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三宅島(みやけじま)は活発な火山活動が育んだ、ユニークな自然あふれる島です。約280種の野鳥が観察され、たびたびの噴火にも耐えてきた巨樹も残っています。この記事では三宅島を東京発の大型客船で訪れ、現地を約2日間で楽しめるモデルプランをご紹介します。
本文で紹介している見どころやスポットは以下の地図からご覧いただくことができます。
地図を見る:https://maps.app.goo.gl/wZZsCzmsbg6QRr8r9
三宅島ってどんな島?

島の面積は約55平方km、伊豆諸島で3番目に大きい島です。富士山から伊豆諸島に至る富士火山帯の上に位置しており、昭和以降の100年間に4回の大きな噴火活動がありました。2000年7月8日の雄山の山頂噴火の際は火山性ガスが放出されたため、9月頭に全島民避難指示が出され、避難指示が解除されたのは4年5カ月後の2005年2月1日でした。

火山活動が作り出した景色は雄大で、貴重な自然も保たれています。鳥たちが求婚、繁殖を行う春は、バードウォッチングのベストシーズンで、多くの野鳥観察愛好家が島を訪れます。近隣の島々同様、釣りやダイビング、マリンアクティビティを楽しめる場所としても人気で、ボートで1時間ほどの御蔵島(みくらじま)で体験できるドルフィン・スイムも三宅島から参加できます。

三宅島のおすすめ見どころ
大路池(たいろいけ)と迷子椎(まいごじい)

大路池は野鳥観察に適した、島の南部に位置する湖です。約2500年前に起きた水蒸気爆発によってできた火口湖で、三宅島の水源として使われてきました。ここの野鳥の密度は非常に高く、湖を囲む散策路は「日本一のさえずりの小径」と呼ばれています。

湖の西側を通る車道沿いには「迷子椎(まいごじい)」と呼ばれるスダジイの巨樹が、現在も立派な姿を見せています。迷子椎という名前は、この巨木を目印にすれば、迷子になったとしても深い森から抜け出せるという言い伝えに由来しています。
三宅島ふれあいセンター・アカコッコ館

「アカコッコ」は腹部が朱色、体長23cmほどの鳥で、三宅島では「アカッパラ」と呼ばれ親しまれてきました。伊豆諸島や九州のトカラ列島、男女群島のみに生息する国の天然記念物です。1993年に設立されたこの施設では、アカコッコの生態を詳しく紹介するとともに、島で見ることができるほかの鳥たちや、島の火山活動の歴史について展示が行われています。三宅島でバードウォッチングを考えているなら真っ先に訪れたい施設です。

建物には野鳥観察用のベランダがあります。アカコッコは地面近くの虫をついばむために、地表に下りてきます。ベランダは地表が目の高さになるように、地面を掘り下げて造られていますので、アカコッコを間近に見られるチャンスもあります。
三宅島ふれあいセンター・アカコッコ館ウェブサイト
https://miyake1993.wixsite.com/akakokko
伊豆岬灯台(いずみさきとうだい)

伊豆岬灯台は三宅島を代表する絶景スポットです。灯台の高さは約10mで、1909(明治42)年に設置、伊豆諸島で最初に点灯されました。灯台に至る道路は下り坂になっているので、灯台に近づくと一気に視界が広がり、絶景との出合いが楽しめます。荒々しい景色ですが、格別な爽快感を得られる居心地のいい場所です。ベンチもありますので、ここでゆっくり休憩するのもいいでしょう。
新鼻新山(にっぱなしんざん)

1983年の噴火の際に、たったひと晩でできたスコリア丘(火山からの噴出物が堆積した丘)が波に浸食され、現在のような形になりました。黒いざらざらの岩石に覆われた地面を歩くと、まるでほかの惑星に立っているかのような気分になります。2022年9月には、JAXAと日産が共同研究してきた月面ローバ(探査車)の走行実験が行われました。

火山体験遊歩道

温泉郷としてにぎわっていた阿古(あこ)地区は、1983年10月の噴火の際に流れ出た溶岩により、400戸近くが2m近い溶岩に埋没、焼失してしまいました。火山体験遊歩道は、この溶岩の上を歩くことができる遊歩道で、溶岩流の脅威や当時の被害の状況、溶岩がどのような景観を作り出すかを知ることができる場所です。

被害は甚大でしたが、ちょうどこの年の8月に防災訓練を行っていたこともあり、約1300人の住民の人的被害はなく、島の反対側に無事に避難することができました。遊歩道に設けられた案内板では、当時の被害の状況や地形の変貌、溶岩流がもたらした影響について知ることができます。
阿古小学校・中学校跡

1983年の溶岩流は時速17kmほどの速度で海に向かって流れていました。阿古地区の西側に建っていた阿古小学校と中学校の建物が溶岩流をせき止める形になり、厚さ約10m、校舎の2階を埋めつくすほどの溶岩が流れ込みました。高熱の溶岩流の破壊力が見られる場所です。
メガネ岩

火山体験遊歩道から西に入る今崎海岸沿いの道路は車も通行できる景色のいいルートです。メガネ岩は阿古中学校から徒歩約10分の場所に位置する岩で、以前は写真右側の岩もアーチ状になっていたため、メガネ岩と呼ばれています。錆ヶ浜港に向かいさらに5分ほど歩くと、島唯一の温泉施設「ふるさとの湯」があります。
2日間で楽しむモデルプラン
東京から三宅島への大型客船は朝5:00に到着します。三宅島ではレンタカーを使って移動するのがおすすめですが、モデルプランでは村営バスを使って移動できるスケジュールを組んでいます。出発地は宿泊施設や飲食店、商店が集まる錆ヶ浜(さびがはま)港周辺としました。村営バスの時刻は2025年3月末時点で公開されているスケジュールです。このモデルプランを参考に旅する場合は、必ず事前に運行スケジュールを確認し、島に入ってからも再確認してください。
1日目 大路池の巨樹や野鳥の観察と、火山体験遊歩道の散策

5:00 大型客船「橘丸」で到着
5:30~8:00 朝食と休憩、または大路池周辺でバードウォッチング
8:01 バス停「錆ヶ浜港入口」から乗車
↓左回り村営バス
8:12 バス停「大路池」下車
↓徒歩約5分
アカコッコ館
開館時刻まで周辺を散策
9:00 アカコッコ館入館(入場料あり。所要約60分。月曜と年末年始は休館。月曜が祝日の場合は翌日休館)
↓徒歩約10分
迷子椎(所要約10分)
↓徒歩約10分
10:30 大路池北側(所要約20分)
↓徒歩20~40分
11:43 バス停「大路池」から乗車
↓右回り村営バス
11:54 バス停「錆ヶ浜港入口」下車
↓徒歩
12:00 錆ヶ浜港周辺で昼食
↓徒歩約20分
13:30 火山体験遊歩道、阿古小学校・中学校跡(所要約60分)
↓徒歩約10分
メガネ岩(所要約10分)
↓徒歩約5分
ふるさとの湯(温泉施設。水曜休業)
↓徒歩約15分
錆ヶ浜港周辺
※1日目の訪問場所は、レンタサイクルでも無理なく訪問できます。レンタカーやレンタサイクルが手配できるなら、大路池周辺での滞在時間を長めに取ることをおすすめします。
2日目 絶景スポット「伊豆岬灯台」と「新鼻新山」を訪問

9:20 錆ヶ浜港出発
↓タクシー
9:30 新澪池園地前で下車
↓徒歩約10分
新鼻新山(所要約30分)
↓徒歩約10分
10:27 バス停「新澪池」から乗車
↓右回り村営バス
11:01 バス停「伊豆岬入口」下車
↓徒歩約15分
伊豆岬灯台(所要約30分)
↓徒歩約15分
12:09 バス停「伊豆岬入口」から乗車
↓左回り村営バス
12:36 バス停「錆ヶ浜港入口」下車
↓徒歩またはタクシー
13:00 東海汽船東京行き出航港着(海のコンディションによって船着場が変わる)
※新鼻新山は地理的には大路池とともに訪問するのがおすすめですが、村営バスを使うとルートに組み入れにくいため、2日目の最初の訪問場所としました。レンタカーを使う場合は新鼻新山訪問を1日目にして、火山体験遊歩道訪問を2日目に変更すると効率よく動けます。
東京から三宅島への航路と空路
航路:東海汽船

東京港発の東海汽船の大型客船「橘丸」は毎日運航されています。東京港発22:30で三宅島へは翌5:00の到着。復路は三宅島発13:35で東京港着19:40です(2025年4~6月のスケジュール)。到着港と出帆港は当日の海上と港内状況により変わりますので、特に三宅島を出発する際はどの港から出港するのか必ず確認してください。三宅島の入出港地は、三池(みいけ)港と錆ヶ浜(さびがはま)港、伊ヶ谷(いがや)港の3カ所です。
また運航状況によっては出港時刻が早まることもあります。2025年4月3日は八丈島からの便が欠航となり、三宅島出港が7:00に繰り上げられました。港とともに出港時刻も確認しておきましょう。
東海汽船ウェブサイト
https://www.tokaikisen.co.jp/
空路:中央航空会社

空路は中央航空会社が東京の調布飛行場と三宅島を結んでいます。三宅島に最も早く到着する便は調布発8:40、三宅島着9:30。三宅島最終発は14:00~15:50で、1日に2~3便のフライトがあります(2025年4~5月のスケジュール。復路の出発時刻は日によって異なる)。

フライト利用時の注意点ですが、預け入れを含む手荷物は5kg以内が無料で、それ以上は1kgにつき380円の追加料金がかかります。またクーラーボックスやサーフボードなどの大型荷物は、預け入れ可能かどうか事前確認が必要です。
中央航空会社ウェブサイト
https://www.central-air.co.jp/
三宅島へのアクセスですが、現地の天候によっては船が接岸できなかったり、フライトがキャンセルになったりすることもあります。天候の悪化が予想される場合はまめに運航状況を確認することを強くおすすめします。
島内移動と宿泊場所

島内移動は村営バスやレンタカー、レンタサイクルで
公共交通機関としては、島を1周するバス便があります。右回りと左回りのバスが、それぞれ1日に5本ずつ出ています。また早朝に客船が到着する日は、到着時刻の約15分後に出発するバス便が右回りと左回りにそれぞれ1便運行されます。
阿古地区から大路池のエリアを巡るなら路線バスやレンタサイクル利用でも十分ですが、島全体を巡るならレンタカーを利用することをおすすめします。阿古地区から伊豆岬灯台に向かうルートは特に高低差が大きいので、伊豆岬灯台を訪問する際はバスやタクシーを使うのが無難です。3人以上のグループであれば、タクシーもコスパよく利用できます。
島の宿泊施設
リゾートホテルのような宿泊施設はありません。旅館や民宿、ペンションなどで、部屋数も10室未満の宿がほとんどです。宿泊施設や飲食店、商店の密度が高いのは島の南西部の阿古地域と、島の南部から飛行場までのエリアの坪田地域です。短期間の滞在で滞在場所を探すのであれば、これらのエリアを選ぶのが正解です。多くの宿が船着場や飛行場からの送迎に対応していますので、予約の際に確認・依頼しておきましょう。支払いは現金のみという宿や飲食店もあるので、滞在日数に応じて現金を準備しておきましょう。
三宅島観光協会ウェブサイト
https://www.miyakejima.gr.jp/
訪問時に注意したいこと

火山性ガスと地形に注意
三宅島の火山活動は現在も続いています。有毒な火山性ガスが噴出している場所は立ち入り禁止になっていますので、表示を確認し安全に注意しながら行動しましょう。海岸の景色もすばらしいですが、足元が不安定な火山灰の崖を風の強い日に歩くのは非常に危険です。無理せず安全な距離を保って行動してください。
飲食店が少ないので必ず事前確認を
宿泊施設や飲食店が少ないので、泊まる場所や食べる場所については、事前に情報収集しておきましょう。特に昼食を提供する店は少なく、商店で確実に弁当を購入できるかもわかりません。飲食店の情報は三宅島を紹介する公式サイトから閲覧できますが、急な休業の可能性もありますので、お店が発信しているSNSがあれば、そちらを確認しておくと安心です。
早朝到着後の行動について
一部の宿は早朝に到着する旅客のために、朝食の提供や大広間、個室で休憩できるプランを準備しています。レンタカーも早朝から使える可能性がありますので、予約問い合わせの際に確認しましょう。釣り人向けの商店は7:00から営業を開始しますが、多くの商店は8:00~9:00開店です。
三宅島は野鳥や火山地形を観察できる場所として、イチ推しの場所です。この記事では公共交通機関を使いながら1日半のスケジュールで通年観光できる場所をメインに紹介しました。島の北部から東部にかけてのエリアにも見どころが点在していますし、夏は海水浴も可能です。2泊以上滞在してレンタカーを使えるなら、行動範囲は倍以上に広がります。週末旅行も可能ですが、時間が許せばじっくりと三宅島の自然を楽しんできてください。
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