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フランスにはワイン銘醸地がいくつかあります。その中でも世界的に有名なのが、ブルゴーニュ地方とボルドー地方。それぞれ異なるぶどう品種のワインを生産していて、ボトルの形も異なります。今日は、北はシャブリ地区から、南はボジョレー地区まで南北300kmに広がるワイン銘醸地 ブルゴーニュ地方をご紹介します。
ブルゴーニュ地方へ行くには?

ブルゴーニュ地方へのアクセスは、パリのリヨン駅から高速鉄道TGVでディジョンへ行くのが便利です。ディジョンで乗り換えて、ブルゴーニュ地方の中心であるボーヌまで行くのもお勧めです。高速鉄道の約2倍の時間がかかりますが、ローカル線を利用すれば乗り換えなしでボーヌまで行くこともできます。その場合は、パリを出発する駅がリヨン駅ではなくベルシイ駅ですのでお気をつけください。
ディジョン
ブルゴーニュ地方の中心都市


ディジョンは、ワインの銘醸地ブルゴーニュ地方の玄関口であるだけでなく、歴史的建造物が残り、グルメを楽しめる人気観光地です。世界的に有名なディジョンマスタードでも知られています。中世の街並みが残る旧市街の入り口はディジョン駅から徒歩で5~6分、旧市街の中も徒歩で散策できますし、トラムも走っています。
2022年5月にオープンしたCite Internationale de la Gastronomie et du VinのLa Caveでは250ものワインをテイスティングすることができます。ブルゴーニュ地方のグラン・クリュの試飲も可能で、ワイン好きにはたまりません。
旅の始まりは、ブルゴーニュ地方のアペリティフで乾杯。キールはこの地方の白ワイン アリゴテにカシスリキュールを加えたもの。シュークリームのように見えるのはチーズを混ぜたシュー皮で、アペリティフと一緒に食べ過ぎてしまいます。


ワイナリー巡りスタート
Geveray-Chambertin村

いよいよワイナリー巡りの開始です。
南北300㎞に渡り広がるブルゴーニュのワイン産地は、北から、シャブリ、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、コート・シャロネーズ、マコネ、ボージョレと大きく6つの地域に分かれています。中でも、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌのあるコート・ドールは中心的存在であり、コート・ド・ニュイ地区にはピノ・ノワールの特級畑(グラン・クリュ)が集中しています。
最初に訪れた、Geverey-Chambertin村のDomaine Philippe Leclercでは、村名ワインと一級ワイン(プレミア・クリュ)を試飲できます。同じ作り手、同じピノ・ノワールでも、畑の位置、傾斜の有無、斜面の向きなどで、それぞれ味わいが異なることが良くわかります。
どこまでも続くぶどう畑

グランクリュ街道と呼ばれるD122号線を南に向かってドライブすると、左右にぶどう畑がどこまでも広がり、膨大な生産量なのか思いきや、ブルゴーニュ地方で生産されるワインはフランス全体の生産量のわずか2.6%なのだそうです。その数字から、フランスがいかにワイン大国かと窺い知れますが、この地域ではぶどうの品質を保つために間引き量が多く、特にグラン・クリュではぶどうの木2本でわずか1-2本のワインしかできないといったこともこの数値に表れていそうです。ぶどうの樹の手入れは畑により異なりますが、ぶどうの樹にスプリンクラーなどでの水撒きは一切しない(法律で禁止)のは共通しています。この地方の石灰質と粘土質に小石が混じる土壌に深く根を張り地中深くから水分を吸い上げて成長します。
またぶどうに直接陽が当たらないように、房を葉で隠すように手作業で手入れされているのは大変な労力だと想像できます。
冬にはその年に使った枝を落として、翌年の新しい枝が正しく育つようにするために剪定作業を行います。
剪定の仕方で次の年のぶどうの実のつきかたまでが変わります。
ワイン用の「ぶどうの木」は年々大きく育てていくわけではなく、高さは変えず40~50センチメートルぐらいにとどめて剪定し、そこから伸びる枝のみでブドウの実を結実させます。そのため、剪定によって翌年の収穫の量や質が変わります。
熟練した作業が必要です。
複数の所有者

この地では1つの畑を複数の作り手が分割所有することが一般的です。これはラトリシエール・シャンベルタンという特級畑ですが、よく見ると中央の畝を境に葡萄の木の高さや葉の付き具合が全く異なることがわかります。左がSimon Bize、右がDurocheの所有で、それぞれのポリシーによる作り方になっています。ブルゴーニュならではの光景です。
Vougeot村

ヴージョ村のClos-de-Vougeotは、シトー派の修道院がワインの醸造を始め、ブルゴーニュのワインが有名になるきっかけとなった場所。訪れた日はコンサートの準備があり訪問は叶いませんでしたが、広さ約50haという最大のグラン・クリュを眺めるだけでも圧巻でした。因みにこの畑は80名が所有しています。
憧れの場所、ロマネ・コンティ十字架の丘


更に南に進み、コート・ド・ニュイ地区の一番南に近いヴォーヌ・ロマネ村へ。「神に愛された村」と称されるこの村はワイン愛好家の憧れであるあのロマネ・コンティの産地です。わずか1.8haという広さのロマネ・コンティの畑の前には十字架が建ち、どこか神聖な雰囲気さえ感じます。ここは他の畑とは違いロマネ・コンティによる単独所有であり、モノポールと呼ばれています。
ワイナリーでのお楽しみ
ワイナリーでの1番の楽しみは試飲ですが、それ以外で見つけたマニアックな風景を紹介します。

これはDomaine Marguerite Carillonのカーヴ(地下保管庫)で見つけた1929年の特級クロ・ド・ヴージョです。見学者は触れることすらできませんが、100年近くここで眠っているワインがどんな味わいなのか、想像するだけでも楽しいですね。

こちらはDomaine Debrayでピノノワールを熟成中の新樽です。注ぎ口から少し溢れた跡がありますが、これは酸化を防ぐために蒸発した分を足す作業(ウイヤージュ)の時に入れすぎてしまったためです。注ぐ音で量を判断するので、頭で考えるより難しい作業なのだそうです。
第二弾でレポートするボルドーのワイナリーでは、溢れることを前提に注ぎ口周辺が最初から赤く塗られていました。
コート・ド・ボーヌ地区


コート・ド・ボーヌ地区で訪れたドメーヌ、Domaine Marguerite Carilllonはムルソー村にあります。ここでは1階でぶどうの果汁を絞ってから地下1階のタンクで発酵させ、最終的に温度や湿度が安定した地下2階の樽に移して熟成保管されるまで、このパイプを通して徐々に下の階に落とし込むような造りを見学することができ、昔からの知恵でとても理にかなっていると感じました。
ワイナリー巡りの拠点 ボーヌの街


ブルゴーニュ地方のワイナリー巡りの拠点にお勧めなのは、やはりボーヌです。
旧市街までは駅から徒歩15分くらい。旧市街はとても小さく、くまなく歩いてもあっという間に周れるほどですが、ブルゴーニュのワインのお祭りが毎年たくさん開催されます。ブルゴーニュワイン委員会は数多くのイベントを企画して、いろいろな種類のツールを用意していますので是非チェックしてみてください。
https://www.vins-bourgogne.fr/
ボルドー地方はシャトーごとの格付けが一般的なのに対し、ブルゴーニュ地方ではぶとう畑の区画であるクリマによりワインにそれぞれの個性が与えられます。コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの丘陵地には1247ものクリマが存在し、世界遺産に登録されています。世界でも唯一無二のワインを生産しているブルゴーニュ地方のぶどう畑の多くは柵や囲いがなく畑の中に入る事が出来てしまいます。
しかし、長い年月をかけてぶどうの樹を育んで来た土壌は、これからもしっかり守られて行かなくてはなりません。モラルを守り畑の中に入るような事はせずに、一面に広がる銘醸地の風景を楽しみましょう。
コート・ドールは「黄金の丘」という意味。
訪れた夏には一面鮮やかな緑の畑が広がっていましたが、収穫も終わりぶどうの葉が色づく頃になると一面黄金色に染まり、その名のとおり「黄金の丘」となります。また、その頃に是非訪れてみたいと思っています。
ワイナリー巡りのガイド
今回のワイナリー巡りでお世話になったのは現地在住の今氏知香(いまうじちか)さんです。知香さんは航空会社勤務時代にワインに目覚めフランス移住を決意。現地の大学でワイン醸造を学ばれ、今ではブルゴーニュのワイナリーで仕事をされているので、ワインや現地事情は何でもご存じの、まさにスーパーガイドさんです。ブルゴーニュに行かれる際には知香さんへガイドをお願いしてはいかがでしょうか?
連絡先:imaujichika@gmail.com
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