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フランスでは、季節を問わず「アペロしよう」という会話がよく聞こえてきます。アペロ(apéro)とは、おつまみとともにお酒を1〜2杯軽く飲みながらおしゃべりして過ごす時間のこと。
仕事終わりに同僚とカフェやバーで、夕食前に家族と、友人とディナーへ出かける前に、ご近所さんを家に招いて…さまざまな場面で、フランスの人々はこのアペロのひとときを楽しみます。今回は、フランスの日常に欠かすことができない習慣、アペロ文化についてご紹介します。
「アペリティフ」と「アペロ」は違う?
そもそもアペロとは、「食前酒=アペリティフ(apéritif)」を略した言葉。フランスのディナー開始時刻は20〜21時ごろと遅いため、「ディナーの前に軽くお酒を飲んでリラックスしよう」と始まった習慣です。レストランなどでは現在も、この本来の食前酒という意味での「アペリティフ」という言葉や習慣が残っています。
しかしフランスで「アペロ」というと、一般的には軽食をつまみながら、友人や家族と軽くお酒を楽しむカジュアルな時間を指します。平日の夕方や週末に自宅でアペロすることもあれば、仕事終わりにカフェやバーへ行く場合も。場所がどこであっても、共通するのは「軽いおつまみ」で済ませるということ、そして何より大切なのは、リラックスしておしゃべりを楽しむということです。
アペロだけで一晩が終わることも
「食前酒」というもともとの意味から、「アペロのあとは当然ディナーが待っているんでしょう?」と思われる方もいるかもしれませんが、実はそうでもないのが、このアペロ文化のおもしろいところです。
もちろんディナーを前提とした場合や、ホームパーティーなどで人が揃うまでの時間をアペロとする場合もありますが、「アペロのあとは、家に帰って夕食を食べる」ということもままあります。一方、おしゃべりが盛り上がり、アペロだけで一晩が終わってしまうなんていうことも珍しくありません。
「アペロしよう」は人と人をつなぐ合言葉
「ディナー」というと、家に誰かを招く場合も、レストランへ行く場合も少し身構えてしまうものです。その点アペロは、予算も準備の手間も抑えられるため、誘う側も誘われる側も気軽に感じられるのが魅力的。「アペロしよう」は、ご近所さんや新しくできた友人など、「もっと仲良くなりたい」と感じている人を誘うためにもぴったりな合言葉なのです。
このように、フランス人にとってアペロは、ただお酒を楽しむだけでなく、人と人とをつないでくれる大切な憩いの場。そしてこれこそが、若者からお年寄りまで多くの人々がアペロの時間を愛する理由なのでしょう。
アペロの定番おつまみやお酒
アペロのおつまみというと、オリーブにシャキュトリー(ハムや「ソシソン」と呼ばれるフランスのサラミなど)、ナッツ類、野菜スティックやミニトマト、そしてポテトチップスなどのスナック菓子が定番です。
また、薄切りパンにさまざまな具材を載せたオープンサンドイッチ「カナぺ」も人気のアペロメニュー。カナぺには、魚介類やハム、野菜、チーズ、フムス、または魚や肉のペーストなどを載せて楽しみます。
この通り、アペロのおつまみは片手でつまめるものが主流です。調理はせず、「切るだけ」「出すだけ」「載せるだけ」と、準備に手間や時間をかけません。
アペロはドリンクもまた軽めです。こうした軽食に合うビールやワインのカクテル、白ワイン、夏であればロゼも好まれます。食事でいただくような、ずっしりと重厚な赤ワインなどはアペロには不向きです。
ソファやテラスでゆったりと
自宅でアペロする場合、ソファに掛けながらゆったりとした雰囲気で楽しむこともあれば、テーブルに軽食を並べ立食のようなスタイルをとることもあります。
「テーブルに着く」のは、「ランチやディナーなど、きちんと食事をする時」というのが一般的な認識です。
また、日が長い夏はテラス席や庭先でアペロを楽しむのがお決まり。カフェやバーの外を埋め尽くすテラス席はフランスの夏の風物詩ですが、自宅であっても、庭やバルコニーにテーブルを出してアペロタイムを過ごします。
アペロ、ぜひ気軽に取り入れてみて
アペロという言葉、最近では日本でも徐々に聞かれるようになってきました。お酒を片手にリラックスしておしゃべりする時間は、がんばった一日の疲れをふっと癒してくれるものです。「アペロしよう」と家族や友人を誘い、買ってきたものや家にあるもので気負うことなくゆったりと。みなさんもフランスの習慣、アペロを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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