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東北の冬を代表するイルミネーションイベント「SENDAI光のページェント」が2021年も間もなく開幕します。「杜の都・仙台」の代名詞になっているケヤキ並木にLED42万球が灯ります。ケヤキ1本1本がオリジナルの電飾で輝き、年末のクリスマスムードを盛り上げます。
今回は仙台四大祭りの一つ・光のページェントを紹介します。
人々の心を癒し36年目 未来へとつなぐあたたかな光
これから厳しい寒さを迎える東北地方。仙台市は内陸部のような豪雪に見舞われることなく比較的過ごしやすいといわれていますが、この時期は体の芯まで冷え込むことも。
そんな冬の仙台で人々の心を温め続けているのが「SENDAI光のページェント」です。35年前に市民有志の手作りイベントとして始まり、今ではすっかり冬の風物詩となりました。
東日本大震災の混乱を乗り越えて10年。新型コロナウィルスの災禍に見舞われるいま、人々はどのような思いでその光を見上げるのでしょうか。
子どもたちの笑顔を見たい 休眠期のケヤキに命を宿す
光のページェントの会場になる「定禅寺通り」の全長約700m、166本のケヤキ並木は、太平洋戦争の空襲で焼け野原になった仙台平野復興の象徴として1958年から植栽が始まりました。60年以上経った今ではそれぞれ立派な巨木に成長しています。
通りは、中央に設けられた緑地帯と、歩道それぞれの両側、計4列に並んだケヤキの枝葉によってすっぽりと覆われるよう。若葉が繁る初夏には“緑の回廊”となって涼しげな木漏れ日が差し込み、さわやかな風を呼び込みます。
しかし、冬はケヤキの休眠期。落葉することで成長のエネルギーを蓄えます。植物にとっては大事な季節ですが、皮膚を刺すような寒さに見舞われ、気持ちが暗く沈みがちななか、冬枯れの木を見上げるのはやはり少し寂しいもの。
「落葉した冬のケヤキ並木をイルミネーションで彩り、一人でも多くの子どもたちに笑顔になってもらおう」と市民有志の発案によって1986年に活動をスタートさせたのが、光のページェントの始まりです。当時、街路樹を使ったイルミネーションは他になく日本で初めての試みでした。
資金集めも自分たちで 民間主導のまちづくり成功例として注目
メンバーがアイデアを出し合い、仕事の合間をぬって準備に勤しみ、まさに「手弁当」で始まった光のページェント。200万人以上が訪れるようになった現在も、予算は募金や企業からの寄付等でまかなわれ、学生から社会人まで老若男女がかかわる民間主導のボランティア運営として続いています。だからこそ、これまでの35年間はさまざまなドラマがありました。
例えば予算の問題。スタート当初はケヤキ1本につき約30万円の費用がかかりました。そのため交通整理から後片付け、ごみ拾いまで、出来ることはすべて自分たちの手で行い、出費を抑えました。回を追うごとに賛同者、協力者が増えていき、東北の冬を代表するイルミネーションイベントに。その後、地域経済の減退や電球の買い替え等、何度となく厳しい局面が訪れましたが、知恵を出し合いながら乗り越えてきました。光のページェントの取り組みは民間主導型のまちづくりの成功例として注目され、視察や研修に訪れる自治体も少なくありません。
しかし、人々の努力だけでは覆すことができない危機が訪れます。
2011年3月11日の東日本大震災です。
津波で電球が浸水被害も 全国からの寄付を受けて絆
東日本大震災では、電球を保管していた宮城野区蒲生の倉庫が津波で損壊してしまい、新調して間もないLED55万球が使えなくなってしまいました。開催の是非が根本から問われることとなりましたが、「被災地として、東北の元気を仙台から発信したい」という実行委員会の熱意が実を結び、全国からの応援をもとに実施されることになりました。
仙台と同じ街路樹のイルミネーションを行っている東京・表参道イルミネーション実行委員会や大館シャイニングストリート実行委員会などからLEDが貸与され、この年は、定禅寺通りのケヤキ並木に「絆(きずな)の証」として2色のイルミネーションが灯りました。
2021年は12月18日から14日間にわたって開催
実行委員会の発表によると、2021年のSENDAI光のページェントは「~Step for NEW HOPE~」をテーマに12月18日~31日まで14日間にわたって開催されます。定禅寺通りの112本のケヤキ並木が42万球のLEDで彩られます。
ライトアップの瞬間を見逃した人へのサービスとして始まった再点灯タイム「スターライト・ウインク」をはじめ、サンタにふんした市民が音楽隊とともにパレードする「スターライト・ファンタジー『サンタの森の物語』」、天使のコスチュームで癒しを届ける子どもたちによる「ウィンター・エンジェルス」、「Sendai Winter Park~クリスマスマーケット~」…。例年、期間中は人々に愛され定着化してきたさまざまなイベントが行われていますが、2021年は残念ながら新型コロナウィルス拡大防止対策のため見送られる見通し。感染状況によって光のページェントの点灯時間に変更が加わることもあるので、公式ホームページなどで最新情報をチェックしたうえでご来場ください。
一つひとつの小さな光が新型コロナ禍を乗り越える力に
戦後復興の象徴だったケヤキ並木を舞台に、冬の風物詩として多くの人に知られるようになった光のページェント。会場となる定禅寺通りは、JR仙台駅から続くアーケード商店街の終点で、大小の商店が立ち並ぶメイン通りの背後には、東北一の繁華街「国分町」を抱えます。絶品グルメが楽しめる名店が多くありますので、定番の牛タンや仙台牛のすき焼き、牡蠣料理など三陸海岸から届く海の幸など、美味しい料理で仙台の夜を締めくくってはいかがでしょうか。
そして、お帰りの際にはぜひ、イベント会場に点在する募金箱へお気持ちを。
一人ひとりの優しい気持ちが小さな光となって、明るい未来をつくっていく――光のページェントの軌跡は、一筋の希望を私たちの心にともしてくれます。
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