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日本屈指の漆器・輪島塗
 石川の職人しか作り出せない伝統工芸の味わいとは

全国各地で作られている漆器。軽くて美しく歴代の日本の職人の技がつまった品々です。なかでも金や銀の粉を沈めて模様を描く技法が使われていることでも有名で、日本が誇る伝統工芸品の一つでもある石川県の輪島塗の魅力についてご紹介します。

手間暇かけて漆を塗った伝統工芸「輪島塗」

輪島塗は硬くて丈夫な塗りに優雅な模様がほどこされた日本屈指の漆器です。室町時代に作られた「朱塗扉(しゅぬりとびら)」が最も古いとされており、歴代の職人たちの手により脈々と受け継がれています。

もともと寺で使われていた漆器ですが、江戸時代に入ると全国の農家や商人の自宅でも使われるようになりました。庶民の生活具として広まっていくにつれ、頑丈で長持ちすると重宝されました。漆の語源は「うるわし」が転化したものといわれていて、まさにその名にふさわしい美しさが今なお受け継がれています。

漆器業が盛んな石川県輪島市って?

日本海に面した能登半島の北西にある輪島市。中世に曹洞宗の本山「諸嶽山總持寺」が開かれ、2021年に開創700年を迎えます。「親の湊」として栄えてきた歴史ある港町で明治初期まで北前船などが行き交い、交易によって運ばれた物資や文化によって栄えてきました。また漁業が盛んで、中でも天然ふぐは漁獲量5年連続日本一を記録するほどです。漆器業(輪島塗)は、江戸中期以降に作られるようになり、輪島塗は従来の手堅い漆塗に沈金、蒔絵をあしらった最高級の美術漆芸品として現在も人気を誇っています。

輪島の職人でしかなし得ない技で丁寧に

輪島塗の重要な工程は「下地塗」です。輪島の珪藻土を燻焼きにし粉々にして、ふるいにかけた「輪島地の粉」は輪島の職人しか使えない素材です。これを漆とまぜて器に塗り、丈夫な下地を作ります。粒子の荒いものから順番に塗り重ねて緻密な地肌を作り、その後ハケで中塗漆や上質の上塗漆を裏表と2回ずつ塗って光沢のある漆器に仕上げます。このような長い工程が、硬くて丈夫で美しい漆器が作られる背景にあるのです。

漆器を華やかに見せる沈金や蒔絵

輪島塗は、明治時代になると料亭や旅館などでも使われるようになりました。それに合わせてデザインもだんだんと華やかになり、刀で表面に模様を彫り、そのくぼみに漆をはわせて金や銀の粉を沈めて模様を描く沈金と呼ばれる技法などが使われるようになりました。

また、漆器の表面に漆で絵や模様を描き、それが乾かないうちに金や銀の金属粉を付ける「蒔絵」がほどこされているのも特徴の一つで、艶やかな漆器に金や銀の細やかな装飾をつけていくことで新たな魅力を伝えることに成功したのです。

漆器で味わう食事を生活に取り入れてみませんか

日本屈指の伝統工芸品・輪島塗。漆器の中でも硬くて丈夫で優雅さを兼ねそろえていて、現代の食卓にも合うデザインが魅力的です。一度でも漆を使ったことがある人は、独特の質感や口当たりの優しさなどを感じたことがあるのではないでしょうか。普通の食器と同じように洗剤をつけたスポンジで洗えるので、お手入れに手間がかかりませんので、お好みの料理を盛り付けて楽しんで使ってみてはいかがでしょうか。

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