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岐阜県関市は鎌倉時代から続く刃物の産地として知られています。「刃物のまち」として国内外を問わず高い評価を受ける関市の鍛冶技術は、職人たちのたゆまぬ努力と革新によって支えられてきました。
「折れず曲がらずよく切れる」の鍛刀精神を継承する関市の刃物。武器としての役割を終えた今も、その切れ味は人々の生活に寄り添い息づいています。
この記事では関市が刃物のまちとして知られるようになった経緯や歴史、そして現代の製品まで細かく紹介していきます。
「世界三大刃物生産地」に数えられる「刃物のまち・関市」
岐阜県関市は日本のほぼ中心に位置し、澄んだ川と美しい緑に囲まれた豊かな土地です。鎌倉時代、その豊かな資源を利用して始められた鍛刀は現代まで受け継がれ、関市を「刃物のまち」として知らしめるようなりました。
市内には「関鍛冶伝承館」や即売所も併設した「刃物会館」など、伝統を伝える施設が数多く立ち並んでいます。また、毎年10月には全国各地より刃物業者が集まる「刃物まつり」を開催。普段は見ることのできない実演見学や、包丁研ぎサービスなどが行われ、国内外から多くの観光客が訪れています。
国内でのシェア率はもちろん、輸出においても高い生産額を誇る関市の刃物。特に「和食」がユネスコ無形文化遺産に認定されてからは、世界の名だたる料理人に愛用されるようになりました。関市はイギリスのシェフィールド、ドイツのゾーリンゲンと並ぶ「世界三大刃物産地」として数えられるようになり、今では世界中からその品質を認められています。
世界に通用する地域ブランド「関の刃物」
「関の刃物」は、2007年に特許庁の定める地域団体商標制度において認定された地域ブランドです。岐阜県関市、およびその周辺で生産された刃物製品を指し、包丁やハサミ、美粧具にいたるまで幅広い種類の製品が関ブランドとして認められています。
関の刃物製品は明治維新の頃より積極的に海外に輸出されてきました。高度経済成長期には爆発的に輸出量を増やし、「SEKI,JAPAN」として世界的に知られるようになったのです。
地域ブランドとして認められた現在も、国内刃物輸出額の50%を占める「関の刃物」。決して安価な製品ではないものの、その精巧な作りと美しいデザインが世界中で愛されています。
800年の歴史を持つ関市の刃物産業
関市で刃物づくりが始まったのは鎌倉時代。関鍛冶の元祖と言われる元重が、関の地に移り住んできたことが始まりだといわれています。良質な水や炭に加え、日本刀の製造に不可欠な焼刃土が採れた関は、まさに鍛冶職人にとって理想の地。日本各地から鍛冶職人が移り住むようになり、現在の礎が築き上げられました。
室町時代に入ると相次ぐ抗争で刀剣の需要が高まり、関の刀作りは最盛期を迎えます。五大鍛冶流派のひとつ「五カ伝」に数えられた関伝(美濃伝)の技術を継承する関の刀は、切れ味が良く強靭な刃が特徴。公家の書物にも「関カミソリ成」と書き記され、日本各地にその名を広めていったのです。
「関の孫六」の名で知られる二代目兼元や、和泉守兼定(二代目之定)といった名匠が活躍したのもこの室町時代の中期。彼らの作り上げた刀剣は名だたる武将にも広く好まれ、特に優れた日本刀や名匠を指す「最上大業物(さいじょうおおわざもの)」として現代にも伝わっています。
明治時代に入り「廃刀令」が布かれると、関の刃物産業は一時陰りを見せました。しかし「日清戦争」が始まり、軍刀を始めとする刃物の需要が増えると、輸出産業として再び大きく盛り上がることになります。
その後も輸出量の拡大と共に生産量は増えつづけ、大正時代初期には「関打刃物同業組合」が誕生。海外でもその品質の高さを認められた関の刃物は、地場産業として大きな成長を見せました。
そして時代は移り変わり、武器としての役割を終えた関の刃物は、生活の必需品に姿を変え今なお人々の暮らしを支えています。
受け継がれる伝統技術と尽きることのない革新
関の刃物が国内に留まらず海外でも高い評価を受けているのは、鎌倉時代より「技と心」を受け継いだ刀匠たちの弛まぬ努力があるからこそ。日本刀づくりから始まった「技と心」は、製品のほとんどが生活用品へと移り変わった今でも、正しく関の職人たちに継承されているのです。
近年では、最新の機械技術による刃物製造も急速に進化を見せています。AIやロボットを導入し、自動化を図ることによって生産効率は格段に向上。繊細な職人技を完璧に再現できる先端技術を取り入れることで、高い品質はそのままに、製品の大量生産が可能となりました。
しかし、どれだけ精密な機械を導入しても、最後に頼りになるのは熟練の知識と技術です。そのため現在関市では、熟練のノウハウとテクノロジーの融合を目指し、若い技術者たちの育成に力をいれています。
技術の継承と更なる品質向上。より洗練された刃物産業の未来に向けて、関市は革新を続けているのです。
使えばその差は歴然!生活を彩る一生もの「関の刃物」製品
包丁
現代人にとって最も身近な刃物というと「包丁」を連想する人も多いでしょう。包丁の歴史は古く、日本に現存する最古の包丁は1300年前のものといわれています。関市の包丁は、卓越技能賞、グッドデザイン賞など多くの賞を獲得してきた「関の刃物」の代表的な製品です。
現存の技術に甘んじることなく、革新と研究が重ねられた関市の包丁は、手に馴染みやすく抜群の切れ味が特徴。一流レストランから一般家庭まで幅広い場面で愛用され、世界中の食文化を支え続けています。
キッチンツール
明治時代、廃刀令をきっかけに広く生活用品の製造を始めた関の職人たち。時代のニーズに合わせて開発を繰り返されたキッチンツールもれっきとした「関の刃物」です。扱う製品はパン切包丁からピーラー、栓抜きまで。特有の丈夫で切れ味に優れたキッチンツールは、一度使えば手放せなくなること請け合いです。
はさみ
関市で作られるはさみは裏刃にくぼみをつけることで、切り逃げのない確かな切り心地が特徴です。さらに、ミクロン単位で刃付けや研磨をを行う精密な技術は、世界的に高い信頼を獲得しています。家庭用はもちろん、理髪や園芸、手芸用まで。関のはさみは、幅広く愛用される逸品です。
美粧具
日本刀作りをきっかけに刃物産地として知られるようになった関市ですが、江戸時代からは剃刀の生産も盛んに行われていました。現在では爪切りやピンセットなど、幅広く身だしなみを整える美粧具を製造しています。
直に肌に触れる製品なだけあり、他の「関の刃物」とはまた違う繊細さを持つ美粧具。「切れ味に優れ、使いやすい」をモットーに、細部にまで作り手のこだわりと気配りが見て取れます。
ナイフ
ナイフは明治維新の後、欧米から流入する形で日本の刃物産業に登場しました。日本の国産ナイフは、いち早くこの変化に対応した関の刀匠たちによって作られたといわれています。
戦後、関のナイフはモダンなデザインと使いやすさで人気を獲得。ステーキナイフなどのカトラリー製品も次々に生産されるようになりました。今日でも「洗練されたデザイン」と「秀でた技術力」が認められ、海外の一流メーカーの製造を引き受けるほど高く評価されています。
伝統と革新の結晶「関の刃物」を体感しよう!
今日の「関の刃物」は、鎌倉時代から受け継がれた鍛冶職人の技術と伝統、そしてそれを未来に繋いでいこうとする現代の職人たちの絶え間ない革新によって作り上げられてきました。
作り手たちの想いが込められた逸品は、手に取ることでその違いを体感することができます。一生ものと謳われる「関の刃物」。ぜひ手に入れて、ワンランク上の使い心地を確かめてみてください。
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