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まるでトトロの森に迷い込んだような、懐かしくて優しい世界へ。
「映えるスポット」を駆け足で巡る旅行も楽しいけれど、今の私たちが本当に求めているのは、時計の針を少しだけ遅く進めるような、心と体を深く満たす「リセットの旅」。
そんな願いを叶えてくれたのが、東北の豊かな自然と文化が息づく山形と秋田でした。静かな田園風景に溶け込むホテル、樹齢数百年の杉木立が包み込む神秘的な山、そして丁寧に造られた清酒の香り。凝り固まった心をゆっくりとほどく、自分を甘やかすための愛おしい旅の始まりです。
今回は、山形から秋田へと北上しながら心と体をリセットする、癒やしの旅の様子をご紹介します。
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山形県鶴岡市に到着し、まず向かったのはずっと気になっていた「ショウナイホテル スイデンテラス」。
を降りると、広大な田んぼの中にぽつんと佇む繊細な木造建築が迎えてくれます。建築家・坂茂氏が手掛けた建物は、周りの自然へ溶け込むような温もりに満ちています。




お部屋のテラスに立つと、視界いっぱいに広がる田園風景。風が抜けるたび稲穂がさらさらと音を立て、土と草の匂いがふわりと香ります。夕刻には、水鏡のような水面にグラデーションの夕空が映り込み、息をのむ美しさに包まれます。
デジタルチェックインを済ませたら、約1,000冊が並ぶライブラリーの本を片手にただ雲を眺める。そんな「何もしない贅沢」に浸るうち、張り詰めていた心がゆっくり解けていきます。
旅の楽しみでもある館内レストランでは、朝採れ野菜や旬の味覚をたっぷり使った「Farm to Table」のお料理を。ひとくち食べるごとに素材本来の濃い旨みが広がり、身体のすみずみまで元気が染み渡ります。
さらにショップには、庄内地方の全酒蔵の地酒や地元の職人による温もりある工芸品がずらり。旅の思い出に寄り添う一品を探す豊かな時間を過ごせます。


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チェックイン 15:30 / チェックアウト 10:00

翌朝、現地の方に「羽黒山は朝一番がいい」と教えていただき、空が白み始めた頃に出発しました。古くから修験道の聖地として知られる「出羽三山」。羽黒山(現在)、月山(過去)、湯殿山(未来)を巡ることで「生まれ変わる」ことができると伝えられています。


羽黒山のふもとに位置する「手向(とうげ)」地区には、かつて参拝者を迎え入れてきた歴史ある宿坊街が広がっています。
茅の輪や茅葺き屋根が残る風情ある街並みを歩いていると、まるでタイムスリップしたかのような静けさ。清々しい空気のなかで木々の緑や注連縄(しめなわ)の掛けられた鳥居を眺めているだけで、自然と背筋が伸びていきます。


鳥居をくぐり一歩足を踏み入れると、一瞬で空気が凛と変わります。朝もやの中に佇む国宝「羽黒山五重塔」の神聖な姿には、ただ言葉を失うほど。

随神門をくぐり、清流・祓川(はらいがわ)に架かる神橋を渡ると、目の前に現れるのが名所「須賀の滝」。清らかな水音に心を洗われたあとは、山頂へと続く全2,446段の石段へ踏み出します。杉並木に囲まれた「一の坂」「二の坂」「三の坂」と続く石段は、まさに自分自身と静かに向き合う修行の道。朝もやの中に佇む国宝「羽黒山五重塔」の神聖な立ち姿を目にした瞬間、その美しさに息をのまずにはいられません。

イヤホンを外し、風の音、滝の響き、自分の足音だけに耳を澄ます時間。境内を出る頃には、身体の中から新しいエネルギーが湧いてくる感覚に満ちていました。
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午前8:30~午後5:00まで
鶴岡市から山形市へと車を走らせる道中にも、その土地ならではの歴史や美味しい恵みに出会えるスポットが点在しています。豊かな風土を感じながら巡る、心地よいロードトリップの記録。


庄内を後にし、出羽三山へと繋がる山道を進んだ先にある「道の駅 月山(月山あさひ博物村)」。
ここには、ワインの無料テイスティングサーバーが設置されており、ワイン好きにはたまらない立ち寄りスポットになっています。途中で買ったご当地ジュース「山形代表」の果汁あふれる桃の甘みが、ドライブの途中に爽やかな潤いを与えてくれました。


山形市内に立ち寄ったら、重厚な石造りの近世洋風建築が美しい「文翔館(旧県庁舎)」や、十日町エリアにある「水の町屋 七日町御殿堰」へ。
さらさらと涼やかな水路沿いに黒塗りの美しい建築が並ぶ御殿堰の街並みは、歩いているだけでどこか懐かしい気分に包まれます。

旅の道中で出会ったのは、城下町の歴史を汲む伝統の酒蔵たち。美味しいお米と月山の雪解け水に恵まれたこの地は、まさに酒造りの宝庫です。
蔵人さんの温かい言葉に耳を傾けながら味わう清酒は、熟した果実のように華やかな香りと澄んだ透明感。素朴な山形の田舎そばによく合う滋味豊かな一杯が、身体に静かに染み渡っていきました。
庄内の美味しい食事や地酒をさらに堪能したいなら、山形ならではの絶品グルメを巡るのもおすすめです。
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山形から足を延ばし、続いて向かったのは秋田県秋田市。都会の便利さと豊かな自然が心地よく調和した街並みが広がっています。
秋田市の中心部に位置する「千秋公園(久保田城跡)」は、「日本の都市公園100選」にも選ばれる緑豊かなオアシス。中心市街地循環バス「ぐるる」に乗ってミルハス前で下車すると、目の前には大きな蓮池が一面に広がっていました。




立派な久保田城表門をくぐり、緑に包まれた「二の丸跡」や佐竹藩主を祀る「八幡秋田神社」へ。お散歩気分で歩くだけで、清々しい風が吹き抜け、日々の雑念が消えていくのを感じます。
散策のあとは、お待ちかねの秋田の美食タイム。
食事の席で感動したのが、蓋に「なまはげ」や「竿燈(かんとう)まつり」の金の金彩が施された美しい漆器のお碗です。蓋を開けると、澄んだお出汁の中に季節の野菜と白身魚が上品に浮かび、優しい香りが鼻腔をくすぐります。


メインにいただいたのは、本場の「きりたんぽ鍋」。比内地鶏の旨味がぎゅっと凝縮された濃厚な出汁に、香ばしく焼かれたきりたんぽと、シャキシャキのセリやごぼう、舞茸などの山菜がたっぷり。ハフハフと熱々を頬張れば、身体の奥からじんわりと温まり、心まで満たされていくようでした。

「どこへ行くか」よりも、「どんな時間を過ごし、どうありたいか」。忙しい日々に少し疲れてしまったら、秋田と山形の静けさの中へ足を運んでみてください。風の音や温かい温泉、美味しいお酒が、疲れた心をやさしく解きほぐしてくれるはずです。
まずは今週末、気になるホテルの空室を調べたり、静かな移動ルートを検索することから、あなただけの「リセット旅」を始めてみませんか?