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久しぶりの連休、せっかくだからどこかへ出かけたい。でも、いつも名前を聞くような定番の観光地ではなく、少し違った場所へ行ってみたい。そんな気分で旅先を探していたときに見つけたのが、岡山県高梁(たかはし)市にある「吹屋(ふきや)」でした。
調べてみると、赤い町並みが残る歴史ある町で、ベンガラ染めの体験もできることが判明。町並みを歩くだけでなく、実際に手を動かして楽しめるのも面白そうだと思い、訪れてみることにしました。
今回は、エクセンス編集部が実際に訪れて体験してきた吹屋の赤い町並み散策と、手仕事の楽しさを味わえる「ベンガラ染め体験」、そして周辺のおすすめ観光スポットをご紹介します。
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吹屋は、江戸時代から明治時代にかけて、赤色顔料である「ベンガラ」と銅の生産で栄えた町です。当時の豪商たちが、「自分たちの町全体の景観を美しくしよう」と相談し合い、島根県から宮大工を呼んで一斉に家屋を建てたと言われています。そのため、赤銅色の石州瓦(せきしゅうがわら)と、ベンガラ色と呼ばれる赤みを帯びた格子窓で統一された、見事な景観が今も保たれているのです。
そんな歴史の面影を今に伝えるのが、「吹屋ふるさと村」。深い山道を抜けてバスを降り立つと、突如として視界にこの美しい赤い町並みが現れます。
メインストリートを歩いてみると、標高約500メートルの山間部ならではの、ひんやりと澄んだ空気を感じます。通りにはお土産屋さんやカフェが点在していますが、観光地特有の騒々しさはなく、とても静か。道幅がゆったりとしていて車の通りも少ないため、友人同士でお店を覗いたり、周囲を気にせずのんびりと歩くことができます。

吹屋観光でぜひ体験していただきたいのが、「ベンガラ染め」です。 ベンガラ(弁柄)とは、土(鉄分)から作られる天然の赤色顔料のこと。かつては九谷焼などの陶磁器の絵付けや、家屋の塗装など、日本の伝統的な色彩として広く使われてきました。海外ではその美しさと日本らしさから「ジャパンレッド」とも呼ばれています。
また、天然染料でありながら紫外線に強く、日光で色あせしにくいという頼もしい一面も。使い込んで何度も洗ううちに少しずつ色が柔らかくなり、自分だけの風合いへと育っていく経年変化を楽しめるのも、ベンガラ染めならではの醍醐味です。
私が今回ベンガラ染めを体験したのは、吹屋のメインストリート沿いにある「下町ふらっと」。昔ながらの趣ある町家を改修した施設で、一歩足を踏み入れると、どこか懐かしくホッとするような温かい空間が広がっています。
体験の手順はとてもシンプル。まずは、手ぬぐいやストールなどの中から染めたいアイテムを選びます。次に、輪ゴムや木の板、パイプなどを使って生地をしっかりと縛り、模様を作っていきます。スタッフの方が「こう縛るとこんな柄になりますよ」と丁寧にコツを教えてくれるので、初めての方や手作業が苦手な方でも安心。
模様を決めたら、ベンガラの染料が入った液に生地を浸します。両手で揉み込むようにして、染料を布の奥まで定着させていくのがポイント。
最後に水で余分な染料を洗い流し、縛っていた輪ゴムを外して布を広げます。この瞬間に初めて自分が作った模様が完成するため、「こんな柄になったんだ!」と思わず心がときめきました。派手すぎない、少しくすみがかった落ち着いた赤色は、どんな服装やインテリアにも馴染みやすい色合いです。
趣のある町家の中で、自分の手でじっくりと染め上げたアイテムは、使うたびに吹屋の思い出を振り返ることができる特別なお土産になります。
吹屋には、町並み散策のほかにもあわせて巡りたい魅力的なスポットがそこかしこに集まっています。ここでは、特におすすめの3か所をピックアップしました。
町から少し歩いた高台に建つ「旧吹屋小学校」は、2012年まで現役の小学校として使われていた木造校舎です。
現在は保存修理が完了し、内部を自由に見学することが可能。中に入ると、ワックスがけされた長い板張りの廊下や、使い込まれた木製の机と椅子が並ぶ教室がそのまま残されています。窓から差し込む自然光が板張りの廊下を照らす光景は、写真映えする絶好のスポットです。
赤い暖簾が目印の「佐藤紅商店」は、吹屋の特産品である唐辛子を使った調味料を製造・販売しているお店です。
ここでのおすすめは、真っ赤な柚子胡椒「紅だるま」。蓋を開けると柚子の爽やかな香りが広がり、口に含むとピリッとしたしっかりとした辛味が追いかけてきます。鍋料理やうどんの薬味としてはもちろん、焼いたお肉に少し乗せて食べるのもおすすめです。 パッケージに描かれただるまのイラストが可愛らしく、サイズも小ぶりで持ち帰りやすいため、友人や同僚への実用的なお土産としてピッタリ。

吹屋ふるさと村の中心部からバスや車で5分ほどの場所にある「広兼邸」も必見です。かつて銅山とベンガラの製造で巨万の富を築いた大庄屋の邸宅で、映画のロケ地になったことでも知られています。
まるでお城のような立派な石垣がそびえ立っており、当時の豪商がどれほどの財力を持っていたかが一目でわかります。邸宅の中には、美しく手入れされた庭園や茶室、来客用の立派な座敷があり、江戸時代後期の建築様式を間近で観察することができます。
今回私が利用した、岡山市内から公共交通機関で吹屋を訪れる際のルートとポイントをまとめました。
まずはJR岡山駅から伯備線に乗り、「備中高梁駅」を目指します(特急やくもを利用すれば約35分、普通列車で約55分です)。備中高梁駅に隣接するバスターミナルから、備北バスの「吹屋行き」に乗車し、約1時間揺られると終点の「吹屋」に到着。
このルートの最大のメリットは、山道の運転を気にせず、窓からの景色を眺めながらのんびりと移動できること。ただし、備北バスの運行本数は1日に数本と限られているため、事前に時刻表をしっかり確認し、帰りのバスの時間に合わせて観光のスケジュールを組むことが必須です。
岡山県・吹屋は、歴史ある美しい景観を楽しみながら、静かで落ち着いた時間を過ごすことができる魅力的なエリアです。山道を登るローカルバスの移動時間も含めて、日常から離れた特別な旅の体験になりました。
ベンガラ染めで自分だけのアイテムを作り、レトロな木造校舎や歴史ある邸宅を巡る旅は、心を満たしてくれる充実した休日になるはずです。
今度の週末や連休は、ぜひ吹屋の赤い町並みを訪れてみてはいかがでしょうか。