櫻井寛の駅弁まんぷく旅第5回:北陸編
(北陸新幹線・あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道・北陸本線)

当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。

忍者ハットリくん列車
氷見線を走る「忍者ハットリくん列車」。背後の海は寒ブリで有名な富山湾。

「漫画アクション」連載の漫画『駅弁ひとり旅』の監修を務め、全国の駅弁6000食を完食した鉄道写真家の櫻井寛氏による北海道から九州まで全国各地の櫻井氏おすすめの駅弁をご紹介していきます。第5回目は、北陸編です。富山湾の冬の風物詩「寒ブリ」が味わえる駅弁がある富山駅、加賀百万石前田家の料理頭を預かってきた家の料亭が作る駅弁がある金沢駅、そして名物のカニが味わえる福井駅などおすすめ駅弁をご紹介していきます。

富山湾の冬の風物詩「寒ブリ」を味わう駅弁

ぶりかまめしのパッケージ
冬季限定で富山駅や新高岡駅などで販売される「ぶりかまめし」

東京駅から北陸新幹線「かがやき号」金沢行きに乗車する。心地よい乗り心地にいつしかZ、Z、Z・・・と、夢の旅路をひた走っていると、
「進行方向右側の車窓に紺碧の日本海がご覧いただけます。東京駅から最短時間でご覧いただけます日本海です」
と、アナウンスが流れ、眼が覚めた。「かがやき号」の場合、東京駅から日本海が見えるまでおよそ1時間45分。つまり、1時間45分で本州を横断したわけだ。糸魚川駅、続いて黒部宇奈月温泉駅を通過すると、今度は左側の車窓に屏風のように連なる立山連峰が現れた。ほどなくアナウンスが流れて富山駅に滑り込む。東京駅から2時間10分。新幹線は本当に速いなあと感心する。
キトキトの魚で名高い富山湾の冬の風物詩といえば「寒ブリ」である。その寒ブリを駅弁にしたのが「ぶりかまめし」。ぶりかまとは、ブリのえらの後ろをさし1匹から2枚しかとれない貴重なもの。2日間じっくり煮込み、骨まで食べられる軟らかさに。なので、思い切りがぶりと行きたい。ご飯はわさび風味のすし飯で絶妙な味わいを演出。添えられた白海老浜焼とワカメも富山が誇る海の幸だ。なお、季節商品なので例年11月下旬から3月中旬までの限定販売となる。

ぶりかまめしの中身
お弁当箱の中央にドーンとブリのカマ。その脇に昆布と白エビが踊る

▼富山駅「ぶりかまめし」(1350円税込)
URL : https://www.minamoto.co.jp/catalog/331
【販売期間】2022年11月1日(火)~終了日未定
※販売箇所は、上記の公式サイトにてお問合せください。
※お買い求めの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

加賀百万石の礎となった前田利家公にちなんだ駅弁

利家御膳のパッケージ
殿様の駕籠を模したパッケージ。かつぎ棒の中にはお箸が入っている

富山の次は金沢に向かう。北陸新幹線でもよかったのだが、乗車時間が20分足らずなので、在来線の「あいの風とやま鉄道」と「IRいしかわ鉄道」の直通電車で行くことにした。「あいの風」に「IR(あいあーる)」とは、郷土愛を感じさせるネーミングだ。源平の古戦場、倶利伽羅峠を越えて富山県から石川県へ。およそ1時間の各駅停車の旅を堪能し金沢駅に降り立った。金沢といえば加賀百万石の礎となった前田利家公だが、金沢駅の名物駅弁が、その名も「利家御膳」である。製造元の「大友楼」は、天保元年(1830)年創業で、初代の大友儀佐衛門より代々、加賀百万石前田家の料理頭を預かってきた金沢の老舗中の老舗。現在の当主、大友佐俊氏は7代目。駅弁容器は殿様の駕籠をイメージした二段重。400年の伝統を誇る金沢の郷土料理、治部煮も実に旨い。

利家御膳の中身
駕籠の中は二段重。治部煮や加賀野菜など金沢の郷土料理が味わえる

▼金沢駅「利家御膳」(1300円税込)
URL : http://www.ootomorou.co.jp/
「大友楼」新幹線ホーム売店や在来線金沢ホーム弁当店で販売しています。
※お買い求めの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

越前のズワイガニとセイコガニの両方味わえる名物駅弁

越前かにめしのパッケージ
お弁当箱全体を包装するユニークなスタイルの「越前かにめし」の掛け紙

金沢からは北陸本線で福井へ。北陸新幹線の工事もたけなわの福井駅に降り立つと恐竜に迎えられた。「フクイティタン」など、かつて福井県に生息していた
巨大な恐竜たちだ。さて、福井駅の看板駅弁が「越前かにめし」である。何より驚くのがフタを開けた瞬間で、弁当箱全体がカニ肉で覆い尽くされていること。敷き詰められているのは、紅ズワイガニのほぐし身とズワイガニのコロ肉。その下に、珍味として有名なセイコガニの卵巣、ミソをほぐして炊き込んだご飯。きざみ海苔を振りかけて頬張れば、ああ、大満足!

越前かにめしの中身
カニを模した赤いお弁当箱を開けば、紅ズワイガニとズワイガニの共演

▼福井駅「越前かにめし」(1380円税込
URL : http://www.banjyo.jp/lineup/detail.php?id=1
「番匠本店」「福井駅番匠プリズム店」や「番匠本店 福井駅桜むすびプリズム店」にて販売
※お買い求めの際には、必ず最新情報を各施設の公式ウェブサイトでご確認いただくか、各施設にお問い合わせください。

名物駅弁を片手に秋冬の北陸の旅に行こう!

11月は、金沢の特別名勝兼六園の紅葉や「寒ブリ」、「セイコガニ」、「ズワイガニ」など冬の名物を味わえる時期です。富山、金沢、福井など北陸エリアも、美味しい駅弁が多くあります。北陸新幹線、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、北陸本線を使った鉄道旅のお供に名物駅弁を楽しむのはいかがでしょうか。

当サイトではアフィリエイトプログラムを利用しています。

櫻井 寛
EXSENSES公式ライター

1954年長野県生まれ。昭和鉄道高校、日本大学芸術学部写真学科卒。出版社写真部勤務を経て独立。93年航空機を使わず88日間世界一周。94年『交通図書賞』受賞。漫画『駅弁ひとり旅』の監修を務め駅弁6000食完食。『にっぽん全国100駅弁』、『知識ゼロからの駅弁入門』など著書多数。日本写真家協会、日本旅行作家協会会員。東京交通短期大学客員教授。

このライターの記事をもっと見る