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五感を刺激する水族館「アクアマリンふくしま」

太平洋を望む、福島県有数の観光地アクアマリンパークに立地する同県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」。陽光が差し込み、緑あふれる館内では、魚を見るのみならず触ったり食べたりするなど五感を刺激する体験ができ、来館者を自然へといざなう仕掛けに満ちています。また、少年期の自然体験を描いた米国の小説「トムソーヤーの冒険」になぞらえたトムソーヤープロジェクトと題した取り組みが、環境に優しい次世代の育成に貢献し、自然とともに生きる大切さを伝え続けていることでも知られている水族館です。今回はその「アクアマリンふくしま」の魅力に迫ります。

ショーがない水族館

提供写真:アクアマリンふくしま

「アクアマリンふくしま」は、福島県が建設し、財団法人ふくしま海洋科学館の運営で2000年7月にオープンしました。カツオがイワシの群れを追い回す弱肉強食の世界を再現した大型水槽や、世界初のサンマの常設展示などの独自性が幅広い世代に受け入れられ、開館初年度の入館者数は地方の水族館で異例の116万人を達成しました。
02年には、全国の水族館で主流だったイルカやアシカなどのショーがないことを揶揄したCM「ショーがない(しょうがない)水族館」を発表し、話題となりました。その後、年間約76万人まで減少しましたが、水辺の環境を再現した屋外施設「BIOBIO(びおびお)かっぱ里」、海辺の自然を再現した「JUBJUB(じゃぶじゃぶ)ひがた」に続き「PICHPICH(ぴちぴち)いそ」「RUNRUN(らんらん)はま」を相次いでオープン。海辺の3つのエリアを合わせた「蛇の目ビーチ」が完成した2007年度には年間来館者数が再び100万人を超えました。広さは、生き物と触れ合えるタッチプールとして世界最大級の4500平方メートルあり、子どもたちが素足で走り回っています。

食べる水族館

開館10年を迎えた2010年の3月には子ども体験館「アクアマリンえっぐ」が誕生しました。寝転んだり、遊びながら魚を観察できたりするユニークな形の水槽(2021年8月現在、コロナ禍のため休止中)が並ぶ子ども向けの体験型施設です。釣り堀で釣った海の魚を調理して食べられるコーナーも併設。子どもたちのみならず、大人たちも夢中になって釣り糸を垂れ、釣りたての魚を唐揚げに調理し、笑顔でほおばっています。

2013年には館内に寿司処「Happy Oceans(ハッピー オーシャンズ)」を開店。親潮と黒潮がぶつかる好漁場の、福島県沖の潮目の海を再現した大水槽前で、土日限定で泳ぐ魚を眺めながら寿司を味わえます(2021年7月現在)。店名は「海を通して人と地球の未来を考える」という同館の基本理念に根ざした取り組みで、数が多く資源量が安定した魚介類を食べることを推奨する同館の運動名でもあります。魚の資源量を信号機に見立て「赤」(少ない)、「黄」(注意)、「青」(安定)に分類。赤は絶滅危惧種のクロマグロや、大量漁獲されたため激減したホッケなど、黄はゴマサバやカタクチイワシなど、青はキハダやミズダコなど、と資源量がひと目で分かるパンフレットも用意しています。

被災から4カ月で再開

2011年3月11日の東日本大震災による津波に襲われた同館は地下電源設備が水没。水温を調整したり、循環したりする機能を失い、館内の生物の9割に当たる約20万点が流失しました。水族館から約55キロ離れた東京電力福島第1原発が事故を起こし、飼育員らも避難を余儀なくされました。翌4月、全国に散らばっていたスタッフが再び集まり、本格的な復旧作業が始まりました。がれきや土砂をバケツリレーでかき出したかと思ったら、余震による液状化現象で土砂があふれ、元通りになったこともありました。復旧に向けたスローガンは「よみがえれ私たちの海」とし、営業再開日は2000年の開館記念日と同じ7月15日に決めました。再開日のセレモニーで安部義孝館長(当時)は「早期の再開は無理だと言われる中、業界のご協力に励まされました。雨の少ない梅雨だったことも幸いし、作業が順調に進む運にも恵まれました」と満面の笑みで感謝しました。会場にはスタッフをはじめ、多くの市民らが訪れ、復興の象徴となった同館の復活を喜びました。席上、避難先の鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)で生まれたゴマフアザラシの子どもの名前が発表されました。アクアマリンと鴨川の職員で決めた名前は「きぼう」。その「きぼう」は2013年、繁殖のために青森県営浅虫水族館に貸し出されました。

こども魚市場

親潮と黒潮がぶつかり、好漁場として知られる福島県沖の魚や漁法について、遊びながら学べる企画展「アクアマリンこども魚市場」が2021年7月に始まりました。定置網を模した通路や、タコ壺形の遊具などがあり、捕まる魚の気持ちを疑似体験することで、漁業の理解を深めることができます。
会場では、市場で使われているコンテナの中に生きたヒラメやマダコなどの常磐ものを展示。魚を調理した食品サンプルを水の中に入れることで、魚介類の利用法がひと目で分かる構成になっています。東京電力福島第1原発事故による放射線の影響や、海洋プラスチックごみの問題について解説するパネルも展示。えさの種類によって釣れる魚の違いを理解することができるコーナーもあります。
 壁にはイラストレーター友永たろ氏が描いた原寸大の魚の絵があふれ、海の中にいるようなイメージ。幼い子どもらと訪れた同市の男性会社員(28)は「豊かな海が身近にある地元を誇らしく思う。しっかりした検査をしており安心しているので、地産地消に協力し、子どもたちにも魅力を伝えたい」と話しました。

子供から大人まで楽しめる水族館

今回は福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」の魅力をたっぷりご紹介いたしました。福島に行くなら外せない、地元民もおすすめするスポットです。子供から大人まで幅広い年代が楽しめるような仕掛けが盛りだくさんで、開館当初から現在に至るまで多くの人々を魅了し続けてきました。福島に訪れる際はぜひ「アクアマリンふくしま」に足を運んでみて下さい。

環境水族館アクアマリンふくしま
0246-73-2525
通常期 3月21日~11月30日 9:00~17:30 / 冬季12月1日~3月20日 9:00~17:00
最終入館時刻は閉館1時間前まで

年中無休(2021年8月現在は臨時休館中)

※お買い求め・お出掛けの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。
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中村ストア
EXSENSES公式ライター

福島県いわき市在住の記者兼カメラマン。