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冬の今こそ北欧の絶景シーズン!
撮影時に気をつけるべき5つのポイント

2月のスウェーデン北西部のストーラショーファレット国立公園
Photo by 小山田浩明:2月のスウェーデン北西部のストーラショーファレット国立公園 (Stora Sjöfallet National Park)

一面の銀世界が見られる冬。色彩豊かな春や秋の風景に比べ魅力に乏しいと思われる方もいるかもしれません。しかし冬は朝夕の光が美しく、森や林では粉砂糖をまぶしたような景色を見ることもできる絶景シーズンです。今回は北欧での撮影シーンを例に冬の景色の写し方をご紹介します。

北欧で出合った美しい冬の景色たち

砂糖細工のような氷の結晶

北欧の絶景-砂糖細工のような氷の結晶
Photo by 小山田浩明:枝にびっしりとついた氷が、朝日に輝いていた

視界いっぱいに広がる風景もすばらしいですが、特に気温が急に下がったあとであれば、細部を見てみましょう。木の枝や窓ガラスなどに付いた氷の結晶が見られるかもしれません。被写体にぐんと近づいて撮影シーンを探しましょう。近くの被写体を大きく撮影できるクローズアップレンズや接写モードがあれば便利ですが、標準のレンズでもシャープに写すことができれば、拡大して美しい結晶の姿を見ることができます。

雪面に残る動物の足跡

北欧の絶景-雪面に残る動物の足跡
Photo by 小山田浩明:足跡から動物の姿や行動範囲を想像するのも楽しい

林や森が隣接するエリアなら、地面の足跡を探してみましょう。動物たちが通った跡を見ることができるかもしれません。写真のストーラショーファレット国立公園では、トナカイとヘラジカ、小動物たちの痕跡を見つけることができました。

雪の結晶

北欧の絶景-雪の結晶
Photo by 小山田浩明:スウェーデンの鉄道駅で列車待ちのときに、雪の結晶を見ることができた

雪が降ってきたらチャンスです。暗い色の布や紙を準備しておき、降る雪を観察してみましょう。雪の結晶は温度や水蒸気量によって形が変わり、肉眼でもはっきりとその形がわかるものがあります。写真はコンパクトタイプのデジカメで撮影しましたが、六角形に育った結晶と針のような氷を撮ることができました。

ピンクに染まる空

北欧の絶景-ピンクに染まる空
Photo by 小山田浩明:ノルウェー北端の海域では3時間もの長い間、一面ピンク色の朝焼けの景色を見ることができた

緯度が高いエリアでは、朝焼けと夕焼けの時間が長いので、ピンク色に染まる風景をじっくりと撮影することができます。ピンク色の鮮やかさは雲と太陽の出方により異なりますが、空全体が薄い雲に覆われていたようなときは、見るものすべてがサーモンピンクに染め上げられ、幻想的な風景を楽しむことができます。

北欧の絶景-ピンクの空と木のシルエット
Photo by 小山田浩明:ピンクに染まった雲と空のツートンカラーに木々のシルエットが重なり、印象的な写真を撮ることができた

氷結した滝

北欧の絶景-氷結した滝
Photo by 小山田浩明:ベルゲンからソグネフィヨルドに向かう途中、延々と氷柱が続く絶景に出合った

ノルウェーは土地の起伏が大きく滝が多い国ですが、おかげで冬は凍った滝や一般道の脇に立派な氷柱(つらら)を見たりすることができます。しかも、一帯の滝すべてが凍っているという絶景で、時間そのものも凍結されたかのような、白く静かな世界を見ることができます。

冬の撮影の注意点

雪原を写すときは露出アンダーに注意

北欧の絶景-雪原を写すときは露出アンダーに注意
Photo by 小山田浩明:カメラ任せで撮ったままのデータ。画面に空の部分が多くなるとさらに暗めに写ってしまう

一般に、カメラはグレーの被写体を再現するように撮影設定が行なわれています。そのため、白いものは少し暗めに、黒いものは逆に明るめに写してしまう傾向があります。雪景色のような白一色の風景を背景に人を写す場合は、人物が暗めに写ってしまうことがあります。これを防ぐためには、カメラが露出を決定する部分を人物の顔に設定するか、露出補正をプラスにして撮影しましょう。逆光の被写体を写すときと同じ撮り方です。

バッテリー切れに注意

北欧の絶景-バッテリー切れに注意
Photo by 小山田浩明:マイナス20度以下の世界では、あっという間にバッテリーが消耗してしまう

冬の機材トラブルのナンバーワンはカメラのバッテリー切れです。カメラに限らず、低温下ではバッテリー性能が極端に下がり、稼働時間が短くなります。そのため通常は300枚以上撮影可能な機種でも、数十枚も撮影しないうちにバッテリー切れになってしまうことがあります。バッテリーは温めることで性能を取り戻すことがあるので、予備のバッテリーを身体に近いポケットに入れて温めておき、使用中のバッテリーが消耗したら交換して使います。低温下で消耗したバッテリーも温めることで復活するかもしれません。

結露に注意

北欧の絶景-結露に注意
Photo by 小山田浩明:プロ用機材は寒さにも強いが霜が付くほど冷えるのはNG!

結露は、空気中の水分が冷えたレンズガラスや本体に付着することでおきます。寒い屋外から暖房の効いた屋内に戻ったときに遭遇する可能性大です。結露を防ぐには、暖かい場所に戻る前にカメラをポリ袋など外気が遮断できる袋に入れ、中の空気を追い出して密閉し、バッグなどに入れます。カメラはしばらくそのままバッグに入れておき、また外で撮影するときに曇りが生じていないか確かめてから使いましょう。結露していたらそのカメラは使わず、翌日まで湿度の低い室内におき、結露が取れるのを待ちましょう。

雪の日のストロボ使用に注意

北欧の絶景-雪の日のストロボ使用に注意
Photo by 小山田浩明:目で見た感じは左の写真に近いが、ストロボを使うとこんなに雪が写り込んでしまう

緯度の高い北欧の観光地は、12月から1月にかけては太陽が出ている時間が極端に少ない極夜の時期を迎えます。この時期は昼間でも薄暗く、ストロボを使って撮影する必要があるかもしれません。目で見ている分にはあまり感じないのですが、雪が降っているときにストロボを使うと、雪の粒子が光に照らされたほこりのように乱反射し、被写体を隠してしまうかもしれません。

北欧の絶景-雪の日のストロボ使用に注意(水玉模様が映りこんでしまう)
Photo by 小山田浩明:こちらは特殊効果がかかったかのように、きれいに白い水玉が入り込んだ

降雪の具合によっては、幻想的な描写を得ることができ、いい仕上がりになるかもしれませんが、雪が邪魔に見えることのほうが多いので、ストロボは使わずに撮影することをおすすめします。

撮影ポジション選びに注意

北欧の絶景-撮影ポジション選びに注意
Photo by 小山田浩明:ストーラショーファレット国立公園は川の温度が高い場所があり、全面的には凍結しない。氷の上を歩くのはリスキーだ

自然のなかで撮影するときには、川の上や森の中に入り込んでいないか十分に注意してください。雪が積もっているとどこまでも歩いて行けるように見えます。しかし水路や木々の上に雪がかぶっているだけという場所もあり、その上を歩くと踏み抜いて落ちてしまう危険性があります。冬景色を真剣に撮影するなら、積雪前に現地を訪れ現場の状況を確認しておきましょう。凍った川や湖も要注意です。原則は上を歩かないことです。氷結した川や湖の上に行くなら、その地をよく知るガイドを確保して安全確認を行ってからにしましょう。

北欧の絶景-スノーシューを用いると安心
Photo by 小山田浩明:除雪されていない場所を歩くなら、スノーシューを用いると安心

冬こそ撮影のチャンス!

冬は空がどんよりと曇っていることも多いですが、少しでも自然光や町の光があれば、夏には見られない表情を写真に写すことができます。スマホも少しの雪なら問題なく使え、暗いシーンもきれいに撮影できる機種が増えています。ちょっと心にひっかかるシーンに出合ったら、シャッターを切ってみませんか? 何気なく撮った1カットがずっと記憶に残る作品になるかもしれません。みなさんがすばらしい一瞬と出合えますように!

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小山田浩明
EXSENSES公式ライター

(おやまだ ひろあき)
フリーランスのフォトグラファー。会社員時代は、海外旅行ガイドブック編集部で52カ国を担当。特に北欧、スイス、オーストラリアの取材経験が豊富。