にナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アートとして設立されましたが、近代美術のコレクションを含むようになり、その役割が変更されると、コレクションの基礎を築いたテート&ライルの砂糖王ヘンリー・テートにちなんで、1932年にテート・ギャラリーと改名されました。その後、2001年にテート・ブリテンと名称を変えリニューアル。1993年にテート・セント・アイヴス、1988年にテート・リヴァプールが設立され、2000年には、20世紀から現代までのイギリスと世界の近現代美術のコレクションを展示するテート・モダンが開館し、現在のテートへと姿を変えています。

1987年に増築されたクロア・ギャラリーには、ターナー自身が寄贈した3万点を超す油絵、水彩画、素描が収められている

16世紀から現代までのイギリスの著名なアーティストたちの傑作が一堂に会するテート・ブリテンは、まさに英国の美術史そのものです。そして、特筆すべきは英国を代表する画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー遺贈の作品を展示するクロア・ギャラリーの存在です。遺贈品は、1851年のターナーの死後、彼のアトリエに残されたすべての作品を含む、300点の油彩画と数千点のスケッチや水彩画(300冊のスケッチブックを含む)で、テートのターナー・コレクションの大半を占めています。

ロンドンのサウス・バンク地区テムズ河畔にあるテート・モダン。ジャイルズ・ギルバート・スコットの設計した旧バンクサイド発電所の建物を改築し、2000年5月にオープン

LIGHT Works from the Tate Collection

展示のテーマは「LIGHT・光」です。「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや同時代を生きたライバルの風景画家ジョン・コンスタブルなど英国の近代美術史を彩る画家たち、印象派のクロード・モネ、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーなどの創作ほか、モホイ=ナジ・ラースローの映像作品、バウハウスの写真家たちの実験的な作品、ブリジット・ライリー、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン等の現代アーティストの視覚体験など、幅広い作品が展示されています。展示作品約120点のうち約100点が日本初出品です。

18世紀の英国絵画から現代まで

展覧会では、18世紀の英国絵画の傑作に始まり、現在に至るまでの世界中のアーティストの作品が展示されています。絵画、彫刻、没入型のインスタレーションとその表現する手段は異なりますが、さまざまなアーティストたちが「光に憧れ、光を捉える」という創作の動機は共通です。会場内は7つの章[精神的で崇高な光、自然の光、室内の光、光の効果、色と光、光の再構成、広大な光]で構成されていますので、展示テーマ順にご紹介いたします。

第1章:精神的で崇高な光

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ《愛と巡礼者》(1896-97年)

18世末から19世紀の初めにかけて、英国の美術界で宗教を主題とする作品が広まると、善、真実、純水といった象徴的な意味をもつ「光」を描き、光と闇の相互作用を用いて精神的な主題を表現しようとしました。鑑賞者に畏怖の念を喚起する作品が並んでいます。

第2章:自然の光

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《湖に沈む夕日》(1840年頃)

19世紀後半のヨーロッパの画家たちは、産業化により急速に発展する技術と社会の急激な変化に反応し、自然界への新しい関心を抱きました。光と色彩の微妙な効果に注目したターナーは、劇的で独特の雰囲気をもつ風景画や海景画を描き、クロード・モネたち印象派に影響を与えています。ジョン・コンスタブルは、自然を理想化するのではなく、写実的に表現することにこだわり続け風景画に革命をもたらしました。本展では油彩画のほか、コンスタブルが原画を描き、版画家デイヴィッド・ルーカスが彫版を行った版画(メゾチント)「イングランドの風景」シリーズの見応え十分の展示も楽しむことができます。

第3章:室内の光

ウィリアム・ローゼンスタイン《母と子》(1903年)

室内を舞台に日常的に現れる光は、現在でも画家たちのテーマとなっていますが、20世紀の初めになると、ヴィルヘルム・ハマスホイやウィリアム・ローゼンスタインなどの画家が、細部への注意を払い、落ち着いた人物像と柔らかな光に満ちた静かな室内を描き出しました。

第4章:光の効果

草間彌生《去ってゆく冬》(2005年)※Room2に展示

19世紀のさまざまな科学的発見は、絵画の新たな表現手段を生み出すきっかけになり、1830年代の写真の発明は、光の特性や効果を探究する革新的な方法を誕生させました。ターナーは、光の反射や屈折についての自身の研究をもとに、新しい絵画技法を展開しています。本コーナーでは、ターナーがロイヤル・アカデミーの教授として、講義のために作成した「遠近法」に関する図解の数々が展示されています。

第5章:色と光

ペー・ホワイト《ぶら下がったかけら》(2004年)

光は色彩を知覚する際の基本となるものです。第5章の「色と光」に登場するのは、いずれも色を扱ったもので、さまざまな視覚的効果を作り出すことで、色彩がどのように光と動きの印象を与えるかを探究した作品です。

第6章:光の再構成

デイヴィッド・バチェラー《ブリック・レーンのスペクトル2》(部分、2007年)

近代化の産物である照明は、さまざまな形で街や私たちの生活空間を絶え間なく照らしています。人が作り出したそれらの光源をそのまま素材としたり、造形物に照射させて色彩との相互作用をもたらしたり、アーティストたちの飽くなき探究心が生み出したインスタレーションの数々が展示されています。

第7章:広大な光

オラファー・エリアソン《星くずの素粒子》(2014年)

現代のアーティストたちは、「宇宙が広大であり、その中で私たちが不安定な場所にいる」ことを光によって明らかにしようとしています。ジェームズ・タレルの《レイマー・ブルー》、リズ・ローズの《光の音楽》は、光が観客を包み込み、作品に関与させることでその一部と化すインスタレーションです。オラファー・エリアソンが制作した《星くずの素粒子》は、球状多面体の造形美だけでなく、スポットライトによって壁面に映し出された複雑で幾何学的な影が見る者を魅了します。

本展にちなんだ「食」を味わう

本展の会期中、国立新美術館2階「サロン・ド・テ ロンド」が「ウェッジウッド・カフェ」に変身するほか、3階のフランス料理店「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」では、展示作品にちなんだテート美術館展特別ディナーコースと同ランチコースが提供されるなど、館内4つのカフェとレストランで本展作品にちなんだコラボメニューやドリンクを販売しています。

光の美術史を体感する

テート美術館のコレクションの中から「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの芸術家たちの創作の軌跡をたどる今回の企画展。光に魅了されたさまざまなアーティストたちが、いかに光の特性に向き合い、それぞれの独自の手法で表現してきたのか、約200年に及ぶ「光の美術史」を体感してみませんか。

国立新美術館

テート美術館展 開催概要
■東京展
会期:2023年7月12日(水)〜10月2日(月)
開館時間:10:00-18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
テート美術館展 ※公開を終了しました。
■大阪展
会期:2023年10月26日(木)〜2024年1月14日(日)
会場:大阪中之島美術館
大阪府大阪市北区中之島4-3-1

 

※お出掛けの際には、必ず最新情報を施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

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エクセンス編集部
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