幻となっていた薩摩切子
100年後に職人の手により蘇る

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浮かび上がるグラデーションが魅力的な「薩摩切子」。幕末の薩摩藩で作られていた薩摩切子ですが、わずか20年あまりで途絶えてしまいました。しかし、約100年の時を経て、薩摩霧子はガラス職人達の手により現代に復元されました。本記事では薩摩切子の歴史や特徴、多くの人を魅了する独特に美しさについて解説していきます。

幕末に生まれた薩摩切子の歴史

島津斉彬の像
島津斉彬像

薩摩切子は、薩摩藩第28代藩主である島津斉彬(しまずなりあきら)の指示により、海外交易品として開発されました。当時、薬品の腐食に耐えられるガラス瓶やガラス容器が必要となりました。そこで、江戸から薩摩へガラス職人を招き入れ、医療品用のガラス製造がはじまったのです。

米国諸国が日本に開国したこともあり海外への進出を夢見た島津斉彬は、グラデーションのコントラストや繊細なカットの薩摩切子は、日本の美として芸術的な発展を遂げました。しかし島津斉彬が49歳の若さで急逝し、財政整理のため薩摩切子の規模が縮小。そして、薩英戦争(1863年)や明治維新、西南戦争にて製造工場が焼失。薩摩切子は途絶えてしまいました。

ところが約100年後の1985年に、薩摩切子を再興させる動きが始動。島津家に残されていた文献や写真、わずかに残っていた薩摩切子を参考にして、ガラス職人たちが試行錯誤を重ね見事に幻の薩摩切子を復元しました。

薩摩切子の魅力とは

薩摩切子の特徴は、透明なガラスの上に色ガラスを被せた「色被せガラス」をカットしたときに生まれる、「ぼかし」と呼ばれる薩摩切子独特のグラデーションです。深くカットした部分は淡い色味となり、浅くカットした部分は濃い色味となります。このように、カットした角度や深さなどを調整することで、色の濃淡を操り絶妙なグラデーションを生み出します。

また、薩摩切子は「紅・藍・紫・緑・金赤・黄」と鮮やかな色彩が豊富なのも魅力のひとつです。なかでも、紅色は当時日本で初めて発色に成功した色味で「薩摩の紅ガラス」と謳われていました。現在では、ぼかしの表現が難しいと言われている「黒」の薩摩切子や、「二色被せガラス」の新技法の制作にも力を入れています。

江戸切子と薩摩切子はどこが違うのか

江戸切子と薩摩切子は歴史や製法、外見も大きく異なります。2つの切子は、どのように見分けたら良いのかを見ていきましょう。

【江戸切子の特徴】

協力:江戸切子協同組合

江戸時代に作られた江戸切子は無色透明でした。現代では薩摩切子と同じく、江戸切子も色被せガラスをしてからカットをしています。江戸切子は薩摩切子とは異なり、色ガラスと透明ガラスのカットしたコントラストはシャープな仕上がり。

文様も江戸っ子が好む直線を生かしたものが多く、「魚子文(なんこもん)」や「麻の葉文」などの模様が多いのも特徴です。イメージとしては、薄くて軽い江戸切子は、表面を削って文様を描いているイメージです。

【薩摩切子の特徴】

薩摩切子の特徴は、独特のグラデーションからなる「ぼかし」です。薩摩切子は型を使わず、吹きガラスに近い形で透明ガラスの上に色ガラスを手作業で被せます。そのため、薩摩切子のガラスは重厚感のあるガラスです。また厚みのある薩摩切子のカットは、周りを削り文様を浮き彫りにするようなイメージです。

薩摩切子の廃材をアクセサリーに

薩摩切子の製造で必ず出てしまう不良品。使い道がなく廃棄をするしかなかったのですが、近年では捨てるにはあまりにももったいないため再利用しています。薩摩霧子の美しい光輝を身に付けられるよう、リングやピアス、ペンダントやブローチなどのアクセサリーに仕立てることも。廃材で作るからこそ、一つひとつ形が異なるアクセサリーも魅力的です。

さらに、鹿児島県にある「株式会社美の匠 ガラス工房 弟子丸」では薩摩切子のカット体験も可能です。

【薩摩切子のカット体験手順】
①お好みの色や形のガラス生地からお好みの素材を選びます。
②切子師に教わりながら、ダイヤモンドホイールを使用して削りたい部分をカットします。
③全てのカットが完了したら、工房にてお預かりし磨き加工をして仕上がったらご自宅へお届けいたします。(約1ヵ月)

【カット体験価格】
・ecoKIRI(アクセサリー)6,000円
・猪口(透明)12,000円
・猪口(色被)15,000円
・冷酒・フリーグラス(色被)16,000円
・タンブラー(透明)20,000円
・タンブラー(色被)25,000円
※価格は税別です
参考|薩摩切子カット体験|鹿児島県霧島市の工房 美の匠 ガラス工房 弟子丸

株式会社美の匠 ガラス工房 弟子丸
0995-73-6522
9:30〜18:00
※最新情報は、必ず施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

薩摩切子を暮らしの中で楽しむ

薩摩切子の灯具

今回は、幻となっていた薩摩切子の歴史や特徴について詳しくご紹介いたしました。深みのあるグラデーションや、優美な文様が魅力的な薩摩切子。さらに昔ながらの良さを残しながら、新しい技法も取り入れるなど今後の進化も期待できます。ぜひ一度手に取り、美しさを味わってみてください。

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どいまちこ
EXSENSES公式ライター

高知県の古民家で保護猫2匹と暮らしているフリーライター

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