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神戸の中心地・三宮から六甲山に向かって坂道を上がること、15分。神戸の街を見下ろす高台に、歴史ある洋風建築の立ち並ぶ「北野異人館街」はあります。
異人館街を歩けば、つい先ほどまで近代的な都市の街並みの中にいたことを忘れて、まるで外国の街を歩いているかのような感覚に包まれます。また、神戸を代表する観光地でありながらも、そこで暮らす人たちの生活感が垣間見える、不思議な空気感も感じられるかもしれません。
この記事では、独特の魅力をもつ北野異人館街について、その歴史から見どころまでをご紹介します。
北野異人館街は、どのようにしてできた?
神戸港の開港とともに
異人館とは元々、明治時代に神戸へやって来た外国人たちの住宅や商館として使われていた建物です。
神戸では今から約150年前の1868年、神戸港が開港。それとともに、日本人の住む場所と区別して、「居留地」とよばれる外国人が住み、働くことを認めた地域が整備されました。
しかし、外国人の数が増えてくると、居留地の土地が不足。すると、居留地を囲む一定の範囲の地域でも、外国人の居住が認められるようになりました。こうした地域は、日本人と外国人が混じりあって暮らすことから「雑居地」とよばれ、北野もその範囲にふくまれました。
六甲山の山麓の高台にあり、神戸港までを一望できる北野は人気の土地となり、多くの外国人が移住。日本人と外国人とが、国境や文化の違いをこえて共存する街として発展していきました。
閑静な住宅街から、全国的な人気観光地に
北野の異人館の数は一時200棟にものぼりましたが、第二次世界大戦の戦火や建物の老朽化などによって数を減らし、現存するのは30棟ほど。異人館街一帯は、港町・神戸の歴史を映す貴重な街並みとして、大切に保存されています。
異人館街が全国的に有名になったきっかけは、NHK朝の連続テレビドラマ『風見鶏』(1977〜78年放映)で、物語の舞台になったことだといわれています。観光客が訪れるようになると、カフェやレストラン、土産屋などが建ったり、遊歩道が整備されたりと、観光地として発展していきました。
個性豊かな異人館を訪ねてみよう
現存する異人館のうち、一般に公開されているのは20館ほど。外観の個性はもちろん、その活用方法やテーマもさまざまです。ここでは、その中からいくつかの異人館をご紹介します。
風見鶏の館|北野異人館のシンボル
1909年頃に、ドイツ人の貿易商ゴットフリート・トーマス氏の自宅として建てられた「風見鶏の館」。赤いレンガの外壁と、塔のてっぺんの風見鶏が目を引く、北野異人館のシンボル的な建物です。館内には、ドイツの伝統様式をとり入れた部屋が、当時の写真を参考に可能な限り元の姿で再現されています。
萌黄の館|新緑と馴染む、萌黄色の外壁
「萌黄の館」は1903年、アメリカ総領事ハンター・シャープ氏の自宅として建築されました。じつは、以前は外壁が白色で塗られており、長いあいだ「白い異人館」の愛称でよばれていたといいます。それが、1987年の修理の際の調査で、建築当時は萌黄色の外壁だったことがわかり、現在の色と名称となりました。その名が表すかのように、新緑が萌える季節には、庭の木々の緑と外壁の萌黄色が調和し、一層の美しさです。
また、庭園には、阪神・淡路大震災で落下し地面に突き刺さった煙突が、当時の状態のまま、落ちた場所に保存・展示されています。震災の記憶を伝える場所としても、貴重な異人館です。
うろこの家・展望ギャラリー|魚の鱗のような外壁
約3000枚もの天然石をつかった外壁が魚の鱗に見えることから、「うろこの家」の愛称で親しまれる異人館。外国人向けの借家として、明治時代後期に居留地に建てられたものが、大正時代に現在の場所へ移築されたといわれています。
隣接するギャラリーでは、主にヨーロッパの近・現代の名画を展示。3階の展望室からは、神戸の港と街を一望できます。
地元では、クリスマスの時期になると、中央の塔にその年の世相を表すサンタクロースの人形が飾られることでも知られています。街の人たちが、「今年は○○○のサンタだよ」といった会話を交わすのを、耳にするかもしれません。
山手八番館|座ると願いが叶う?「サターンの椅子」
明治後期にサンセン氏の自宅として建てられた「山手八番館」。館内には、彫刻の巨匠たちの傑作から、アジアの仏像などの仏教美術まで、洋の東西を問わず、世界中の貴重な彫刻作品の数々が展示されています。
また、座ると願い事が叶うといわれる「サターンの椅子」も有名。ローマ神話で豊穣をもたらす神・サターンの彫刻が椅子に施されていることから、“願いが実る”として言い伝えられています。
英国館|「シャーロック・ホームズ」の部屋を覗き見
「英国館」は、1909年に、イギリス人医師フデセック氏の診療所を兼ねた自宅として建てられました。館内には、イギリス人作家コナン・ドイルの推理小説『シャーロック・ホームズ』シリーズに登場する名探偵シャーロック・ホームズと相棒ワトスン医師の下宿部屋が、書籍の描写に基づき忠実に再現されています。
路地や通りも楽しんで
北野では、異人館のあいだを結ぶ路地や通りも、風情がたっぷり。異人館界隈には、小径や坂道が約50本もあるといい、中には「石畳の小径」「トーマス坂」など、市民によって愛称の付けられた坂や通りもあります。
坂道を上る途中、後ろを振り返れば、目線の先に海や神戸の街が広がります。当時北野へ移住して来た人たちも、この景色に魅了されていたのかもしれません。
異国情緒の余韻を楽しみながら、のんびりと
北野には、世界各国の料理やお酒を楽しめるお店もたくさん。その一つ、英国風バー・レストラン「The Old England」は、外観だけでなく、ヨーロッパから直接買い付けたというアンティークのインテリアで飾られた店内に入れば、本場イギリスのパブにいるかのよう。イギリス料理の定番フィッシュ・アンド・チップスなどとともに、世界各地のビールやお酒を味わいながら、街歩きの余韻にゆっくりと浸ることができます。
多様な文化にふれる街歩きへ出かけてみて
今回ご紹介したほかにも、北野には、ユニークなテーマで各国の文化にふれられる異人館がたくさんあります。異人館街全体は、すべての館を歩いて回れるほどの広さですが、まるで世界のいろいろな国・地域を旅したかのような充実感を得られるでしょう。
ぜひ、ふらりと“世界の街歩き”へ出かけてみてはいかがでしょうか。
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