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映画『サウンド・オブ・ミュージック』が公開されてから、2025年で60周年を迎えます。1965年、ジュリー・アンドリュースの主演でロバート・ワイズ監督が映画化し大ヒットさせた作品です。その魅力はドラマチックな実話がベースとなっていることやキャストたちの名演、珠玉の楽曲たちで彩られていること、そして何よりロケ地となったザルツブルク美しい風景にほかなりません。本作は半世紀以上の歳月が流れた今でも、ザルツブルクの魅力を世界中に伝え、観光客を誘い続けています。今回は映画のロケ地を中心にザルツブルクの見どころをご紹介いたします。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』の誕生
マリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』が1949年に出版されると大評判になり、1956年に西ドイツで映画『菩提樹』が製作され、1958年に『続・菩提樹』が公開されます。1959年にブロードウェイ・ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』が誕生。脚本はハワード・リンゼイ、ラッセル・クラウスで、表題曲「サウンド・オブ・ミュージック」「エーデルワイス」「私のお気に入り」など珠玉の楽曲は、作詞家のオスカー・ハマースタイン2世、作曲家のリチャード・ロジャースによって生み出されました。そのミュージカルを映画化したのが本作で、第38回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の5部門を獲得しています。
ザルツブルクの魅力的なロケ地の数々
古代ローマ時代から岩塩の産地だったことが、ザルツブルク(塩の城)の地名の由来になっています。世界遺産に登録された、ザルツァッハ川の河畔に広がるザルツブルク市街の歴史地区には大聖堂や教会修道院などの歴史的建造物が数多く並び、「北のローマ」と呼ばれていました。物語の背景となる美しいザルツブルクの街は『サウンド・オブ・ミュージック』のもうひとつの主人公として強い印象を残しています。
ノンベルク修道院
ノンベルク修道院はマリア本人が修道女見習いとして実際に身を置いていた場所。厳しいベネディクト会の修道院だったため、内部の撮影は難しく、外観と中庭のみで行われています。別れも告げずにトラップ邸を去ったマリアに会うために子供たちが訪れるシーンや音楽祭から姿を消したトラップ一家を追ってナチの親衛隊が追ってくるシーンでは、ノンベルク修道院の入口が登場します。マリアとトラップ大佐の実際の結婚式はノンベルク修道院で行われましたが、撮影はモントゼー教区教会で行われています。
レジデンツ広場
レジデンツ広場は修院長の指示で、トラップ家の家庭教師になるため、マリアが修道院を出てトラップ邸に向かう際に「自身をもって」を歌うシーンで登場する広場。中央にはマリアが手を入れ水を跳ね上げたアトラス神の噴水があります。
モーツァルト小橋と馬洗い池
モーツァルト小橋はマリアとカーテン生地で作った遊び着を身につけた子供たちが一緒に渡るシーンが撮影された、ルツァッハ川に架かるアール・デコ調の歩行者専用の橋。その後、マリアと子供たちはザルツブルク大聖堂の前を歩き、馬洗い池を通り過ぎ、大学広場の市場へ移動します。
ミラベル庭園
「ドレミの歌」のハイライトシーンが撮影されたのがミラベル庭園。ペガサスの噴水では、円形の縁を行進し、バラのアーチを潜り抜け、向かい合う彫像がある門、八角形をした噴水、妖精の石像、そして曲の最後に登場する、通称ドレミの階段など、まさしくロケ地の宝庫となっています。
トラップ邸のロケ地
映画の中のトラップ邸はフローンブルク宮殿とレオポルツクローン城の2カ所で撮影が行われています。フローンブルク宮殿では、マリアが初めてスーツケースとギターケースを両手にトラップ邸を訪れるシーンで庭園門や前庭、ファサードが使用されています。一方、レオポルツクローン城では、マリアと子供たちが池に落ちるシーン、そしてバルコニーやテラスで撮影が行われています。舞踏会の会場となった煌びやかな「ヴェネツィアの間」は、スタジオのセットで再現されたものです。レオポルツクローン城は一般公開されていませんが、現在は高級ホテルとなっているので、宿泊客として見学することも可能です。
あずまや(ガゼボー/パビリオン)
トラップ家の長女リーズルとロルフが「もうすぐ17歳」をマリアとトラップ大佐が「何かいいことが」を歌ったあずまや。レオポルツクローン城に置かれていたあずまやは背景用として使用されたもので、歌のシーンはスタジオに設けられた一回り大きいサイズのあずまやのセットで撮影されました。現在はヘルブルン宮殿に移設されています。
シャーフベルク鉄道
マリアと子供たちがピクニックに出かけたときに乗るのがザンクト・ヴォルフガング駅から出ているシャーフベルク鉄道で、シャーフベルク山頂からはヴォルフガング湖、モント湖、アッター湖などを見渡す絶景が広がります。(注:オープニングや歌のレッスンをしたヴェルフェンの丘には行きません)
フェルゼンライトシューレ
トラップ一家がコンテストに参加した音楽祭の会場がフェルゼンライトシューレという、採石工場の岩盤を利用したオープンエアの劇場。撮影当時はまだ舞台に屋根がありませんでしたが、1970年の改築の際に開閉可能な屋根が取り付けられています。
聖ペーター教会墓地
スイスへの亡命前にナチの親衛隊の追跡から逃れ墓地に潜んでいたシーンはセットでの撮影ですが、聖ペーター教会墓地がモデルになっています。納骨堂の中にはモーツァルトの姉ナンネルの墓があります。
『サウンド・オブ・ミュージック』のトリビア
映画にマリア・フォン・トラップ本人が出演している
『自身をもって』を歌うレジデンツ広場のシーン、マリアの背景で民族衣装を身にまとった小さな二つの人影が通り過ぎます。それが撮影見学に訪れ、監督に無理を言ってエキストラ出演を果たしたマリア本人と子供の姿です。
ゲオルク・フォン・トラップは大佐ではなく少佐だった
ゲオルクの実際の最終階級は少佐。艦長(キャプテン)という敬称を日本語字幕・吹替えの際に「大佐」としたためにトラップ大佐として定着しました。
オーストリア脱出は混乱もなく
トラップ一家ががかつて住んでいたイストリア半島が第1次世界大戦後の国境変更により当時イタリア領になっていたため(現在はクロアチア)、建前としてイタリアの市民権を持っていました。そこで隣人たちは一家がイタリアに休暇に行くのだと思い、なんの混乱もなく旅立つことができました。
国境を超えた先はヒトラーの別荘?
オーストリアからスイスへ脱出する山越えのシーンはドイツ南部の国境近くの山地で撮影されていますが、そのまま山を越えるとバイエルン州のベルヒテスガーデン。その近郊にはアドルフ・ヒトラーの別荘「ベルクホーフ」があります。
『サウンド・オブ・ミュージック』の世界観に浸る
ザルツブルクは映画のロケ地をめぐるシティーウォークや劇中のサイクリングシーンにちなんだサイクリングツアー、郊外のロケ地を訪れるバスツアー、マリオネット劇場での観劇など『サウンド・オブ・ミュージック』の世界観に浸るイベントに満ちています。
そして、2026年には60周年を記念して、「もうすぐ17歳」「何かいいことが」の舞台になったガラス張りのあずまや(ガゼボー)のあるヘルブルン宮殿の庭に「サウンド・オブ・ミュージック博物館」が誕生します。
公開から60年を迎える2025年、『サウンド・オブ・ミュージック』の聖地ザルツブルクを訪れてみませんか。
参考資料:
- 『サウンド・オブ・ミュージックの世界…トラップ一家の歩んだ道…』求龍堂グラフィックス
- 『サウンド・オブ・ミュージックの街 ザルツブルク』(ザルツブルク市観光局資料)
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