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世界のカレーの中でも、とりわけ素朴な味わいが特徴的な「ダルバート」は、ネパールの伝統的な家庭料理です。ダルバートは、カレーと言ってもスパイスが控えめなので、毎日食べても飽きないカラダにも優しい料理。夏バテ予防策にもなる健康食です。
今回は、ネパールの薬膳料理「ダルバート」について紹介していきます。

ネパールの薬膳料理、ダルバートとは？

ダルバートは、ネパール庶民が毎日食べている家庭料理です。インド料理に比べるとスパイスの種類や量が少なく、メインのおかずは野菜であることが大きな特徴です。

美味しいダルバートを作るコツは、塩味・辛味・酸味のバランスが良いこと。ネパール食に欠かせないスパイスは薬膳効果があり、体調に合わせてスパイスの種類や分量を調整して健康管理に役立てることができます。

ネパールの食文化は、隣国のインドとチベット文化の影響があり、現地ではインド料理やチベット料理を食べる習慣と、ネパール料理の定番「ダルバート」があります。

ダルバートを構成するメニュー

ダルバートは、旬の野菜を使ったタルカリと体調に合わせたダルスープ、ダルバートの美味しさのアクセントになるアチャールとネパール米のセットです。
毎日食べるメニューには肉や魚のカレーもありますが、基本的には野菜をメインとしたおかずが主食となります。

ダル（豆スープ）

ネパール人は、タンパク質の補給に豆を豊富に取ります。ダルスープには、レンズ豆・ケツルアズキ・キマメ・緑豆・チャナ豆などがよく使われ、ダルスープ以外のレシピにも豆を良く利用します。

ダルスープの作り方は、圧力鍋に洗った豆とスパイス、塩、油、水を入れて、豆が柔らかくなるまで煮込みます。ダルスープの仕上げにはネパールの高山植物「ジンブール」とお好みのスパイスを油で炒って加えると、さらに香ばしい味になって美味しくなります。

バート（ご飯）

ネパール米は、サラっとして軽く、スパイスの効いたおかずによく合います。米粒が小さく粘り気が’少ないのが特徴的です。

ネパール人の食事は朝晩2回が一般的で、ダルバートの米をしっかりお替りして食べます。
ネパール人はご飯をそのまま食べるのが苦手なため、ダルスープをご飯に混ぜながら食べるのが習慣です。

タルカリ（野菜の炒め物）

ネパールでは、タルカリは「野菜のおかず」という意味と、単に「野菜」という意味があります。タルカリは、食物繊維が豊富で栄養バランスの良い料理です。

料理に使う野菜の種類は、春夏秋冬で移り変わるので、毎日カレーと言っても味付けの工夫で、旬の野菜を存分に味わうことができます。

タルカリに使う食材は、早朝と夕刻に開かれる野菜市場に行って新鮮な野菜を購入して調理したり、庭先の畑から収穫して作ったりします。

サーグ（葉菜類）

サーグは葉物という意味です。ほうれん草、高菜、大根葉などがサーグです。日本では見慣れない、カボチャの葉やフェンネルの葉、たまねぎの葉なども食材として使われています。

また、サーグを天日干しした後、瓶詰めして発酵させた「グンドゥルック」は、ネパールの保存食として重宝されている食材です。

アチャール（漬物）

アチャールは、辛くて酸味のある漬け物です。アチャールの食材は、野菜、肉、魚、フルーツなどを使って、スパイスとにんにく・しょうが、塩と油、唐辛子、ライム汁などで味付けをします。

ネパールのキッチンには、アチャール作りに必要な、スパイスグラインダーやミル、保存用の空き瓶、大き目のボールなどが揃っています。

冬場はアチャールの保存が効くので、大量のカット野菜を天日干しして、アチャール作りの準備をしている光景が各家庭からよく見えてきます。

カレー（肉や魚のスパイス料理）

ネパールで食べる肉は、マトン、鶏肉、豚肉、水牛肉です。宗教上、牛肉を食べる習慣はありません。ベジタリアンの人やネパールの暦で特別な日には、肉を食べるのは控えます。

ネパールで食べる魚は川魚なので、臭い消しにスパイスやにんにく・しょうがを豊富に使って調理をして食べます。

ネパールの最大の祭り【ダサイン】と【ティハール】の時期には、いつもよりたくさんの肉料理を作って盛大にお祭りを祝う習慣があります。

パパド（薄焼き豆せんべい）

豆粉や米粉に塩とコショウで味付けをした薄焼きせんべいです。パパドは家で作ることもありますが、現地では市販のパパドの方が手軽で人気です。
パパドは。食前に食べると消化が良いため、レストランではダルバートのメニューに添えられています。

ご飯は手で食べる

ネパール人は、右手を使って食事をします。「手で食べないと美味しくない」というのがネパール人の感覚です。

ネパール人の食事のマナーは、食前と食後によく手を洗うことです。ネパールでは、手洗いと食器洗いの場所が分かれていて、浄と不浄の観念が日本とは異なります。

また、食事の前には、よそられた料理をひとつまみテーブルに供えて、食事の前の祈りを捧げる習慣があります。

ダルバートがいただけるお店

日本でダルバートが食べられるお店をいくつか紹介していきましょう。

ネパール民族料理アーガン新大久保店

東京のリトルカトマンズ、新大久保発のネパール料理店。3年連続食べログカレー百名店に選ばれた本格ネパール民族料理のお店です。ネパールに行かなくても現地の代表メニューが堪能できるため、旅気分をあじわいながら楽しめる店です。

ヒマラヤンネパール食堂

安くてボリュームたっぷりのおいしいネパールカレーの店。80種類以上のメニュ―と
ネパール文化を体験できるイベントがあります。お店のネパール人スタッフと交流しながら現地の雰囲気も体感できるおすすめの店です。

ダルバートで夏バテを吹き飛ばそう

ネパールの薬膳料理「ダルバート」のご紹介でした。ダルバートは、栄養バランスの良い野菜と豆をほどよく使った健康食です。
日本の暑い夏を乗り切るために、ネパールのスパイシーな健康食、ダルバートを食べにいってみてはいかがでしょうか？

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