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対馬島(つしまじま)は朝鮮半島まで約50kmの場所に位置する島です。古くから大陸との行き来があったため、島の歴史は古く、弥生時代末期の3世紀に中国で編纂された『魏志倭人伝』でも触れられています。海に囲まれ、大陸系の動植物が残る対馬島は、自然を楽しむ場所としても注目されています。1泊2日で楽しむモデルプランをご紹介します。
本文で紹介している見どころやスポットは以下の地図からご覧いただくことができます。
地図を見る:https://maps.app.goo.gl/yngZyQCD5UBD6FPy7
対馬島ってどんな島?

2025年6月30日現在の人口は2万6663人。島の面積は約708平方キロメートルで、90%近くが山地です。対馬島(以下「対馬」)は大陸から分かれてできた島なので、日本とは異なる動植物もあり、ツシマヤマネコのように、この島で独自の進化を遂げた固有種も存在しています。日本の島としては非常にユニークな自然と出合うことができます。

対馬は古くから国境の島として大陸との行き来がありました。飛鳥時代の7世紀には、防衛のために金田城(かねたのき)を築き、防人(さきもり)をおきました。1274年の文永の役の時には元寇軍の侵略を受け、壊滅的な被害を受けます。江戸時代になり、朝鮮半島との国交回復が行われましたが、その際に尽力したのが対馬藩初代藩主の宗義智(そうよしとし)です。

対馬の中心地は、今も島の南部の巌原(いづはら)で、金石城(かねいしじょう)や万松院(ばんしょういん)もここに建てられました。城下町も築かれ、町の北部の中村地区には武家屋敷の名残である石垣が残っています。対馬の歴史をたどることができる巌原の見どころは、徒歩で巡ることができます。

対馬のおすすめ見どころ
金石城跡(かねいしじょうあと)

金石城は対馬藩主宗氏が拠点としていた館で、朝鮮の外交使節団である朝鮮通信史を迎える役割も果たしていました。東側に建つ櫓門(やぐらもん)は1990年に再建されたものです。金石城は1995年に国の史跡に指定され、発掘調査が行われました。その結果、城跡に残る庭園がデザイン的にも工法的にも優れているものであることがわかり、修復と整備が進められました。旧金石城庭園は2007年に国の名勝に指定されています。

万松院(ばんしょういん)

対馬藩初代藩主の宗義智(宗氏第19代)の没後、宗氏第20代の宗義成(そうよしなり)が建てた、宗氏の菩提寺です。本堂は火災に遭い、明治時代に再建されています。寺の北部に続く百雁木(ひゃくがんぎ)と呼ばれる階段を登った先には、宗家一族の墓所「御霊屋(おたまや)」があります。樹齢1200年と言われる3本の大杉もあり、荘厳な雰囲気漂うこの墓所は、石川県の前田家、山口県の毛利家と並ぶ、「日本三大墓地」として知られています。

中村地区の武家屋敷

巌原中心部の北側エリア、中村地区には武家屋敷があり、屋敷を囲んでいた石垣が残っていました。行政と住民の協力により町並みが整備され、朝鮮通信史を迎えていた当時の繁栄ぶりが偲ばれる、美しい町並みを見ることができます。国道382号線の西側にも石塀や屋敷跡が残っていますので、中村地区からさらに北上して散歩してみることをおすすめします。

観光情報館 ふれあい処つしま

巌原の中心部に位置し、観光情報の提供を行う施設です。みやげものを売る店舗や公衆トイレもあり、バスターミナルも併設しています。まずはここを訪れ、情報収集しておくと効率よく観光できます。
対馬観光物産協会Webサイト:https://www.tsushima-net.org/

烏帽子岳展望所(えぼしだけてんぼうじょ)

標高176mの烏帽子岳に造られた展望台からは、リアス海岸に囲まれた浅茅湾(あそうわん)を一望でき、360度の眺望を満喫することができます。2024年4月から展望所に通じる道路の一部が崩れたため封鎖されていましたが、2025年7月から通行が再開されました。公共交通機関ではアクセスできない場所ですが、対馬に来たら外せない絶景スポットです。

対馬野生生物保護センター

島の固有種であるツシマヤマネコの生態や、対馬の自然を詳しく紹介している施設です。ツシマヤマネコがどんな特徴をもち、対馬の自然とどのようにかかわっているか、保護・増殖活動はどう行われているかについて理解を深めることができます。飼育・公開されているツシマヤマネコの姿を観察できる部屋もあります。
対馬野生生物保護センターWebサイト:https://torayama-twcc.jp/

※かなたの体調により、予告なく、公開中止することがあります。訪問の前に必ず最新情報をご確認ください。
棹崎公園(さおざきこうえん)

対馬野生生物保護センターを含み、センターのすぐ北側に広がる公園です。砲台跡や灯台、「日本最北西端の碑」などがあります。展望ポイントへは駐車場から数分登る必要がありますが、整備された歩道を通って手軽に訪問できます。眺めがよくベンチも設置されていますので、ピクニックを楽しんでもいいでしょう。トイレもあります。
異国の見える丘展望台

棹崎公園から車で20分ほどなので、対馬野生生物保護センターの訪問に合わせて訪れるといい展望台です。条件がよければ望遠鏡で対岸の釜山の町並みを見ることができます。
ツシマヤマネコってどんなネコ?

対馬では大陸由来の動植物が見られますが、ツシマヤマネコも日本本土にはいない動物で、ベンガルヤマネコの亜種と考えられています。対馬のみに生息する動物ながら、日本各地の動物園でも飼育・公開が行われています。

身体的な特徴としては、耳の後ろに白い模様があり、太い尾をもっています。見た目はイエネコに似ていますが、子供のうちから飼育しても決して人に慣れることはなく、異なる性質を有しているそうです。警戒心が強く、夕方から朝方にかけての時間帯に行動するため、地元でもなかなか目撃できず、どんな生態なのかを知るために、粘り強い研究が続けられています。
土地の開発により棲み家として活動できるエリアが狭まり、交通事故に遭う個体もいるため、その数は減少しています。沖縄のイリオモテヤマネコと共に「絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)」に指定されています。

対馬を2日間で楽しむモデルプラン
福岡経由のフライトを使えば島に10:30に到着することができます(2025年夏のスケジュール)。巌原は徒歩で観光できますので、到着日は空港からバスで巌原に向かい、2日目にレンタカーを借りて見どころを巡るプランを作りました。
1日目 メインタウンの厳原で歴史に触れる
10:30 対馬やまねこ空港に到着
11:20 対馬やまねこ空港を出発
↓バスで27分
11:47 巌原到着
↓徒歩やタクシー
宿泊先に荷物を預け、昼食へ
↓徒歩や車で5~15分

13:00 観光情報館 ふれあい処つしま「観光の間」で情報収集(所要約20分)
↓徒歩3分
金石城跡(所要約30分)
↓徒歩すぐ
万松院(所要約50分)
↓徒歩約15分
中村地区の武家屋敷(所要約1時間)
↓徒歩約10~15分
観光情報館 ふれあい処つしま「特産品の間」でみやげ品の購入
ワンポイントアドバイス
初日に空港でレンタカーを借りて巌原まで来てもいいですが、巌原での観光には車は不要です。レンタカー代を節約するなら、2日目に市内で借りて、空港で返却することをおすすめします。
2日目 島の北部(上島)を訪問
8:00 巌原エリアから出発
↓車で約2時間
異国の見える丘展望台
↓車で約20分
棹崎公園駐車場
↓徒歩約10分
棹崎公園、日本最西端の碑(所要約20分)
↓徒歩約10分
11:00 対馬野生生物保護センター(所要約40分)
↓徒歩数分
棹崎公園駐車場
↓車で約1時間

13:00 仁位(にい)港のある豊玉地区で昼食
↓車で約15分、徒歩数分
14:00 烏帽子岳展望所(所要約30分)
↓徒歩数分、車で約50分
対馬やまねこ空港周辺のレンタカー会社へ車を返却
↓レンタカー会社の送迎で空港へ
15:25~16:30空港着
ワンポイントアドバイス
対馬北部方面へのドライブは想像以上に時間がかかります。夕方(17:20発)のフライトで対馬を出るスケジュールを組みましたが、もう1泊するか、夜のフライトで戻るようにしたほうが、落ち着いて観光できます。天気が悪いようであれば、異国の見える丘展望台の訪問を見送ってもいいでしょう。
対馬島へのアクセス方法
空路:福岡または長崎経由で
長崎または福岡経由で、日本各地からアクセスすることが可能です。対馬までのフライトはオリエンタルエアブリッジがオペレーションしており、ANAとコードシェアしています。福岡、長崎から対馬までの所要時間は35分です。
オリエンタルエアブリッジWebサイト:https://www.orc-air.co.jp/
対馬やまねこ空港Webサイト:https://tsushima-airport.co.jp/
航路:博多港や唐津東港、壱岐島から
九州郵船が博多港(福岡県)と唐津東港(佐賀県)から対馬島までの航路をもっています。また壱岐対馬フェリーが博多港から巌原まで結んでいます。九州郵船のジェットフォイル(ヴィーナス、ヴィーナス2)を利用すれば、博多港から巌原まで所要2時間15分でアクセスできます。壱岐(芦辺港)から巌原までは所要1時間5分ですので、壱岐と対馬の両方を訪問するなら、ジェットフォイルを利用するのが便利です。
九州郵船Webサイト:https://www.kyu-you.co.jp/
島内移動時の注意点

島の北側はレンタカー利用を
巌原の見どころは徒歩圏に収まっていますが、巌原から離れた見どころは公共交通機関で巡ることは難しく、レンタカーを利用するのが現実的です。
巌原から島の北部まで結ぶメインルートの国道382号線の道路状況は悪くありませんが、島の北部の一部エリアでは道路上でも携帯の電波が飛んでいない場所がありますので、注意して運転しましょう。
国道382号線から外れる道路は幅が狭く、バスなどの大型車とのすれ違いが難しい箇所もあります。北部は車の密度が低いので、ほかの車の存在を忘れがちですが、観光ポイントに近くなると対向車が来る可能性が高まります。注意して運転しましょう。
ツシマヤマネコの飛び出し事故に注意

道路では「ツシマヤマネコ注意」の看板を見ることができますが、そのエリアでは夕方から早朝にかけて活発に行動するツシマヤマネコが、道路に出てくる可能性があります。前方に注意し、スピードを落とすなど、事故防止を意識した運転を心がけましょう。
島のグルメとおみやげ
対馬も豊かな海に囲まれていますので、グルメ旅を楽しむことができる場所です。島の特産品としては、穴子やしいたけ、そば、ニホンミツバチのハチミツなどがあり、おみやげとして購入することもできます。
穴子料理

対馬西沖で獲れる穴子は特に品質がよい(柔らかく脂がのっている)とされ、対馬産穴子はブランド魚として知られています。穴子料理を得意とする料理店も多く、刺身を提供する店もあります。
とんちゃん焼き

対馬のソウルフードとして人気のローカルグルメです。豚肉を甘辛いたれで味付けし、キャベツやもやしなどの野菜とともに炒める料理で、ご飯も進みます。みやげ品としては豚肉だけでなく、剣先イカを使ったものも売られています。

いり焼き

対馬の郷土料理で、お客さんをもてなすごちそうです。具だくさんの鍋料理で、昔は家で飼っている鶏が使われていましたが、漁村では鶏の代わりに魚を使っていたところもあり、鶏と魚を使う両方のレシピがあります。締めに対馬の「対州そば」を入れて食べる楽しみもあります。
みやげものを探すなら観光情報館 ふれあい処つしまへ

観光の情報収集とともに、おみやげをてっとり早く探すことができるお店です。取り扱い品種も多く、対馬名産の食品のほとんどをここで見つけることができます。アクセサリーやTシャツ、ツシマヤマネコのグッズなども販売しています。

旅のプランニングのヒント、注意点
対馬に前泊できるのなら
対馬に前日のうちに入り、午前中も観光の時間に使うことができるなら、対馬博物館(木曜休館、9:30~17:30。ただし入館は16:30まで)や、667年に築かれた「金田城(かなたのき)」を訪れるのがおすすめです。金田城はアクセスがたいへんですが、1350年近く前に築かれた天然要塞と呼んでもいい城壁を今も見られる貴重な場所です。登山口まで自力で行く必要がありますが、ガイドツアーも催行されています。
和多都美神社の訪問について
今回、見どころとして紹介しなかった場所として「和多都美(わたづみ)神社」があります。海に鳥居が立つ景色も美しい神社ですが、あまりにもマナーの悪い観光客がいたため、参拝の場として訪れるようアナウンスされたことがありました。訪問の際は崇敬の念をもってお参りしましょう。
対馬の旅行シーズン
通年の観光が可能ですが、旅行しやすいシーズンとしては、梅雨や台風シーズンを外した春先や秋がいいでしょう。冬はグルメ旅を楽しむのにいいシーズンではあるものの、海が荒れるので船便がキャンセルされる可能性があります。
対馬はビデオゲーム『Ghost of Tsushima』や漫画『アンゴルモア元寇合戦記』の舞台にもなったため、聖地巡礼に訪れる人たちの注目も集めています。歴史と自然を共にじっくりと楽しむことができる島ですので、いろいろな島旅を経験した方にもおすすめできます。訪問が決まったら歴史について予習していきましょう。見どころの魅力がさらに増すはずです。
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