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徳島・阿波藍の青
JAPAN BLUEは吉野川のめぐみとともに

徳島県の吉野川
提供:徳島市

藍染の染料である蒅(すくも)の生産日本一を誇る徳島県。徳島で作られた蒅は阿波藍と呼ばれ、吉野川の豊かなめぐみによって脈々と受け継がれてきました。あわせて藍染めのすっきりとした青は「JAPAN BLUE」として世界に知られています。今回の記事では藍染めの概要や阿波藍の歴史、阿波藍の染め方、おすすめの藍染めアイテムをご紹介していきます。

藍染めとは

藍染された布

藍染めとは植物染料「藍」を用いた染色技法のこと。甕覗き(かめのぞき)と呼ばれるうすい水色から褐色(かちいろ)と呼ばれる黒にちかい紺色まで、多様な青に染め上げられます。

藍は世界中に存在する

藍の花が現れた藍甕
イメージ

藍染めは世界各地に存在し、染料として使う植物は様々で、その土地によって異なります。たとえば日本では主流のタデアイや沖縄の琉球藍、インドではマメ科の木藍(もくらん)など。その土地の風土に適した収穫量の多い藍の植物が、その土地での藍染めの染料になりました。藍から抽出される「インジゴチン」という色素をもつ染料を総称して「藍」と呼びます。

藍染めの歴史

藍染した紐

一説によると藍は人類最古の染料といわれています。世界的にみても藍の歴史は大変古く、インダス文明の遺跡では紀元前3000年ごろの藍染め染色槽跡が発見されています。藍染めが日本に渡ったのは1500年前ごろ。奈良時代に中国から朝鮮半島を経て伝わりました。

藍を深く染め上げてほぼ黒く見えるまでに染め上げた「褐色(かちいろ)」は「勝ち」を連想させることから武具の縁起担ぎや祝い事に使用され、鎌倉時代には「勝ち色」として定着しました。

安土桃山時代には徳島の藍が増殖産業となり、庶民のくらしに藍染めが深く浸透します。江戸時代には作業着から高級衣装まであらゆるものが藍で染められるようになりました。また木綿糸の量産により生活雑貨へも広がりをみせました。

昔から人々のくらしに欠かせなかった藍染め。そのキリリとした青の色は、現在では「JAPAN BLUE 」として世界に知られています。

藍原料の本場である徳島

徳島は藍の染料「蒅(すくも)」作りの本場で、タデアイを原料とします。古くから藍の栽培が盛んな土地で、吉野川は台風が来るたびに洪水と氾濫をくり返しました。台風が襲来し、肥沃な土が農地に流入したことによって藍作が可能になったのです。

阿波藍とは

藍の葉

徳島で作られた蒅を阿波藍と呼びます。現在、全国で使われる蒅のほとんどは阿波藍です。
阿波藍の歴史は鎌倉時代中期にさかのぼります。徳島県美馬市のある地域から藍の栽培がはじまり、その後江戸時代には吉野川下流域が主要な産地になりました。くわえて藩の保護奨励によって日本最大の藍作地帯として知られるようになりました。

明治に入ると紡績業の発達や綿製品の増加によってさらに需要が拡大し、最盛期の明治36年の藍作作付け面積は15,000haに達します。しかしその後安価なインド藍や合成染料の輸入によって、明治の末期から急速に衰えました。
衰退の一途をたどっていた藍の栽培ですが、戦後からゆるやかに復興していきます。

昭和43年には阿波藍を原料にして「発酵建て」という方法で染める「阿波正藍染め法」が、県の無形文化財に指定されました。令和元年には文化庁の認定する日本遺産に「藍のふるさと 阿波~日本中を染め上げた至高の青を訪ねて~」が認定されるなど、現在も阿波藍の技術・文化は守り続けられています。

阿波藍の染め方

阿波藍を染めている様子
提供:徳島市

・蒅を作る:葉藍(はあい)を細かく刻んで発酵させる

藍の収穫は夏に2回行います。

収穫した藍は葉の部分のみを蒅にするため、細かく刻んでから葉と茎を選別します。
その後、蒅作りがはじまる9月まで「ずきん」と呼ばれる袋に保存します。

蒅の寝せ込みは9月の大安にはじまります。
寝せ込みとは、蒅の製造場所へ藍を1mほどの高さに積み上げ、水をかけてよく混ぜ合わせること。
水のかけぐあいによって蒅の発酵度合いが変わるため、水をかける作業は熟練の水師が行います。

この後5日ごとに水師が水を打ち、藍を混ぜ合わせることを20回以上くり返して発酵させます。
その間に蒅がムラなく発酵するようにふるいにかけ、寝せ込みから100日ほどかけて蒅は完成します。

・藍建て:蒅を灰汁などで溶解し、染液を作る

藍建てとは蒅を発酵・還元(酸素を取り去ること)させることで、染められる状態にすること。

高さ1mほどの藍瓶に蒅・灰汁(あく)・ふすま・石灰・水を入れて攪拌すると、藍のかおりをともなって発酵していきます。藍建てをはじめて1週間ほどすると表面に直径20~30㎝の泡が立ちます。藍の花と呼ばれるこの泡が現れると、染められる段階になります。

・染液に布を浸けて空気に晒す(酸化して発色する)

いよいよ染めていきます。
藍瓶に布を浸けこみ、頃合いをみて布を引きあげると布についた藍の染料が空気にふれて酸化し、みるみるうちに青色に発色していきます。吉野川の水で充分に洗いをかけ、それを何度もくり返して染め上げていきます。

藍染めアイテムのご紹介

藍染のストール

甕覗きといわれる淡い水色から留紺といわれる濃い紺色まで、さまざまな色合いがある藍染め。そんな藍染めの魅力がつまったアイテムをご紹介します。

ストール

藍のストールは絹・綿・麻・ウールなど天然の素材に染められます。
涼感あふれる鮮やかな青色から、ぬくもりを感じるあわい水色までさまざまなアイテムがあるので、いくつかあるとシーン別に使いわけられます。暑い夏の日よけや冷房対策だけでなく、ウールや絹など素材によっては秋から冬、春にかけての寒さ対策にもいいでしょう。

扇子

藍染めの扇子は粋な大人のアイテム。
夏のお出かけに忍ばせるとおしゃれです。男性用の扇子も多くあるのでプレゼントにも好適です。

手拭い

藍染めの手拭いは無地のもの・型染め・しぼり染め・グラデーション染などたくさんの柄があります。
遊び心がつまったデザインも多く、選ぶのも楽しいでしょう。

阿波藍の青は吉野川のめぐみから

阿波正藍染めした布

阿波藍の美しさ、JAPAN BLUE のすっきりした青は吉野川の豊かなめぐみとともにあります。また先人たちの絶えまぬ努力によって阿波藍は守り伝えられてきました。そんな阿波藍の伝統の染めを日々の暮らしに取りいれてみませんか。

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