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木組みの格子が趣きのある建物が立ち並ぶ京町家。奥行きがある細長い造りから、”鰻の寝床”と言われています。1000年以上もの月日を重ねながら人々の生活に寄り添い、工夫を積み重ねて発展してきました。
しかし、近年では老朽化も進み取り壊され減少傾向に……。本記事では、京町家の歴史や特徴、伝統的な京町家を存続する取り組みについて解説します。ぜひ、京町家の伝統や趣ある暮らしについて魅力を感じてみてください。
京町家の歴史
平安時代に地方から公家より微用されていた、”ものづくり”や”商い”を営む人々が、京都で定住するようになりました。そこで通りに面した敷地を公家から買い取り、暮らしの拠点を大路や小路に面した空間に小屋を作ったことが京町家のはじまりです。
そして少しずつ通りに軒を連ねて京町家が立ち並び、京都では通りを挟んだ両側町という、コミュニケーションが営まれる場所となったのです。
江戸時代になると都市化が進み、防災や清掃、し尿問題などの生活問題について住民が共同で対処するようになりました。そして、経済成長をきっかけに住民の暮らしも豊かになり、さまざまな建築技術が発達したのです。
たとえば、日本の住まいの原点でもあった藁葺き屋根(わらぶきやね)から軽くて製造コストも抑えられるという天から桟瓦を使用した瓦屋根が普及しました。その結果、雨漏りの被害もなくなり畳が普及しました。このような建築技術や工法の発達に伴い、建具や畳の寸法、素材が統一。規格化されたことにより、京町家の建築意匠は形成されました。
京町家の特徴
京町家は格子、瓦屋根、通り庇(とおりひさし)、虫籠窓(むしこまど)など、美しく構成された外観が特徴的です。また、規格化している寸法体制や素材により、合理性も兼ね備えています。
京町家で使用している材料は主に、木・紙・土・石といった自然素材です。四季折々を愉しめる庭や、自然の素材に囲まれた京町家はこれまで自然との共存を図ってきました。
格子
京町家の特徴として、“格子”が挙げられます。立ち並ぶ京町屋の表構えを形成する格子。そのデザインも、さまざまなものがあります。
格子の構造として、出格子(台格子・釣格子)、平格子があります。また形状としては、切子格子、板子格子、細目格子、目板格子などがあります。これらの基本形状を踏まえて作られた格子は、形や様式を変えることでその店の職業を表現していました。
【格子の種類】
・糸屋格子
・酒屋格子
・米屋格子
・麩屋格子
・炭屋格子 など
奥庭
メインとなる奥庭には石や植え込みを配置し、常緑樹やもみじ、椿など季節を感じられる木を植えています。また座敷から降りたところには、沓脱石(くつぬぎいし)という名の大きな石が置かれ、その先にはさまざまな形の飛び石が延びています。
通り庭と坪庭
通り庭は、なるべく日当たりの良い方角に設けられた土間空間です。表通りから奧の敷地まで通じており、家の中に光や風を送り込む役割があります。また通り庭に作られる小さな坪庭は日当たりがあまり良くないこともあり、日陰でも良く育つ棕櫚竹(シュロチク)や千両を植えられていることが多いです。
座敷
通り庭の奥にある座敷は、奥庭を眺められるもっとも格式が高く美しい空間です。意匠を凝らした床柱や、鴨居の上部には落とし掛けが渡されています。
座敷は床框(とこがまち)に花を活けて、本床(ほんどこ)へ掛け軸などを掛け、お客様をもてなす“客間”として使用。寒い冬の間には襖や障子が設置され、夏になると簾(すだれ)や簾戸(すど)に取り替えます。
火袋
おくどさん(調理をする場所)には吹き抜けの空間、火袋(ひぶくろ)は、炊事をしているときの煙や熱を逃がす役割があります。また、高い窓から採光を取り入れる役目も果たしています。
古き良き京町家の魅力を保全する取り組み
京町家は京都の歴史や文化の象徴であり、優美な景観を構成する重要な財産です。しかし近年、京町家は年間約2%ずつ減少。また、京都市内にある約48,000軒ある京町家のうち、約5,000軒は空き家状態が進行しています。
そこで京都市では、京町家の保全と活用、空き家対策のさまざまな取り組みをはじめました。一つは市場に流通していない京町家の空き家を対象に、修繕や模様替え、家財の撤去などにかかる費用の一部補助をする、活用・流通促進するという取り組みです。
また留学生の住まいや若手芸術家の居住や製作の場、ゲストハウスなど、空き家を特定の目的に活用する場合に改装費用の一部補助をする、特定目的活用支援タイプもあります。さらに、『空き家活用×まちづくり』の新しい活用法を提案し選ばれると、改修費用に対し最大500万円を助成する取り組みも行っています。
参考:京町家の保全・活用を空き家対策の一体的な推進|京都市都市計画局再生・創造推進局
伝統的な京町家の魅力を感じる
本記事では、京町家の歴史や特徴、将来的に京町家の保全への取り組みについて解説しました。京都へ行った際には、京町家を改装した宿泊施設やお店などで、雰囲気を味わうのも良いですね。ぜひ、京町家の伝統や趣ある雰囲気を体感してみてください。
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