唯一無二の伝統工芸品「樺細工」
その魅力と秋田県角館周辺のおすすめ宿2選

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秋田県角館の樺細工

日本全国を見渡しても類似品が無く、数々の有名ブランドに採用されている秋田県仙北市角館町発祥の伝統工芸品「樺細工」。茶筒や箱もの、ペンダントなど様々なアイテムが作られています。数ある伝統工芸品の中で樺細工作品がなぜ、唯一無二といわれるのでしょうか。使う程に味わい深くなる樺細工の制作工程やその魅力、さらに角館周辺のおすすめの宿を2つご紹介します。

樺細工とは

始まりは副業だった?樺細工誕生の経緯

秋田県角館の武家屋敷

樺細工は今から約230年前、安永~天明年間に角館を治めていた佐竹北家によって、阿仁地方(現北秋田市)から角館に伝わったとされています。天明の頃は大凶作や飢饉などが発生し、生活していくにはとても厳しい時代。元手がほとんどかからない「山桜の樹皮」を加工して作る樺細工は、少しでもお金を稼ぎたい当時の下級武士の間で副業(内職)として広まりました。その後佐竹北家により手厚く育まれ、角館を代表する産業に発展していきます。

明治時代以降は武士を辞め、本格的に樺細工職人の道へと転身する人々が増加。それに伴い工具なども改良され名工が誕生し、産業として確立していく中で商品の価値も高まっていきました。

1976年(昭和51年)には秋田県で初の伝統的工芸品として認定され、角館町が国内唯一の生産地となりました。精巧な技術と伝統は現在に至るまで、樺細工職人の熱い思いに支えられて継承されています。

樺細工の特徴と制作工程

樺細工の材料の山桜
photo by jjtk_pdx

神経を研ぎ澄ます非常に細かい作業も多く、制作行程は完成まで気が抜けません。日本人が得意とする繊細な手仕事と高い集中力、そして貴重な山桜を扱う技術こそが唯一無二といわれる所以なのです。

樺細工の「樺」とは山桜の樹皮のこと。防乾防湿で材質は堅く、独特の光沢を放つ稀有な特性は、樺細工を作る上で欠かすことはできません。また、山桜の樹皮は代々受け継がれてきた職人の技術ではがすことにより、わずか数年で再生が可能なのだそう。つまり樹木を枯らすことなく永続的に自然の恩恵を受けられるのです。木々への愛着と感謝も含めて次の代へと引き継がれていくのですね。

樺細工の制作工程は次のような流れになります。

1.樺はぎ

特殊な刃物で幹から丁寧にはがして1年以上陰干しにして水分を抜きます。その後包丁で丁寧に削って色合いを出します。

2.樺削り
状態や色から用途に応じた樺を選んで、作るものの大きさに合わせて裁断する工程です。コテをあてて丸まった樺の癖を蒸すようにして柔らかく伸ばします。

3.膠(にかわ)塗り
薄く削った樺に膠を塗り、乾かす工程です。膠とは、主に牛の皮を原料とした環境に優しい無公害の接着剤です。

4.仕込み
木型に経木(きょうぎ)と呼ばれる薄い木の板を巻き付け、熱したコテを押し付けて円筒状にする工程です。経木の内側に膠を塗って樺を貼りつけます。

5.張りつけ(胴張り)
芯になる木材に膠を塗り、樺を貼りつけてゆく工程です。膠もコテのあて方も熱加減が非常に難しく、熟練された技術が必要とされます。

6.天盛り
筒状の天と底の部分の加工をする工程です。小刀を使って削り、カンナをかけてふちをなめらかにします。

7.仕上げ(磨き)
樺の表面により光沢を出すために、何度も磨きをかける工程です。との粉で磨き、鬢(びん)つけ油を少量塗って布で磨けば完成です。

主な制作技法

型もの

「仕込みもの」とも呼ばれ、古くは印籠などが制作の主流でした。木型に合わせてけやきの皮や経木で芯を作り、樺をつけて筒状にします。この製法を最大限活かしたアイテムが茶筒です。熱したコテの使い方には細心の注意が必要とされ、密封性の優れた茶筒作りには熟練の腕が試されます。

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木地もの

下地に板を使った技法で、主流は重箱などの箱物作り。必要に応じて文様を置く模様付けの技術が光る製品も作られています。

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たたみもの

磨いた樺を何重にも重ね張りして厚くしたもの。ペンダントやブローチ、アクセサリーや箸置きにもこの技法が用いられます。樺本来が持つ光沢を発揮できるよう、極限まで磨く技術を必要とします。

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角館周辺のおすすめ宿

せっかくなら角館に宿泊して、風情を感じながらじっくりと樺細工に触れてみませんか。ここでは角館でおすすめの宿を厳選して2つご紹介します。

夏瀬温泉 都わすれ

宿の周辺には他の旅館はもちろん、民家もありません。その名の通り、都会の喧騒から抜け出し、渓谷の流れや鳥のさえずりなどの自然の音を静かに感じられる一軒宿です。客室は全10室で全てのお部屋に露天風呂が付いています。4×1.8mの露天風呂と専用のプライベートデッキで過ごす至福の時間を満喫しませんか。

食事はシェフのこだわりが詰まった料理に舌鼓。秋田の郷土料理をはじめ、東北の旬の食材を自分で選んで調理してもらえるメニューもあり、食べる楽しみが増えそうですね。

夏瀬温泉 都わすれ
0187-44-2220
チェックイン: 14:00 / チェックアウト: 11:00
※ご予約の際には、必ず最新情報を公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

田町武家屋敷ホテル

角館駅から徒歩約15分の立地に佇む、黒板塀が角館の伝統的な景観にマッチした蔵造りの宿。全12室の客室は和モダンなデザインで統一されていて、民芸調のインテリアが生み出す穏やかな雰囲気が魅力のホテルです。

食事会場は落ち着いた空間が楽しめるレストラン「樅の木亭」。四季折々の旬の味を堪能できる創作和食の会席コースを楽しむことができます。秋田名物のきりたんぽ鍋を囲んで、心身ともに温まるのもいいですね。
ご予約はインターネットのみ。

田町武家屋敷ホテル
0187-52-1700
チェックイン: 15:00 / チェックアウト: 10:00
※ご予約の際には、必ず最新情報を公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

伝統と技術に裏付けられた名品を求めて

秋田県の角館町の伝統工芸品「樺細工」についてご紹介しました。手で触れるたびに本来の光沢が増していく、職人が精魂込めて作り上げた一点ものには、きっと愛着も湧くはずです。世界に誇る伝統工芸品を求めて、重厚な武家屋敷が今でも歴史の面影を残す、みちのくの小京都角館へ足を運んでみてはいかがですか。

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