当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。
「漫画アクション」連載の漫画『駅弁ひとり旅』の監修を務め、全国の駅弁6000食を完食した鉄道写真家の櫻井寛氏による連載記事が始まります。北海道から九州まで全国各地の櫻井氏おすすめの駅弁をご紹介していきます。
第1回目は、北海道の道南編(函館本線〜室蘭本線)です。鰊(にしん)みがき弁当(函館駅・新函館北斗駅)、かにめし(長万部(おしゃまんべ)駅)、母恋(ぼこい)めし(母恋駅)の3つの駅弁をご紹介します。
56年間愛され続けている函館の名駅弁「鰊みがき弁当」
初めて北海道に行ったのは、もうかれこれ50年も前のこと。高校2年の春だった。上野駅を朝一番の急行で青森へ、青函連絡船「摩周丸」に揺られ函館には深夜23時着。東京から16時間かかったわけだが、今や最速の新幹線「はやぶさ7号」は3時間57分で新函館北斗駅に到着する。まさに夢の北海道新幹線である。
函館の名物駅弁といえば、今から56年前の1966年に発売されて以来、今日まで愛され続けている「鰊みがき弁当」で決まりである。何と、今から50年前に私が初めて食べた北海道の駅弁がこれだった。ただし当時は、「みがき鰊弁当」だったと記憶している。論より証拠、復刻版時刻表(1972年3月号)には「みがき鰊弁当(200円)」と載っている。いつから、そしてなぜ「鰊みがき弁当」に名前が逆転したのか、興味津々ではある。
それはともかく、函館に着いたのだから、現代の「鰊みがき弁当」を戴こう!「鰊」と一文字のみ描かれた掛け紙を外すと、目に飛び込んで来たのは、黄金色に輝く大きな数の子と、醤油色の光沢を放つ身欠き鰊の甘露煮だった。まずは、数の子を口に運ぶ。そして一噛みすれば、口中一杯にプチプチ、コリコリとした食感が広がった。続いて、鰊を頬張る。甘辛醤油の濃厚な味付けとともに鰊独特の身がほろほろと割れる感触と旨味を楽しむ。ああ、これぞ北海道の味。
毛ガニの産地の長万部で外せない名駅弁「かにめし」
函館からは札幌行きのディーゼル特急「北斗」号に乗車する。大沼公園や駒ヶ岳を眺めながら走ること40分、進行方向右側の車窓に内浦湾が広がった。直径50kmほどの円形の湾だが、対岸には室蘭の白鳥大橋が見える。水平線の彼方の白銀の山は羊蹄山であろうか。大海原を眺めながら走ることおよそ50分で長万部駅に到着した。
長万部といえば、もちろん「かにめし」である。内浦湾きっての毛ガニの産地長万部にて、なんとか美味しい毛ガニの駅弁ができないものかと試行錯誤の末、1950年に誕生したのが長万部駅弁「かにめし」であった。手に取ると経木の箱の底からかにめしの温もりが伝わってくる。掛け紙を外すと、椎茸、梅干、錦糸卵で彩られたかにめしが現れる。ご飯の上に全面に敷かれたカニ肉は、毛ガニの身を丁寧にほぐして煎ったもの。口に運べばカニ肉の香ばしさと同時に、千切り筍のサクサクとした食感も楽しい。口中が幸福感でいっぱいだ。
母親の愛情が込められたホッキ貝の名物駅弁「母恋めし」
特急「北斗」号は長万部を発車すると進路を函館本線から室蘭本線に転ずる。およそ50分で東室蘭駅に停車し、室蘭行きに乗り換え10分で母恋駅に到着した。
母恋駅の名物駅弁が「母恋めし」である。母恋とはアイヌ語で「ホッキ貝がたくさんある場所」の意。ホッキ貝の炊き込み御飯を娘さんのお弁当にと考案したのが関根久子さん。母親の愛情が込められたお弁当なのだ。内容は、ホッキ貝の炊き込み御飯のおにぎりが二つ、スモークドチーズ、燻製卵、漬物、そしてハッカ飴。いずれも個包装されていて、箸を使わずとも手で食べられる。それもこれも揺れる列車内で食べやすいように工夫した母親の愛情なのだ。最近では、「母恋」という駅名に引かれて途中下車する中国や台湾からの旅行者も多いそうだ。
鰊、毛ガニ、ホッキ貝。道南はうまい駅弁の宝庫なり!
函館の鰊、長万部の毛ガニ、母恋のホッキ貝など道南エリアは、うまい駅弁が多くあります。道南エリアを旅するなら名物駅弁を片手に鉄道の旅を楽しむのはいかがでしょうか?
当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。