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札幌ミュンヘン姉妹都市提携50周年
その経緯や共通点、交流事業とは

北海道の県庁所在地で、ラーメンやジンギスカン、スープカレーなど人気のご当地グルメも多く、行ってみたい旅行先として上位にランクインされることも多い札幌。
このほかにもビールの街として知られている札幌は、同じくビールの有名なドイツのミュンヘン市と姉妹都市提携を結んでいます。提携を結ぶにあたりどういった経緯があったのか、札幌の中に息づくミュンヘンとともにご紹介します。

オリンピックが結んだ2つの都市

札幌市とミュンヘン市の姉妹都市提携のきっかけは、オリンピックの開催です。
1972年、夏季五輪がミュンヘン、冬季五輪が札幌で行われました。オリンピックという共通の目的のもとお互いに多大な親近感を得ていたこと、ほぼ同緯度に位置していること、ミュンヘン市のあるバイエルン州と札幌市のある北海道はどちらも畜産が重要産業であることなど、人口や産業面での共通点も多く交流も増えていったそうです。
1972年2月、ミュンヘンのフォーゲル市長が冬季オリンピック大会視察のため札幌に訪れた際、姉妹提携が正式に申し込まれました。札幌市では、6月5日付で札幌の板垣市長名の要請文が提出され、市議会で承認。その後、夏季オリンピック開催の3日前である8月28日、ミュンヘン市役所で札幌市とミュンヘン市の姉妹都市提携調印式が行われました。

札幌で見つけるミュンヘン

カラフルに飾られた大通公園11丁目のマイバウム

マイバウムとは、飾りのついた木やポールのこと。ドイツ語で「5月の木」を意味し、春を迎える喜びを象徴します。ドイツでは広場に立つマイバウムを各地で見かけることができます。大通公園11丁目にもミュンヘン市の旗、ビール樽、ドイツの春を迎えるお祭りの様子を飾ったマイバウムがあります。この飾りの部分は、姉妹都市提携の記念としてミュンヘン市より贈られたものです。しかし、バイエルンカラーである青と白に塗られた支柱は札幌で準備する必要がありました。そこで、支笏湖畔から25mを超えるエゾマツを調達し、制作されたとのこと。ドイツでは数年に一度木材を新調する地域もあるそうですが、大通公園のマイバウムは再建や補修を繰り返しながら、現在は鉄製の柱を使用しています。

ドイツでは町のマイバウムを新調する際、近隣の町が「盗む」ことが許されています。持ち主の町は盗んだ近隣の町へマイバウムを返却する代わりに町民全員分のビールを要求するというビールの街ならではの風習です。それになぞらえて札幌のマイバウムのふもとでは、夏になると大通ビアガーデンの一環で「ドイツ村」が開催されます。
ミュンヘン直送の樽生ビールなど普段見かけることのできないドイツビールやドイツ料理が味わえます。大きな国道を挟んでいるので、ほかのビアガーデン会場とはライトアップや会場の雰囲気が全く異なり落ち着いた空間を楽しめます。

ドイツの庭園を再現。百合が原公園ムンヒェナーガルテン

北区に位置する広大な百合が原公園。公園の一角には「世界の庭園」エリアがあり、その中にミュンヘン市から寄贈された庭園、ムンヒェナーガルテンがあります。この庭園は、ミュンヘンの造園家、G.トイチェ氏の設計です。地面より一段低くした沈床式庭園で宿根草をメインにした草原の庭がイメージされています。作りこんだものではなく、子どもと遊んだり、野菜やハーブを収穫したりと実用性が重視されるドイツの庭園。草原と聞くと緑一色なイメージを持たれる方も多いでしょうが、四隅のパーゴラに咲く小さなバラをはじめ、たくさんの種類の花たちに囲まれ、春から秋までいつ訪れても色鮮やかです。

園内を一周できるリリートレインからも「世界の庭園」を楽しむことができます。
冬季間は閉鎖するエリアですが、春の水仙や秋の秋明菊の季節が見どころです。

2都市の交流の懸け橋への願いがこめられたミュンヘン大橋

札幌の中央部を流れる豊平川にかかるミュンヘン大橋は、藻岩山(もいわやま)のふもとに位置する幅22m、長さ172m、片側2車線の大きな橋です。姉妹都市提携15周年である1988年に工事が始まり、札幌市の都市景観賞を受賞したこともあります。ミュンヘンの聖母教会、バイエルン州立劇場、ニンフエンブルグ宮殿、凱旋門、市庁舎のレリーフがかざられ、ドイツでも多く見られる斜張橋と呼ばれるフォルムが印象的です。高さ56mの主塔から斜めにのびるハープ状のケーブルも圧巻ですが、デザイン性の高さだけではなく、実は雪が積もりにくい工夫があるのも雪国ならでは。夜にはライトアップされるので、藻岩山の展望台など離れた場所から見るのもおすすめです。

札幌にいながらヨーロッパを感じるミュンヘン・クリスマス市

姉妹都市提携30周年からはじまったミュンヘン・クリスマス市。
ホワイトイルミネーションと同時期に開催されるので、夜になると幻想的な雰囲気が味わえます。国内外の出展者による、ドイツの工芸品やオーナメント、ミニツリーなどのクリスマス雑貨販売、ホットワイン、ココア、バームクーヘンなどのフード販売の他、ステージイベントも盛りだくさんです。多くの通訳ボランティアも参加されているため、ドイツの出展者と気軽に交流することも可能です。また、その年限定デザインのマグカップやクリアファイル、マスキングテープといった会場でしか手に入らない商品や、通称「クリコレ」への応募で集まった道内クリエイターデザインのクリスマスカードを販売する店舗もあり、例年人気を博しています。会場内はクリスマスムードでいっぱいなので、その場にいるだけでも楽しい時間を過ごすことができます。

ミュンヘンの環境保護意識を伝える取組 アラエール号・リターナブル食器

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自然環境への配慮意識が強いドイツでは洗って再利用可能なリターナブル食器が生活に浸透しています。その中でもミュンヘン市は環境保護に積極的に取り組んでおり、市主催や市の施設を利用するイベントでは使い捨て容器が禁止され、リターナブル食器を使うことが決められているそうです。
「札幌市環境保全協議会」から出ていた「イベントごみの減量に向けた取り組」の提言を実行する一つの手段として、ミュンヘン・クリスマス市では、6種類200セットのドイツ製食器を載せたオープンキッチン式の食器洗浄車アラエール号が導入されました。毎年、この趣旨に賛同いただいたボランティアの方の手によって、食器の洗浄が行われています。

「ビールのまちさっぽろプロジェクト」のシンボル オータムビヤフェスト

姉妹都市提携40周年を記念して始まったオータムビヤフェスト。
会場となるのは、札幌のビール産業のはじまりの地である開拓使麦酒醸造所の跡地を利用したサッポロファクトリーです。ミュンヘンのオクトーバーフェストのように、集まった人たちが心をひとつに歌って乾杯することで、札幌らしいビール文化を広げていきたいという想いのもと「ブラボー札幌」という乾杯ソングも作られました。
みんなで集まって飲食するイベントの実施は難しい状況が続いていますが、今年度は札幌ミュンヘン姉妹都市提携50周年記念として大通公園のオータムフェストが2年ぶりに開催されました。オータムビヤフェストも早期復活することを願っています。

札幌に息づくミュンヘンへの想い

札幌とミュンヘンの姉妹都市提携や記念事業についてまとめてみました。
記念イベントや町中の建造物、文化や継承したスピリットなど、札幌ではいたる所でミュンヘンが感じられます。札幌へ行く機会があればぜひミュンヘンを探してみてください。

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