日本一の薄さを誇る高知県の工芸品
「土佐和紙」の魅力とは

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高知県の土佐市や、いの町周辺で作られている「土佐和紙」。1000年以上の歴史があり、現在もさまざまな種類の土佐和紙を生産しています。土佐和紙の特徴は、なんといっても薄さと丈夫さ。さらに文化財の修復に使用されている「土佐典具帖紙」は、0.03~0.05mmと、手すきの和紙では日本一の薄さを誇ります。この記事では、土佐和紙の魅力や歴史、製造方法などをご紹介していきます。

「伝統的工芸品」土佐和紙

土佐和紙の主な原料は「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」の3種類。ならびに土佐の楮は、繊維が長く絡みやすいため、薄くて丈夫な和紙が漉けます。さらに良質な石灰や原料が豊富にあるという点や、仁淀川の清流に恵まれていたことが「土佐和紙」発展の理由だと言われています。

国の無形文化財に指定されていている「土佐典具帖紙(文化財の修復などで使用)」と「土佐清帳紙(書道の紙)」は、楮を原料としています。そして昭和51年(1976年)に、高知県の手漉き和紙は「土佐和紙」という名称で、国の伝統的工芸品に指定されました。

日本各地にある和紙の生産地では、和紙の種類が少なくなりつつあります。しかし「土佐和紙」は、現在でも約300種類の和紙を生産し続けているのも特徴のひとつです。

1000年を誇る土佐和紙の歴史

「土佐和紙」の歴史は、いくつかの説があります。延長5年(927年)に完成した、「延喜式(えんぎしき)」で、国に紙を納めた主要産地国として、土佐の名前が記されています。ちなみに延喜式とは、養老律令に対する施工細則を集大成した古典法典のことです。

また平安時代の歌人で知られている「紀貫之」は、国司として土佐へ赴任したとき、製紙業を奨励したと言われています。戦国時代には、いの町成山で「柿色・黄色・紫色・桃色・萌黄(薄緑)・浅黄(薄青)・青」の七色に草木染めした「土佐七色紙」は、土佐藩から徳川幕府に献上品とされるなど、土佐藩からも保護を受けていました。

江戸時代後期に、いの町出身の「吉井源太」は、土佐和紙の需要に応えられる大型の簀桁(すけた)を開発。品質を落とさず、高品質な土佐和紙を従来の2~3枚の和紙を漉くことができ量産可能となりました。

土佐和紙の製造工程

1|原料を煮る

土佐和紙の原料は「楮・三椏・雁皮」の皮を主に使用して作られています。紙の質や用途により作り方は異なりますが、楮を使用する場合、白い部分と黒い部分を分け冷たい水にさらしたあと楮を煮込んでいきます。原料を煮込むときは、ソーダ灰や消石灰などのアルカリ性を加え2~4時間程煮込むのが、綺麗な和紙を作るポイントです。

2|水洗い・さらし

煮込んだ和紙の原料は、薄く広げて一昼夜かけ繰り返し清流で洗い流します。そして、しっかりと水洗いをした原料は、天日干しや晒し液などを使用して漂白。色味がある原料も、3~4日かけて天日にさらすことで、少しずつ白く変化していきます。

3|ちり取り

原料を煮詰めて水洗いをしても、表皮やよごれが残っています。ちり取りは、残っている表皮やよごれなどを手作業で丁寧に取り除く作業です。またちり取りをすることで、和紙のシミや経年劣化を防ぎ、丈夫な和紙へと仕上がります。

4|たたく

ちり取りが終わると、繊維を叩く作業をします。団子状に丸めた繊維を、棒を使い叩く方法です。しかし近年では、機械を使用して叩く「打解作業」が多くなりました。

5|こぶり

しっかりと、叩いた繊維を「こぶり篭(こぶりかご)」と呼ばれている篭へ水を張り、沈めます。そして水を張った篭の中で、しっかりと繊維を分散させるのです。

6|紙漉き(かみすき)

5つの工程を経て繊維の状態が整ったら、いよいよ「紙漉き」をしていきます。繊維を和紙の状態にするには糊が必要です。土佐和紙で糊として良く使われているのは「トロロアオイ」です。

糊の分量が少なすぎると水が抜け、多すぎると水が抜けなくなります。そのため糊の分量の調整は、重要なポイントです。そして繊維と糊がしっかりと混ざったら「紙漉き」をしていきます。

紙漉きには「流し漉き」と「溜め漉き」の2種類の方法があります。「流し漉き」は、漉き船で繊維をすくい、均等に揺すったり漉いたりします繊維を均一にしないといけないため、技術を要する作業です。一方、「溜め漉き」は、繊維をすくいあげ余分な水を抜く技法です。

7|脱水

漉きをした繊維は、水分を抜きます。漉いた和紙に、重い石を一晩置いてから、圧搾機で脱水する方法が一般的です。

8|乾燥

脱水終了後、しっかりと乾燥させて和紙へと仕上げます。現在、乾燥方法で用いられているのは「天日乾燥」と「火力乾燥」の2種類。主に用いられている天日乾燥は、干板へ1枚ずつ丁寧に張り付けていき、乾燥させる方法です。

いの町 紙の植物館で紙漉き体験

画像:いの町紙の植物館

高知県の「いの町 紙の植物館」では、紙漉きの体験が可能です。大人の付き添いがあれば、5~6才くらいからの体験もできます。あなただけの、オリジナル土佐和紙を漉いてみてはいかがでしょうか。

・所用時間|約1時間(紙漉き|約30分・乾燥|約30分)
・開催日|休館日の月曜以外は全日開催しています。(最終受付16時)
・料金|400円(別途入館料は必要です)
・サイズ|はがき8枚もしくは、色紙2枚

土佐和紙を日常生活に

今回は、伝統的工芸品に指定されている、土佐和紙について詳しくご紹介いたしました。薄くて丈夫な土佐和紙は、文化財の修復に使われるなど国内外で評価されています。また近年では、日常生活で気軽に使用できる土佐和紙にも力を入れています。ぜひ土佐の自然が漉き込まれた「土佐和紙」を体感してみてください。

いの町 紙の植物館(イノチョウカミノショクブツカン)
088-893-0886
9:00〜17:00
月曜(祝日の場合は翌日休、12月27日〜翌1月4日休)
※最新情報は、必ず公式ウェブサイトでご確認いただくか、施設にお問い合わせください。

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